第141話 神楽坂組【剣龍会】の女帝降臨
◆
―――商店街某所・路地裏―――
「鮫島、守備はどうなっとる?」
「はい、姐さんの指示で続々と各地から組員が集まっていやす。他の者には黒づくめの2人組の動向や周囲の警戒、怪しい人物が居ないか探ってもらってる所ですぜ。そして、エルお嬢ちゃんには【小野拳王会】の組員が護衛に付いています」
「ふむ、爺がついてるなら安心やな。美玲と省吾はどうしとる?」
「美玲殿は現在こちらに向かっているとの事、もう間もなく到着されるかと。省吾殿は後程合流するそうで」
「了解や」
敵の勢力が不明ではあるが万が一と言う事もある。相手の数が多いならば数で押し潰せばいい。素直で純粋なエルちゃんに忍び寄る悪意は、あたい達が排除したる!
「彩芽お姉様ぁぁぁああああああ♡♡♡」
「うわ!? 気配消して近付くな......びっくりしてもうたわ。美玲、着くの早かったな」
「プライベートジェット機で直ぐですよぉ♡ 彩芽お姉様の命令であれば、地球の裏側や魔界でも何処へでもお供致しますぅ♡」
「来てくれてありがとう......って! 引っ付くな! いちいち抱き着かなくてええから! 後胸があたしの背中に当たってる!」
「わざと当ててるのですよぉ♡」
本当何で美玲がこんなに好意的なのかホンマ分からんわ。確かに美玲とは付き合いは長いけど、あたし美玲に好かれるような事をした記憶は無いぞ?
「ど阿呆......」
「あぁ〜ん♡ もっと罵って♪ 私をもっと虐めてぇ〜私の穴は全てお姉様専用ですぅ♡」
「うわっ......変態や」
「へへ♡」
美玲は昔から女が大好きで本当に救い用の無い変態さんや。美玲がもし男だったら、今頃刑務所の中で万年服役中やで......本当、美玲が女で良かったわ。ホンマ美玲は歩く18禁やでぇ......この世に解き放ってはイケナイ女や。
「えへへ♡ 彩芽お姉様抱いて♡」
「調子乗んな」
「ぐふっ......♡ あぁん♡ お姉様ったらぁ〜ツ♡ン♡デ♡レ♪」
彩芽は抱きついて来る美玲の頭にチョップをした。
「え〜ん、お姉様痛いよぉ〜でもぉ、そんなツンツンしたお姉様もす♡て♡き♡」
「お前は本当にブレないよな......」
「えへへ〜それほどでも〜」
「いや褒めてねーよ!」
今更になって少し後悔して来たぞ。こいつだけは呼ぶべきでは無かったか? いや、でもこう見えて美玲は神楽坂組の中でも武闘派でクレイジーとも呼ばれる剣龍会のボス......喧嘩も強くそれに上納金の額も凄まじく大富豪のお嬢様だ。だが......味方としては凄い頼もしいが、こいつの近くに居ると私の貞操が危ないのが少しネックやな。
「ごほんっ......美玲、先程電話で言った事だが」
「うふふ♡ 可愛い幼女ちゃんの護衛ですよね? どんな幼女ちゃんなのぉ?」
「あぁ、この写真に写ってる金髪の女の子や」
彩芽はスマホで撮った写真を美玲に見せた。それを見た美玲の顔は大きく目を見開いて、口元に手を当て肩をプルプルと震えさせている。
「なっ......か、かかかか可愛い!!!!! ええ!? 幼女ちゃんのコスプレぇ!? 何この尊い金髪のロリエルフちゃん! めっちゃ可愛い♡ まだママのおっぱいが恋しいお年頃じゃないですかぁ♡ あぁ♡ もう無理♡ 苛め......ぺろぺろしたい♡ 襲っちゃいそう......いや待って? 大きくなったらR―18禁じゃないですかぁ!? 触手プレイに犯されて【くっ......殺せ!】とか言うお決まりのパティーンですね! 分かりますよぉ〜良し、この子を養子に迎えますぅ♡ 大きくなったら私の秘書に♡」
「おいおい......エロ同人誌の見過ぎやわ。まあ、気持ちは分かるがお前は少し落ち着け。そして、この子の名はエルちゃんだ。一人だと誘拐されてしまう恐れがある為、私達で護衛したろ思うてな」
「じゅるり......ぐへへ......私が誘拐しようかなぁ♪」
「おい美玲」
「もお〜分かってますよぉ〜うふふ♡」
本当に大丈夫やろか......まあ良いか。さて、私達もエルちゃんの元へと向かおう。エルちゃんには神楽坂組と言う鉄壁の護衛がついとるさかい♪
「あの......美玲殿」
「あらあらぁ? 鮫島居たの」
「さっきからずっと居やしたぜ」
「むさ苦しい男は眼中に無いのですぅ〜今愛しのお姉様と一緒何だからあっち行ってよ〜しっしッ」
「やれやれ......では姐さん、後は頼みやす」
「え、おい! 鮫島、あたいを1人にするな......! あぁ、行ってもうた......」
あいつ逃げたな。自分一人だけ逃げるとはええ度胸しとるやないかい。なぁ鮫島よ?
「彩芽お姉様♡ やっと2人きりになれましたね♡」
「お、おう......せやな」
「私ずっと待ち侘びて居たのですよぉ? お姉様が私をベッドに呼んでくれる日をずっ〜と!」
「だから何でベッド何だよ! あたいと美玲は女やろが!」
「真なる愛の前には性別等関係ありません! 私の身体は女ですが......心の中には、誰よりも硬く......野太くて立派な〇〇〇〇が生えています! 私の心の中に生えてる性剣エクスカリバーは何時いかなる時もビンビンですぅ!」
「顔が近い! 離れろ変態! ど阿呆!」
美玲が彩芽を壁際まで追い込み、何と彩芽を壁ドンして迫ろうとしている。しかし、その時運悪くガラの悪い2人組の男が彩芽と美玲に下心ありきで近付いて来たのであった。
「あれれ〜ちょっと、そこのかわい子ちゃん達一緒にお茶しない〜?」
「うひょ〜! 巨乳美女じゃん! 激アツやんけ!」
うわ、こんな時に面倒なのが来やがったよ......しかも、美玲が居る前でナンパとかこいつら死んだな。これはあたしが早々に沈めて置いた方が、こいつらの身の為かもしれん。
「えへへ〜かわい子ちゃんだなんてぇ〜ありがとうございますぅ。お兄さん達ぃ......向こうの路地なら人が居ないからぁ〜私と良い事しよっかぁ♡」
ガラの悪い男達に向けて、美玲は胸元を強調し豊満な胸の谷間を顕にさせる。男達は谷間を見て股間を膨らませ興奮気味で美玲に近寄った。
「あぁん♡ 身体がうずいちゃう♡」
「おお!? お、俺達としてくれるのか!?」
「今日は最高についてるぜ!」
「うふふ......お姉様、少々お待ち下さいませ♪」
「美玲......おまえ」
美玲の異名は【無慈悲なる女帝】。天狼会の中で一番怒らせると怖いのは、間違い無く美玲だろう。若頭の鮫島ですら美玲には逆らえないからな。あいつは喧嘩も強い上に権力まで持ってるから、今までの数多くの不祥事や悪事を無かった事にしやがるからやべぇんだ。
「ねーちゃん早くやろうぜ!」
「もう俺......我慢出来ねーよ!」
「もお〜そんなに私とエッチなことぉ〜したいんだ♪ えへへ♡ 殺す(ボソッ)」
そして美玲と男達は薄暗い路地裏へと消えて行った。
「ぎゃあああああああああ!!!」
「だ、誰か助けてくれぇ!! ぐはっ!?」
何だか嫌な予感がする。流石に止めに入った方が良さそうだな......男らを援護する気は無いけど、そのままにして置けば死体処理班を呼ぶ事になりそうや。
彩芽はこっそりと美玲達の様子を見ようと壁際からそっと覗いた。するとそこには見るも無惨な光景が繰り広げられているのであった。
「誰か......た、たすけてぇ......」
「おい、てめぇ......愛しの彩芽お姉様と私の間に割り込んで来るとは良い度胸してるわよねぇ! ゴキブリ糞ナメクジ野郎が! ブチ殺すぞ? あぁん? てめぇの手足バラして東京湾に重し付けて沈めて差し上げるぞゴラァ?」
「ヒィッ......!?」
美玲の表情は闇堕ちした様なブラック美玲へと変貌していた。その迫力は言葉に出来ない程に恐ろしくゾクゾクするような雰囲気を纏っている。
「おまえさっき彩芽お姉様の胸ガン見してたよなぁ? てめぇの汚い視線で、お姉様の御神体が汚れたらどう責任取ってくれんだ、あぁん? ブチ殺〇〇〇〇〇〇〇〇〇して〇〇〇〇〇〇〇〇〇(自主規制)だぞ? 私達に喋り掛けて来るなら......死んで美少女に生まれ変わってから出直して来やがれやぁああああああ!!!」
普段おっとりとしてるのに二重人格かと疑う程に性格が豹変してやがる。うん......あいつだけは何が何でも敵にしたらあかん女や。美しい薔薇には棘があるものなんやな......
「このクソ虫が......まあ良いわ。今日の私は機嫌が良いの♪ 右手と右足折って半殺しで許してあげる♡ はぁ♡ 私ったら、何て優しい女なのでしょう♪ えい♪」
「ぎゃああああああ!!?」
「およよ? そうだ♡ 右手と右足を折るのは中途半端よねぇ......よぉ〜し♪ 左手と左足も折っちゃお♡ それ♡」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「あはははは♡ 良いねぇ〜その表情ス♡テ♡キ」
まさに地獄絵図。何処が優しい女だよ......あいつ拷問気質な所がそうえばあったけ。男達、口から泡吹いて気絶してるぞ。てかあいつら瀕死の重症やんけ......あれ生きてるか?
「彩芽お姉様♡」
「お、おう......美玲、こいつら死にかけてるけど大丈夫か?」
「んん〜ちょっとやり過ぎちゃいました♡ てへぺろりんこ♡」
「全く......こいつら闇医者に運んどけよ?」
「はいはぁ〜い♪」
美玲はスマホを取り出して秘書に連絡を入れる。
「もっし〜あかりちゃん、ちょっと2名程重症者が居るから闇医者にぶち込んどいて〜場所は〇〇〇。え? 人使いが荒ぃ? もぉー♡ あかりちゃん〜そんな事言うんだぁ♪
美玲の秘書か......きっと世界一ブラックで労基何てあって無いような物に違い無い。秘書が気の毒でならないな。美玲はビジネスの才も凄いが、ガチなお嬢様でもあるからその我儘っぷりも天下一。あたいの言う事は何でも聞いてくれるのがまだ唯一の救いやで......
「さて、彩芽お姉様。任務を遂行させましょう♪」
「せやな、その前に......まずは黒づくめの2人を捕まえて......」
「まあ♡ 拷問ですね! 私の得意分野ですよぉ♡」
「待て、お前は手を出すな。万が一の時の保険として美玲にはあたいの護衛に付いてもらう」
「はぁ〜い♡」
美玲を呼んだ本人が言うのもあれだが、あたしがこいつの手綱を握って居ないとどうなるかホンマに分からへんわ。頭のネジが1本や2本抜けてるとかそんなレベルじゃないからな。
「所で美玲、部下は連れて来たのか?」
「もちのろんだよぉ! 精鋭50名と
「なるほど、【氷剣姫】か」
綾辻美玲の右腕、名は
「
美玲が名前を呼ぶと暗い路地の方から1人の女性がこちらへとやって来る。カツカツとブーツの音が辺りに響き渡り周囲の温度がまるで下がったかのような感覚に陥った。
「美玲お嬢様、お呼びで御座いましょうか?」
静かで落ち着いた美しい声が響き渡る。氷華の右手には日本刀、そして白いメイド服にガータベルトでミニスカートと言う際どい格好をして彩芽達の前へと現れたのである。
「久しいな......氷華」
「お久しぶりで御座います。ボス」
氷華はスカートの裾を摘み彩芽に見事なカーテシーをした。気品漂う挨拶に彩芽は「おおぉ」と感嘆の呻き声をあげる。
「美玲と氷華が居れば......」
「ボス! 美玲お嬢様伏せて下さい!」
「何だ!?」
「狙撃です!」
上空からの狙撃だと!? 確かに遠目でも確認出来る位置に怪しげやヘリコプターが飛んでるが、ここからヘリまでの距離は相当離れてるぞ!? やはり相手は只者では無いか......海外マフィアと殺り合った時でもここまで凄腕のスナイパーは居なかった。
【⠀
氷華は日本刀を音を立てずに静かに抜刀した。上空から無数の銃弾が、彩芽達に無慈悲にも襲い掛かるが氷華の斬撃が全て銃弾を真っ二つに斬り裂いた。
「これは......殺傷能力の低いゴム弾?」
「ほう......あたい達を舐めてると言う事か」
彩芽の目がギラリと獲物を狙い定めた様な目付きへと変わる。先程までの空気とは180°真逆の方向へと一変した。
「遊びは終いや......美玲、氷華、討って出るぞ」
彩芽の一言に美玲や氷菓は呟いた......【 YES BOSS⠀】と......
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