第3話 動き始める未来
状況を整理しろ…まず俺は今7/7に囚われてる。これは夢じゃなく現実だ。たとえどんなところへ行こうとこの時間…朝の7時くらいに元いたこの路地裏に戻される。記憶は保持したまま。金が減ることはなく、腹の空き具合も変わらぬまま、と…
あぁぁぁあもう知らねぇよ!考えたって無駄無駄!明日に行けるまでこの世界を満喫してやる!
「3回目」
今日は遊びまくってやるぜ!ゲーセン行って10万つぎ込んでやる!そのあとは…女と遊ぶとしようかな!はははははは!
「4回目」
今日は一日中酒を飲む!酔っ払ったって明日にゃ治るんだどうせ。あとはパチンコにでも行ってみるかな。
「7回目」
そういやずっとこの汚れた私服のままだったな…高級な服とか時計でも買うか。いやそんなことできるほどの金はねぇ…そうだ、盗んじまえ。やったって日を跨げば白紙に戻るんだ。悪いことなんて一つもない。
「10回目」
はぁ…流石にやることなくなってきたな。風呂屋行ってさっぱりして、どっかで映画でも観るか。
「14回目」
…。もう2週間目だ。いや、14回目の今日、というのが正しいかな。
本来なら明日で逃亡1ヶ月っていう頃なんだよなぁ。流石にそろそろ抜け出させてくれてもいいだろうが。反省してやっからよぉ。
なんでこうなってるのか知らんが、最新の「てくのろじー」とかなんとかでこんなことしてるやつがいるのか?そうなんだったらもうやめてくれ!それともなんだ?出頭しろってか?ああいいぜ。何をしたって俺は極刑だろうから数年は何もせずに安全に暮らせるからな。今から警察に俺の面を見せに行ってやらぁ。
交番は…こっちか
「おい。俺をお探しだろ?」
「お、お前は!殺人犯の!おとなしくしろ!」
「喚くなよお巡りさん。俺は自分からブタ箱に入りに来たんだ。とっとと捕まえろや。」 カチッ
「午前7時32分、殺人の罪で逮捕する!」
「俺は急いでるんだ。はやく連行しろよ。」
ったく。仕事の遅い警察だ。俺は早くこのループから抜け出してぇんだ。
手続きだの何だのでもう夜中になっちまった。
牢屋の中ってのはまぁまぁ快適だな。外では聞き飽きた祭りの音がまだ響いてる。ま、あんなどんちゃん騒ぎして楽しんでる連中より、今の俺の方がよっぽど気分がいいだろう。なんせ、ループから抜け出せるかもしれないからな。奴らにはこの気持ちがわかるまい。ん?なんだ?足音?
「お前の奥さんが来ている。来い。」
なんだと?あの浮気妻が来てるだと!?丁度いい。浮気のことについて問い詰めてやる。
「わかった。早く連れて行け。」
「あまりでかい口を叩くな!」
「はいはい」
さて、なんて問い詰めてやろうか。ストレートに聞いたほうが速いしいいかな。
「あなた!」
久しぶりに聞く声だ。
「久しぶりだな、優美」
「そんな…あなたが本当にあの事件の犯人なの…?」
「ああそうだ。ま、お前からしちゃ別れるいいきっかけになっただろ。」
「そんな!私はそんなこと…」
「うるせぇ!まだ逃げる気か!?いい加減認めやが r…」
はっ!ここは…あの路地裏。まさか…日が変わってしまったのか。
優美…まるで決壊寸前のダムのように涙をやっとの思いでこらえているあの顔…ったく、あいつもうまく顔を作るものだな。丁度いい。今日は家に戻ってみるとしよう。警察経由ではなく、直接あいつに話を聞きに行ってやろう。果たして…どうなるのやら。
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