第144話 一難去ってまた一難!? エルちゃんに忍び寄る影
◆
「楓さん! 本当に申し訳ねえ!」
「いえいえ!? こちらこそ紛らわしい格好をしてすみません......彩芽さん、皆様も顔をあげて下さい!」
今回の出来事でお互い少し勘違いをしてしまい事が大きくなってしまった様ですね。あれからお互いに事情を話し合い、警察の双子のお姉さんや彩芽さん達も納得してくれて何とか今に至ります。
彩芽さんは話して見ると真っ直ぐで素直な御方......とても極道の親分とは思えませんね。彩芽さんは、出会ったばかりのエルちゃんの事を心配してくれた優しいお姉さんでした♪ 私も色々と反省しなければ行けません......お姉さん達がエルちゃんを愛でる姿を見て、嫉妬する何て私もまだまだ未熟です。それにエルちゃんは将来私と結婚するんだと言ってくれてるんだからね♪
「ふぅ〜誤解が解けて良かったわねぇ......彩芽ちゃん、こちらこそ迷惑掛けちゃってごめんなさいねぇ」
「こちらこそすまねぇ......まさかキララの姉御が動いて居たとは驚いたぜ。それにそこの双子のサイコパス......瑠璃奈と魅音も動いて居たとはな」
「はぁ!? 神楽坂彩芽! 貴方にサイコパスと言われたくありません! 逮捕するわよ!?」
「あん? して見ろよ。この腐れビッ〇」
「な、何ですってん!? わ、私はまだ処女ですぅ! あんた何て! ○○○○して○○○○よ!(自主規制)」
「突っ込む所そこ!? るり姉! 落ち着いて!」
「魅音離して! 今日こそ、この女を逮捕してやるんだから!」
「おいおい......瑠璃奈。そんなに興奮すると胸のパッドズレるぞ?」
うふふ......何だか大所帯になってしまいました。皆立場は違えど、優しくて愉快で素敵な人達ばかりですね♪
「パッド何て............入れてる訳無いでしょ!」
「おい、何だ今の間は......まさかお前本当に」
「私のは天然物よ! 神楽坂彩芽、あんたは無期懲役よ! 一生塀の中に居れば良いわ! バーカ! アホ! ばぁぁぁぁぁああああか!!」
「ガキかよ......頭撫で撫でしてやろか?
「あ"あ"ん"!?」
「ちょっとるり姉! 落ち着いて! るり姉は口喧嘩弱いんだから、ここはもう撤退した方が良いよ!」
「彩芽お姉様......絶対楽しんでますよねぇ」
「美玲、見てみろよ〜瑠璃奈の奴涙目浮かべてるぞ!」
「浮かべて無いわよ! この行き遅れ! どうせ貴方も男性経験無いのでしょ!?」
「はぁ!? 沢山あるに決まってるやろ! 同性経験なら(ボソッ)」
「え? なぁんですかぁ? その歳で殿方との経験無いんだぁ〜ぷぷ」
「るり姉......ブーメラン刺さってるから。お願いだからもうその辺にして」
何だかんだ瑠璃奈さんと彩芽さんは仲が良いのかしら? 犬猿の仲とは言いつつも喧嘩する程仲が良いと言いますからね。
「2人とも落ち着いてちょーだい。争ってる暇は無いわよ。彩芽ちゅわん、ここからは提案何だけど、ここはみんなでエルちゃんのおつかいをサポートしないかしらぁん?」
「おう! キララの姉御、任しとき! こちとら元よりエルちゃんの事を守ったろう思うてた所やで!」
「ありがとう♪ では改めて作戦会議を開こうかしらねぇ〜瑠璃奈ちゃん達も良いかしらぁん?」
「ええ、エルちゃんのサポートをするのは大賛成です。ただし、極道と手を組むのは些か不本意ですけどね!」
「確かに言い分は分かるわよん〜でも瑠璃奈ちゃん、そんなツンツンしてたら良い女が台無しになっちゃうわよん? 今日はあたしの顔に免じて、協力してくれないかしらぁん?」
「むむ......わ、分かりました」
商店街の一角に警察の方々、キララさんのお店の人達、彩芽さん率いる極道さん達と総勢何人居るのかしら? 通行人の人達も何事かと興味津々と言った感じで見ていますね。商店街の方々に迷惑掛けてしまった事は本当に申し訳無いです......
「まあ、何にせよ。大きな事件が起きず平和で良かったぜ。楓ちゃん、葵ちゃん久しぶりやな」
「翔吾さん! お久しぶりです!」
「翔吾お兄ちゃん! お久!」
私達に声を掛けて来てくれたのは、親友の明美のお兄さんです。名前は
「何や、楓ちゃんと葵ちゃんは翔吾の知り合いやったんか......こんな可愛い子が居るならあたいに紹介しろよな」
「姐さんに紹介する訳無いでしょうが......とりあえず事情はわかりましたけど、その護衛するエルちゃんと言う子はどんな子なんです?」
「翔吾もエルちゃんに会ったら、きっと虜になってまうで♪ この子だよ」
彩芽は翔吾にエルちゃんの写真を見せた。翔吾は少し驚いた様な顔をして写真を凝視する。
「え、まじ? やっば! こんな可愛い子がこの世に存在するのかよ......金髪のロリちゃんか......痛てて!?」
「兄貴、エルちゃんが可愛いからって手を出したら駄目だからね」
「明美、心配するな。俺にロリコンの毛は無いぞ? お兄ちゃんは妹一筋やで♪」
「キモ、死ねば良いのに」
「なっ......!? 明美、お兄ちゃんにはもう少し優しくしてくれても......」
「まあ、駆け付けて来てくれた事は......ありがと」
「お、おおぉぉおおお!? あの明美が......俺にお礼だと!? 今日は豪勢な晩御飯にしなくちゃな! 今日の晩御飯はシャトーブリアンに決まりやで!」
「うるさいな! この馬鹿兄貴!」
「よしよし♪ 明美は相変わらずのデレの無いツンデレ何だから♪」
「人前で頭撫でるな! ど阿呆!」
明美と翔吾お兄さんは昔からいつもこんな感じです。お兄さんが過保護だから、明美は【ウチの馬鹿兄貴がまた......】と何度聞かされた事やら♪
「彩芽お姉様、可愛いロリちゃん......エルちゃんが向かうのはホモネコバリューでしたよねぇ?」
「あぁ、それがどうしたんだ美玲?」
「おっけ〜じゃあ、ホモネコバリュー買収しときますねぇー」
「ふむ、まあ良いだろう。だけど先方にはきっちりと事情だけは話した方が良い。これからホモネコバリューには人が集まるやろし」
え、買収? 今、物凄く軽いノリでとんでもない事を聞いちゃった気がするけど、私の気の所為かしら? き、きっと私の聞き間違いだよね? うん、きっとそうよね......?
「あの......彩芽さん、それでエルちゃんは今大丈夫なのでしょうか?」
「あぁ、問題無いぞ。あたいが信頼してる小野寺と言う爺が面倒を見てくれてるぞ」
「そうですか......なら良かったです」
彩芽さんがそう言うなら、ひとまずは安心ですね。今更ながらエルちゃんに1人でおつかいをさせる事が段々と不安になって来ちゃいました......こんな事になるとは夢にも思いませんでしたよ。
「良し、ここは警察&極道で手を組んでエルちゃんの初めてのお使いを全力でサポートしようやないかい! 美玲! ド派手に行こうや!」
「良いねぇ〜いつもは争ってばかりだったけど、たまにはこう言うのもありよねぇ〜【剣龍会】のみんなも呼んじゃお♡ 氷華ちゃん、あの子達も呼んで派手に行こ♡」
「了解致しました......うふふ♡」
「ん? 氷華ちゃんその手に持ってるのは、なぁに?」
「何でもありませんよ♪」
「珍しく氷華ちゃんが上機嫌......明日南海トラフ地震来ちゃうかもしれないわね......熱でもあるのかしら?」
「エリカお姉様......モモネちゃんのサイン......ぐふふ♡ 今宵は色々と捗りそう(ボソッ)」
「氷華ちゃん? もしもぉ〜し?」
氷華さんたら♪ 私と葵ちゃんがサインした色紙がそんなに嬉しかったのかな? 見てるこちらも嬉しくなっちゃいますね♪
「ここだと商店街の皆に迷惑を掛けちまう。全員取り敢えずあたいの事務所に来てくれ。そこで続きを話そうぜ」
「あら、彩芽ちゃんありがとねぇ。お言葉に甘えちゃおうかしら」
「うし!
「「「へい!」」」
エルちゃんが何も知らない所で、警察、極道、早乙女キララ率いる四天王とお店のキャンディーちゃん、そして楓達は一丸となり、エルちゃんにバレない様に全力でサポートしようと行動を開始する。しかし、この後また更なる波乱がエルちゃんに迫って居る事をまだ誰も知る由も無かった。
◆
―――とある資材置き場にて―――
「Ха. ............ Японские сигареты тоже отличные(ふぅ......日本のタバコも素晴らしいねぇ)」
コンクリートの壁に背を預けながら、黒いスーツの上に高級なコートを羽織っている金髪に白いメッシュを入れた人物がタバコを吸いながら空を見上げて居た。淡いブルーの瞳で片目には眼帯をしており、十字架のピアスを付けて、髪の長さは肩より少し下くらいで中性的な美しい顔立ちをした白人の女性だ。憂いを帯びた儚げな瞳と何処か王子様の様な気品のある美しさを滲ませている。
「葉月さん、神楽坂組に動きありです」
「そっか......この寒空の下、わざわざ僕達が出向く事になるとはね......エレナ、神楽坂組の動きは?」
「はい、現在商店街に向けて数多くの構成員が集結しています。【
「凄い戦力だね。あの神楽坂組が全総力を上げる程の事案が起きたと言うのかな?」
【
「部下からの報告に寄りますと、何やら金髪の幼い女の子を護衛してる様な動きをしていると......【小野拳王会】の会長が直々に護衛しているそうです。周りには小野拳王会の精鋭部隊が約50名程潜伏しながら護衛をしており正に鉄壁の構え......日本の警察も動きを見せているのと怪しげな黒づくめの者達も動いているそうですね」
「ふむ。他の勢力との抗争かい? それにしても情報が足りない......でも、ただ1つだけ言えるとすれば、その金髪の幼い女の子が鍵を握っているね」
情報が全然足りないな。あの神楽坂彩芽が配下まで集めるとは余程の事。【小野拳王会】の会長は、今は老いたとは言え武術を極めた達人。そんな人が直々に護衛をする何て......それに金髪の幼い女の子か。
「クリスお姉様! 大変なの!」
「おい、フィーネ。外でその呼び名はやめろ。この国での僕の名前は、
「す、すみません......!!」
フィーネ・アガスティア、銀髪で八重歯の目立つポニーテールの愛らしい女性だ。こう見えて僕と同じ執行者の肩書きを持っては居るが、頭の方が滅法弱く全てを胸に栄養が持ってかれた様な馬鹿......ごほん、愉快な女性だ。もう1人は執行者のエレナ・フォンターネ、こちらは眼鏡を掛けた金髪で髪の長い女性だ。お人形の様に完成された美、そして誰よりも冷酷で暗殺を得意とする暗器使いである。
「して、フィーネ、要件は何?」
「下の者が......神楽坂組の【剣龍会】と衝突してしまったみたいなの!」
「はぁ、やれやれ......本当に血の気が多いですね。まあ良いでしょう。どのみち僕達は抗争を避けられない」
「よぉ〜し! ちょっと蹴散らして来るね!」
「Фин, тебе нужно успокоиться. Активность - не лучшая идея.(フィーネ、冷静になりなさい。考え無しに動くのは良くないよ)
僕が日本に来た理由......それは天狼会の神楽坂組を潰す事。1年前に僕が所属する組織、秘密結社【ロスモンティス】の日本での麻薬密売と子供を攫って売り捌く人身売買の非合法をしていた部門が、神楽坂組に全て潰されてしまったのだ。そのお陰でボスは怒り狂い、報復に幹部と暗殺部隊を複数日本に送り込んだがこれも壊滅。
それで、秘密結社が誇る最高戦力の僕達が遠路はるばる海外から日本へとやって来た訳だ。10人居る執行者の中で、今この場に3人が揃う事は極めて稀なことである。ボスの本気の様子が伺える。
「エレナ。他の者達は?」
「はい、何時でも動けます」
「良し、ならば僕達もそろそろ動こうか。神楽坂組の精鋭達が1箇所に集まる機会は早々無いからね。まずは【小野拳王会】が護衛している幼い金髪の女の子を誘拐するよ」
「了解。私達、執行者が3人も居るのです。結社の最高戦力の葉月さんも居ます。しくじる要素は皆無と言えるでしょう」
「エレナ、油断は禁物だよ。相手は日本の極道の中でも一番危険な相手だ。神楽坂彩芽自身もSSS級の危険人物だけど、配下も人間を辞めた様な連中ばかりだよ。気を抜けばこちらが殺られるかもしれない」
神楽坂組の目的はまだ不明だけど、これは千載一遇のチャンスかもしれない。私達の目的は神楽坂組を潰す事。敵の総大将......神楽坂彩芽を討ち取れば僕達は本国へと帰還出来る。その為に金髪の幼い女の子には犠牲になってもらおう。
「厄介のも居るね......若頭の【ドスの鮫島】と【早撃ちの煌坂】に【不死身の剛田】か」
ふふ......久しく見ぬ強者か。これだからJAPANの極道は面白い。強き者と対峙するのがこんなにも楽しみだ何てね。
「葉月さん、個人的には【剣龍会】の綾辻美玲が一番ヤバそうですね。この女、これまでの経歴を見ると相当にクレイジーですよ」
「他にもヤバそうなのが居るか......良いね♪」
―――秘密結社【ロスモンティス】―――
組織の規模は非常に大きく世界各地に支部がある程だ。密売に人身売買等お金になるのであれば、大統領の暗殺も請け負う程の闇の勢力。その中でも10人の大幹部が執行者と呼ばれており、それぞれ各支部の長として君臨している。葉月透......本名はエメラルダ・クリスティーネ。秘密結社が誇る大幹部の1人で最強の執行者を誇り【ジャンヌ・ダルク】と言う異名で呼ばれて居る。
執行者No.Ⅰ 【ジャンヌ・ダルク】
◆エメラルダ・クリスティーネ
執行者No.Ⅱ 【刻死線】
◆ベルメスタ・アレクトー
執行者No.Ⅲ 【黄昏】
◆マクシード・トワイライト
執行者No.Ⅳ 【白銀の戦姫】
◆フィーネ・アガスティア
執行者No.Ⅴ 【爆炎の支配者】
◆ハーミット・F・エンフォーレ
執行者No.Ⅵ 【女帝】
◆バレンティナ・D・フランドール
執行者No.Ⅶ 【黎明】
◆ルミベルト・オペランディ
執行者No.Ⅷ 【暗黒騎士】
◆オーロット・アイゼンベルク
執行者No.Ⅸ 【黄金の剣聖】
◆エレナ・フォンターネ
執行者No.Ⅹ 【厄災】
◆ヴァーン・ディザスター
「Как далеко вы зайдете, чтобы развлечь меня?、(さあ、何処まで僕を楽しませてくれるのかな?)」
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