第5話
佐倉さん、いや玲奈が俺を気遣って話しかけてくれたお陰で、少し距離を取ることなく話すことができ前より仲良くなれた気がする。
しかし、奈那との距離は変わらない。
会話は玲奈を介してしているため、玲奈が話しかけてくれるがその時の会話は俺と玲奈だけでしてるし、玲奈と奈那との会話に俺は入らない。
玲奈がどうにか距離を縮めようとしているがそれができていないので玲奈が誘った意味がない。
俺としては2人きりだと気まずいが玲奈がいればそこまでなので今回は目標達成でいいと思うが、玲奈から見ればあまり変わっていないように見えていると思う。
だから、俺は玲奈のためにも奈那に話しかける。
「奈那、ちょっといいか?」
「えっ、はい。なんですか。」
「LAIN交換しないか?」
そう言ってポケットからスマホを取り出して奈那に見せる。
「あ、はいって、えっ?お姉ちゃんじゃなくて私とですか!?」
奈那は驚く。
玲奈とはクラスのグループがあるのでそこで交換することができる。
クラスのグループからは友達だが持っていなかった人のやつしか取っていないのでまだ玲奈のやつを持っていないが入れようと思えば入れられる。
玲奈が俺のやつを持っていてくれれば嬉しいななんて思ってる。
「そうだよ。佐倉さんのは...。」
そう言った瞬間、斜め前からすごい視線を感じる。
見ると玲奈は
「佐倉さんじゃなくて、玲奈でしょ。」
と注意してくる。
奈那を呼ぶのに抵抗がないわけではないが、後輩だから名前で呼ぶのに玲奈程ではない。
玲奈の方は佐倉さんと一年半呼び続けていてそっちでなれていて、玲奈って呼ぶと少し恥ずかしい。好きな人だし。
「すみません。佐倉さん呼びで慣れているから少しの期間は許してください。」
「うーん。しょーがないなー。少しだけだよー。」
少し悩んでいたが許可をもらえた。よかった。
「それで?私のはなんって言おうとしたの?」
そういえば、LAINの話してたんだっけ。
「ああ、佐倉さんのはグループからすぐに取れるからいいかなと。」
「グループねぇ。和佐くんは私のやつもう持ってるの?」
持っていたとしてもそれはそれでキモいのでこの答えって持ってないって言うしかないじゃん。
「いや、まだ。佐倉さ、玲奈は?」
「えっ、あ、私もまだ。」
そうだよな。俺のやつを追加してるわけないよな。うん。知ってた。
「なら、ついでに私たちも交換しようよ。」
そう言って玲奈もスマホを取り出す。
「ほら、奈那も出して。」
玲奈にそう言われて、奈那もスマホを取り出す。
三人とも机の上にスマホを乗せて連絡先を交換する。
「じゃあ、和佐くんに私たちの教えるから、追加したらメッセージ送って。」
「わかった。」
玲奈と奈那のスマホに写っているQRコードを読み取り追加する。
なんか、いい感じにことが進んでいる気がする。
追加した連絡先を確認して、メッセージを打つ。
なんて打てば変に思われないか。普通ってどう打つのか。
そんなことを考えながら打ったメッセージを玲奈に送る。玲奈に送ったらすぐに同じ文を奈那に送る。
「送ったよ。」
そう言うと2人のスマホの音が鳴る。
突然、スマホから音が出たことに少々驚く。
普段、授業中などに鳴るとめんどくさいのでマナーモードにしている。だから、音が鳴るとは思っていなかった。
「あっ、きたきた。」
2人は全然音に関しては気にしていない。
多分、朝時間がなくてマナーモードにし忘れたなと自己完結して気にするをやめる。
「えっと、なになに。よろしく。って短いね。」
「いいだろ。そっちが追加するためのメッセージなんだし。」
「えー、初めてのメッセージのやりとりなのにこれはなんか面白くないよ。」
玲奈は不満そうだった。奈那の方はメッセージを見て微かに笑っている。
正直、変に長いと気持ち悪いし、あ。とかだったらそれこそつまらない。
よろしくっていうのは無難にそこそこいいメッセージだと思ったんだけどな。
「俺に面白さを求めるな。」
「えー。」
この二日間でかなり仲良くなったと思う。そうでなきゃ、無茶振りとかはしてこないと思うし。なんだかんだで奈那には感謝しなきゃいけない。
和佐と玲奈がそんなやりとりをしていると、スマホに一件の通知が来る。
そこには
「こちらこそよろしくお願いします。」
と言う奈那からのメッセージがあった。
初日にあった時以降、かなりの距離があったと思うが少しだけその距離も縮んだ気がする。
「まー、いいや。じゃあ、連絡先の交換も終わったし、今日はこれくらいにしよっか。」
そう言われて時計を確認するとそろそろ教室に戻らないといけないくらいの時間になっていた。
「そうだな。」
と立ちあがりお皿を片付ける。
片付け終わると
「奈那と少し話してから教室に戻るから、和佐くんは先に戻ってて。」
と言われる。
「わかった。じゃあ、玲奈はまた後で。奈那はまた明日かな?」
「うん。後でね。」
と玲奈が。
「また明日。」
と小さな声で奈那が呟く。和佐はそれを聞いて教室に戻った。
放課後、好きな人に告白されると期待していたらその妹に告白された! 吹雪く吹雪 @hubuku_hubuki
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