賢者の後日談
それからは大変だった。
鈴ちゃんに付き合いました報告をしたら本気で泣かれながらも応援してくれたり。
ママと樹が自分も魔法を使えるようになりたいと言うのでいろいろ試してみたり。
ガーディアンののぞみちゃんと妹のあおちゃんが実の姉妹の様に仲良くなってしまい、別れたくないからと言って私を妨害し始めたり。
女神の力を無くした羽雪くんが魔力欠乏になって深夜まで家に帰れなくなったり。
調子に乗って魔法を使っていたらこの世界に転生してきていた別の転生者たちの起こした事件に巻き込まれたり……
奥手過ぎる優斗くんに私がブチギレたり……
魔力が足りなくて魔法陣を作り終えても発動させられなかったり……
いろいろ頑張って全ての準備を終えたのが夏休みも終わりになりかかった時期だった。
私たちが新たに探し出した魔力練習場でガーディアンののぞみちゃんを送り返す準備をしていた。
わたし達はのぞみちゃんにこちらの世界のお土産を大量に持たせた。お土産というよりもこちらの文明を渡すくらいの事をやっている。少しくらいのズルをしてもあの相手だったら良心が傷まない。
異世界転移自体はいきなり本番と言う訳でもなく、事前に小さい魔法陣で試していて、向こうとのやりとりに成功しているので大丈夫だろう。やり取り中もお互いの近況が軽く知る事が出来てうれしかった。
もちろん、女神様には浄化の仕方について一言書かずにはいられなかったので、いや一言ではなく、大量の文章かもしれない……を送りつけておいた。が、相変わらずの女神節が炸裂して、「うまく行ったから良かったじゃないの~」との短い返答が来たときにはさすがの私もカチンと来てしまった。
のぞみちゃんサイズの転送には大量の魔力がいる様で、女神の力が抜けた羽雪くんの力と私の微弱な力では必要な魔力を溜めるのに3週間もかかってしまった。
「さてと、準備完了、あとは呪文を唱えて残った魔力を流すだけね」
「おっけ、それじゃのぞみちゃん、元気でな」
「レビィ、セレスお世話になりました」
私が呪文の詠唱を始め唱え終わる、二人でお互い目を合わせると、私達は2人で魔法陣に最後の魔力を込める。魔法陣が光りだし、ガーディアンののぞみちゃんの姿が完全に光に包まれると共に消え去る。
「行っちゃったね」
「そうだね」
前世との繋がりが薄くなる気がして、どこか寂しい気持ちになった。優斗くんの方を見ると同じ様に感じているようだった。なんとなくそのまま二人で暫く立っていた。
「琴音……それじゃ、行こうか」
「うん……優斗くん」
なんとなく寂しい気持ちを隠すためなのか、私たちは自然に手を繋いで歩きだした。
私はこれからの人生を自由に生きられる。愛する人たちと生きていける。そう思うだけで足取りがものすごく軽かった。
おしまい。
_______________________________
現代転生の物語はこれで終わりになります。
最後までお読み頂きありがとうございました。
現代転生 どうやら異世界が前世だったみたいです 藤 明 @hujiakira
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