賢者 今後の事を考える
小学6年生になった。
修学旅行だ!京都だ!歴史だ!異文明だ!、というわけで小学生の定番の修学旅行で京都に来ていた。気が付けばあちらの世界にいた半分くらいの年をこちらの世界で生きて来たので、異文化と言うより、もうこの世界に馴染みすぎちゃってる感があった。それでも、500年以上前の木製の建物に風情と歴史を感じた。石造りだったら残るけど、木は燃えちゃうのによく残ったなぁ~と感心しながら見る。
「琴音ちゃん!うじきんとき!宇治金時よ!」
「ああ、修学旅行はお小遣い多いからいいよね!」
「うん?」
まぁ、食い気の方が勝るかぁ……この感動を分かち合うのは大人になってからだろうな。私は寺社巡りを楽しみたかったが、七海ちゃんと未菜ちゃんは色々なお店をめぐるのが楽しいみたいだ。
デザートよりもテレビでよく見る外国人の方に私は目が行ってしまった。普段暮らしている町にはほとんど外国人と呼べるような人はおらず、テレビとネットで見るだけだものね。この世界には人間型の生物が他にいないのが不思議だった。やっぱりその世界を作る神様のセンス次第なのだろうか?それとも大昔に人族が他の種族を根絶やしにしたのだろうか?歴史に残っている以前の歴史を思わず妄想してしまう。しかしなんで人族だけあちらの世界と共通なんだろうなぁ?私は魔族だったけど、こちらに転生したら普通に人族になっていたし。性別だけは魔法陣で指定したけど、種族の項目、そう言えばなかったなぁ……
「琴音ちゃん!見過ぎよ!みすぎ!恥ずかしいよぉ!」
「気持ちはわかるけど、あまり見ちゃダメだよ、失礼だよ!」
「あっ、そうだね、ついつい見ちゃいました」
前世を合わせると自分の子供くらいな子たちに注意されてちょっとへこんでしまった。皆ずいぶん大人になったよなぁ……お姉さんうれしいよ。
と、ある日、パパがスマホをもって私に慌てて話しかけてくる。
「琴音!なんか儲かってるぞ」
「え?なにが?」
話を聞いてみると、どうやら私が去年作ったアプリが結構売れたらしい。なんでも安い割には手軽に遊べて面白い。と言った評価らしい。私たちの数年分の学費は心配いらないくらいの収入があったらしいが、副業扱いなのでなんか税金とか色々面倒になった、とパパは言っていた。とりあえず私の頭をなでてきたので、パパが堪能するまで撫でさせてあげた。
「それで、パパの企画は?」
「うっ、すいません、思いつかないです」
「わかったわ……私もっと頑張ってみる」
「お願いします、この調子でやってもらえると色々助かりそう」
考えてみたら私が両親にお願いしたせいで、この家子供が3人になっちゃったものね……この日本においては3人は多い方だ、前世では3人以上当たり前の世界だったのでその辺の感覚はちょっと狂う。前世の世界では産まれるのが多いかわりに幼いころに病気ですぐ死ぬし、大人になってもすぐ死ぬから丁度良かったんだろうな。文明が進むと言う事は少子化するって事なんだなぁ、としみじみと思った。
とりあえず私の将来は、アプリ制作とかプログラムの方に進んだほうが良いんだろうな。前世でも魔法陣をコツコツと研究して色々な回路などを自作していたし。性に合っているんだろうな。こちらの世界では理系の女性は少ないみたいだけど、大丈夫だよね?
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