自己アピール

バブみ道日丿宮組

お題:有名な仕事 制限時間:15分

自己アピール

「私は有名な仕事をしています」

 そう面接でいうと、当然。

「なにをしているんですか」

 と返答がくる。

 そこから、私の独白がはじまる。

 長くて1時間。短くて30分、生についての物語だ。

 質問は受け付けないし、言い終わるまで止まらない。

 だって、自己アピールなんだから、途中で終えるのはおかしい。

 とはいっても、合格するということはなく、いつまでもお祈りをもらってる。

 資格、実績は、誰よりもある。

 天才と呼ばれるカテゴリーに私は入ってる。

 だからこそ、書類審査で落ちたことは今までない。どれもが面接で落とされる。

 異質さは認められないのだ。

 親の異質さを気にしてた私が、その異質さを持ってるのは自然のことであるが、認めたくはなかった。

 そんなことより、今は自分の仕事についてしっかりと語るべきであろう。

 生まれてから、今に至るまでやり続けてるーー生のお仕事について。

 生きるというのは、ビジネスだ。

 チャンスを選べなかったものは、死を迎えるか、他人によって心臓を鷲掴みされる。

 私はどちらでもない。

 チャンスを掴んだ。

 親と呼ばれる存在は、私の汚点で過ぎず、今では絶縁した関係だ。

 彼らは私の天才というパラメータにしか興味はなく、性格、存在というものは、まるで見なかった。

 家にいるときは完全に放置されてた。ご飯は用意してもらえなかった。会話も『なにを成し遂げたか』、実績をひたすら聞かれるだけのもので、家族愛なんてものは真っ白だった。

 私の世話は、お世話係と呼ばれる『親の命令を聞く人』が毎度行った。毎日違う人だったのは、おそらく親が気に食わないことがあったんだと思う。

 私がいいと思っても、保留にすることはできない。

 私の意見は、どれも受け取られない。

 決定権はすべて親にあった。

 自由があったとすれば、学校内だ。いろいろなことをして、いろいろな賞をもらった。

 親はその賞でいろんなお偉い方にアピールした。パーティーに連れてかれることもあったが、やっぱり発言は認められなかった。

 挨拶しろ、行儀よくしろ、喋るな。

 圧迫感でいっぱいだった。

 それも大学になるまでで、そこからは私は家を出た。

 お金は山ほどあった。腐るほどといってもいいかもしれない。

 マンションは買えたし、一生を過ごせもしたが、私はわたしの人生を過ごすこと決めた。

 そうして卒業が近づき、こうして仕事を探し始めたのであった。

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自己アピール バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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