第4話 偽恋人

翌日、学校で窓の外を見ながら過ごしていると椿が声をかけてきた。


「陽太どうしたの?何か悩み事?」

「悩みって訳じゃないけど綾の事でちょっと…」

「綾ちゃんと何かあったの?」


俺は綾のブラコン気質が過剰なことについて相談した。


「私から見たら2人とも凄く仲良くて羨ましいと思うけどなぁ。けど2人って義理の兄妹何だし何か間違いが起きても大丈夫なんじゃないの?」

「俺は例え義理の兄妹だとしても綾は妹だから手を出すことは無い」


少し考えていると椿から衝撃の一言がきた。


「陽太に彼女がいたらいいんじゃないかな?そうすれば綾ちゃんもお兄ちゃんは、もう私だけのお兄ちゃんじゃないって思って直るかもしれないよ」

「彼女かぁ」


椿からの彼女を作ればいい!と言う提案はいいかもしれないが第一俺にはそんな相手はいない。と思っていると椿が恥ずかしそうにしゃべり出した。


「陽太さえ良ければ私が陽太の彼女役やるよ」

「えっ!?」

「どうかな?」

「お願いしてもいいかな?」

「うん!とりあえず今日陽太の家に行ってもいいかな?」

「いいよ」


放課後、俺は椿を自分の家に招き入れた。

玄関を開けると綾が立っていた。


「お兄ちゃん、何で椿ちゃんと一緒なの!!」

「実は綾には内緒にしていたけど俺と椿、半年前から付き合っていたんだ」


綾は凄く驚いた顔をしていたので多少効果はあったんだと思う。俺は椿を自分の部屋に連れて行き床に座らせた。椿と軽い雑談をしていると綾が部屋のドアを軽く開け覗いてきた。


「綾、どうしたんだ?」

「綾ちゃんも一緒にお話する?」


綾は頬っぺを膨らませ無言でドアを閉め自分の部屋に戻って行った。椿が突然ベットに座っていた俺を押し倒し胸を高鳴らせ自分の顔を俺の方に近づけてきた。


「つ、椿どうしたんだ?」

「せっかく恋人同士になったんだしそれらしい事しないと」


と言うと顔を赤くしキスをしようとしてきたが後数センチってとこで部屋のドアが開いた。


「お兄ちゃん、椿ちゃん何してるの!!」

「な、なにも…綾こそ、どうしたんだ?」

「お兄ちゃんの部屋から物音がしたから覗いてみたら椿ちゃんとお兄ちゃんがそんな体勢だったんじゃない!椿ちゃんお兄ちゃんから離れて!!」

「陽太、今日は帰るね!また明日学校でね!」


綾は椿が帰ると俺に泣きながら抱きついてきた。


「どうして椿ちゃんと付き合ったの……お兄ちゃんには私がいるのに……」

「俺たちは兄妹だから付き合うことは出来ない…」


俺は泣いている綾の頭を撫でて気持ちを落ち着かせた。次の日、綾は昨日の事を忘れたかのようにいつも通り俺の部屋に来て寝ていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹が負けヒロインだと思わないでよね!! 夜野 八子 @yoruno-hako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ