銀河の万象 肉
油の容器で直接、プレートに油をまいたみたいだ。水深にして3ミリメートル。やりやっがったな、この宇宙人。
「揚げるは王袈裟じゃろ〜確かに出しすぎた。でもこの容器のせいじゃ。我が不器用なせいではない」
あろう事かこいつメーカーさんのせいにしやがった。
「お前、それは聞き逃せんな。その容器は地球が持つ技術力を全て注ぎ込んで作られている。それにお前のクレームには『愛』があるか?この商品をより良くしたい、次も買っていきたいと言う愛があるか?なぁ?」
「ご、ごめんなさい」
「わかればいいんだよ、見とけよ。油をひく時にはこうするんだ」
キッチンペーパーに油を染み込ませて、プレートを軽くこすっていく。これで油を綺麗にひける。
「じゃあ焼いて行くか?」
「ああ、腹が減った。我がひっくり返すのやりたい。銀河帝国の王子たる我にひっくり返せないものはないのだ。帝国もお好み焼きも」
「あのさ、お前が銀河帝国をひっくり返したら、民主化とか帝政の崩壊になるんじゃないのか?SFとかだとあるけどな、継承順位の低い王子が他の兄弟と艦隊を率いて争い合うスペースオペラ」
「あ、」
「あ、じゃないけど。まぁ良いや。焼いて行こうぜ」
プレートにどばーっとまいて丸くしたら、豚肉をトッピングして行く。キャベツを切る作業を、王子にやらせたから俺が肉を担当しようじゃないか。
「おい、待て地球人。肉の分布に偏りがあるように見えるが?」
「っち!バレたか」
「なんと浅ましい!これだから辺境惑星民は!肉の扱いは平等を記すべきであろう。我に粉とキャベツだけ食えと言うのか?」
銀河帝国の息子とか言う平等に一番遠い存在がなんか言ってる。流石にやりすぎたので、ちゃんと一面にトッピングして行く。
「おお〜焼けてきたじゃん!もうそろそろじゃないか」
「我に任せよ。綺麗にひっくり返えしてみせるわ。革命!」
革命しちゃうのかよ。
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どうも土蛇尚です。未だかつてお好み焼きを焼くのに3話を要したSF小説があったでしょうか。だいたいこの調子で話がこれからも続きます。お付き合い下さい。
ところで連載中のSF「ソロ日本人ソロキャンプ」の方もよろしくお願いします。
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