普通の大学生の俺が銀河帝国の息子とルームシェアする話
土蛇 尚
地球の日常
「おい宇宙人、返事しろ王子!」
狭い部屋の一角でマンガを読んでいる宇宙人の後頭部を俺はフライパンでぶっ叩く。こいつの頭は人間の頭と少し違う音が出る。人の頭フライパンで叩いたことないけど。
地球侵略ってプリントしたTシャツを着てたのも腹が立った。
「おいバカか?それ凶器ぞ?地球人は好戦的な星人なのか?」
こうやって抗議してくるこいつは、正真正銘の宇宙人だ。俺の家に住んでる。ちなみに銀河帝国の王子らしい。
「呼び掛けても返事しないからだろ。Wi-Fiが遅いんだよ、もっと頑張れ」
迷惑でしかないこの宇宙人にも一つ役立つ事がある。こいつの近くにいると何故かインターネットに繋がる。タダで。これは大学生の俺にとって助かる。レポートの提出なんかもあるし。
「だからって殴らなくても良くない?地球が銀河連合に加盟してたら外交問題ぞ?少し待て。みょんみょんみょん……」
回線が良くなった。これでY◯uTubeを720p高画質で見られる。かれこれこの生活を半年くらい続けてる。もう色々慣れた。光回線は解約した。
「おい、地球人。このルイ14世って個体は面白いの〜」
どう言うわけか小学生向けの歴史漫画を読んでた。フランス史の巻みたいだ。
「ブルボン朝最盛期の王だからな、面白いか」
「いや、そうではない。この王は『太陽王』と称されたそうだな。でも我の母星には太陽が二つある。二連星だからな。自分の頭上に太陽が一つしかないからと唯一性、絶対性をたかが一恒星に求めるとは何と視野が狭い」
ちょくちょく星間国家としてマウント取ってくるの腹立つな。まぁいいけど。
「そうか、今日お好み焼きだぞ、お前キャベツ切れ」
「お好み焼きか!任せろ」
俺はキャベツを刻む宇宙人の隣で粉を混ぜる。もう色々慣れた。
「ところで言い忘れておったが明日、帝国の宇宙艦隊が来るからな」
「は?どこに?」
「地球に。キャベツこのくらい切ればいいか?」
俺の日常はこうして続く、地球は危機に瀕する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます