地球の危機 キャベツ

「お前それってどう言う事だ?キャベツはもっと切れ」


 同居してる宇宙人が明日地球に艦隊が来ると言い出した。晩飯のお好み焼きに使うキャベツを切りながら。


「あゝ宇宙艦隊って言っても移民を乗せた艦隊だがな。我が帝国も開拓事業を進めている。他国に遅れをとっているからな。遠くを通るだけ。安心せい」


 お好み焼きの粉を混ぜながら聞く。あ、卵忘れてた。


「他国ってお前、銀河帝国の王子なんだろ。帝国って事は宇宙最強とかじゃ無いのか?」


なんかそう言うイメージがある。こいつ天かす好きかな。


「何を言っておる?お前の国も少し前まで『帝国』だったであろう。その近くの国も『帝国』だったし、そのもう少し上の国も『帝国』じゃった。それは宇宙でも変わらん。言ったもん勝ちの箔付けよ」


 まぁ確かに。


 詳しく聞くと帝国もたくさんあって『共和国』とか『公国』とかもあるらしい。


「まぁ地球の事が羨ましいとは思う。貧しくて何も無いし極めて技術レベルも低い、大した歴史はなく、価値のあるものを持たない。だからこそ無視されている。この星をどうこうしようとする動機が一切起こらない」


「いやめっちゃディスるじゃん」


 こいつの分の豚肉減らしてやろう。


「そうか?価値あるものを持たない、攻められる事がない。とても良い事じゃないか。だがこれから先もそれで良いとは限らんがな」


「そう言うもんか〜ってキャベツ!切りすぎや!このナス!」


 2人で食うのにキャベツ半玉、全部切りやがった。


「ナスとは何だ、ナスとは!ナスはこの星原産の作物の中で一番うまいぞ。ナスを悪く言うな」


 なんか大事な事聞き流した気がするけど良いや。プレート出して焼いちまおう。そう言えば、この宇宙人ナスの油びたし焼きをめっちゃ気にいってたな。『ナスは高知県産じゃないといかん』とかほざいてた。


「このナス星人が。良いから焼くぞ。お前、油引け」


 こいつと話してると、お好み焼き作るだけでも時間かかる。まぁ悪くはないな。


「おい、ナス!どんだけ油使ってんだよ!揚げる気か?」



__________


どうもこの怪文書のようなワンルームSFコメディーを書いてる土蛇尚です。普段は同じくSFの「ソロ日本人 ソロキャンプ」を連載しております。どうぞそちらもよろしくお願いします。

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