第3話

「今日は何を読めばいいでしょうか、レナお嬢様。」

前の仕事は大体コンビニやスーパーでレジをやってるけど、今回はこんな高額のものを貰って早く何かをしないと、イライラしてたまらないわよ。

「それは決まってないわ。」

「え?」

状況はますます分からなくなってきた、私がここにいるのは、お嬢様のために本を読む仕事ではないのか。でも、そもそもこんな簡単な仕事はこの屋敷にいる何十人のメイドさんに頼めばいいじゃない。なぜだ、何故わざと外から人を呼んで選抜をした。

「逆に聞くけど、玲奈は好きな本がある?」私の考えを見透かすように彼女はこう言った。

私はこの質問にちょっと呆れた。

正直言うと、自分が本を読むことは好きではない。今までの人生で教科書以外の本はほとんど読んだことはない、だから先からずっと「難しい本を要求されたら、どうしようかな」と悩んできた。

この仕事を失いたくない、でもお金が欲しい、せめて一人暮らしのお金を稼げなければ、私またあの地獄に堕ちてゆく。

(考えろ、せめて一冊の本を)

あっ、そういえば、たしか一つある。私はまだ幼い頃、お母さんは私を眠らせるために、かならず何かを読んでくれた

「雪国、私がまだ小さい時、母がそれを何回も繰り返して読んでくれました」

「川端さんの?」

「そうです」

「そしたら、地下図書室にあるはずよ」

彼女は手元のベルを押すと、すぐドアの外から人がドアを2回ノックして入った

「何の御用でしょうか、お嬢様」

「音羽さん、図書館から「雪国」という本を持ってきてくれないでしょうか」

え?なんか微妙な空気を感じた、どうしてお嬢様はこの子だけにはそんな態度を。。。

「かしこまりました、では参ります」

約五分後、音羽という人が本を持ってきてくれた

私は雪国を読み始めた

読む時、私は密かにお嬢様の顔を何回も覗いた。

この世の人とは思えないような容姿だった

肌は白く、ツヤツヤ輝いてる金色の髪の毛が枕まで伸びている。

同じ女の子だけど、見ていると一度触ってみたい気分になる。

顔は華麗で、咲いたばかりの花のような艶やかで人の魂を奪いそうだ

胸はそこそこあり、私よりちょっと小さいけど、綺麗な形である。

「舞姫は何?」

私が見惚れてると、彼女は純粋な眼差しでこっちを向いて話しかけてきた。

「え。。要するに、舞をする踊り子で、この物語の場合、体を売る女性の意味も含まれてる」

「体はどうやって売るの」彼女の長いまつげの下に煌めくのは紫陽花のような瞳、こんな無邪気な顔で私に微妙な質問をされると、上手く笑えない。

「え。。」

本当に、この子は世間知らずというか、お嬢様らしいというか、参ったな。

「それは、女の子がお金をもらうために男の人と何かふしだらなことやってしまうこと」

「じゃあ、お爺さまと同じだね。」彼女は悲しそうな顔をして窓の外に目を向けた。

自分が何か失礼なことを言ったのか分からないまま本を広げてもう一度読み始めた。

3時間後、やっと読み終わった。

「なんだか、冷たい話だね、特に男の人がひどいと思うわ」

「私も小さい頃からこう思いました。主人公は芸術家と言われても、まともに仕事せず、ただ家の財産で生活してるひきこもりと変わらないと思いました。」

「あはは」彼女は嬉しそうに笑った。

「もう時間過ぎてるかな?」

「はい」

「じゃあ、音羽さんに報酬をもらって帰っていいわよ」

「ありがとうございます。お疲れ様でした」

「明日、また来てね」

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