第128話 一方その頃、心配性な楓と欲求不満の舞香

 





 ◆かえで視点






「んん〜疲れたぁ。もうお昼か」


 一日はあっという間に過ぎて行きますね。書類仕事やりながら会議に新人さんのOJT等で休む暇も無いくらいに最近忙しい。仕事に終わりが全然見えません 。


「さてと」


 お昼休みでもお弁当を食べながらまだ私にはやる事があります。それは来年辺りからエルちゃんを幼稚園に通わせようと思い隙間時間を見付けては良さそうな所を探している所です。


 最近幼稚園や保育園で虐待等の悲惨な事件が多発しているのでしっかりと安心してエルちゃんを任せられる場所を見極めなければなりません。


「失礼します」

「あら、舞香さんお疲れ様♪」

「お疲れ様です」

「舞香さんこちらに座って♪」


 お昼は葵ちゃんの作ってくれたお弁当を食べながら舞香さんや後輩達と一緒に食べるのが会社での日課です。


「楓先輩、今日は里香や美奈子はリモートなので今日は私一人です♪」

「そ、そうなんだ♪」


 ん? 何だか舞香さんの頬が少し赤い.......最近舞香さん様子がおかしい様な気がするけど体調悪いのかな? 仕事無理させてしまっているのかしら.......配布考え直す必要があるかもしれないわね。


「楓先輩、この書類は?」

「あ、これは私の個人的な物だよ。お昼休みとか休憩の時間を使ってエルちゃんの幼稚園を探してるの」

「なるほど、エルちゃんもそろそろ幼稚園デビューですか」

「4月から通えるように色々と準備してる所よ。ちゃんと高校までは通わせてあげたいからね」

「うふふ、楓先輩何だかママみたいですね♪」


 将来は授業参観や学校の行事に私がエルちゃんのママの代わりとして行きます♪ それもまた私の楽しみの1つなのです! 運動会の日は立派なカメラを持ってエルちゃんの輝かしい姿を撮りまくって.......うふふ♡


「エルちゃんの事は妹でもあり同時に私の子供の様に思っているよ♪ 日が経つに連れて愛おしいと言う気持ちがどんどん強くなっているの♪ エルちゃんは甘えん坊さんで寂しがり屋さんだから、大きくなってもお姉ちゃん離れ出来るかしら♡」

「楓先輩の方がエルちゃん離れ出来なさそうですね。楓先輩、エルちゃんは成長すれば間違い無く美少女になりますよ。あれは絶対男子にモテますね」

「そうなのよ! エルちゃんに変な羽虫が寄って来ないか凄い心配なの! 我が家のお姫様に下心で近付く不埒な殿方は根絶やしにしなければ.......」

「まあまあ、楓先輩落ち着い下さい」


 小中高は全寮制の女学院の様な所にエルちゃんを個人的には入れてあげたい所だけど、そこはエルちゃんの意志を尊重したい。何処が良いのか最後に決めるのはエルちゃんだからね。お姉ちゃんとしてエルちゃんのやりたい事を極力させてあげたいです。


「いつかはエルちゃんも素敵な殿方と結婚する日がきっと来ますよ」

「ううっ.......今は大きくなったら私と結婚するとエルちゃんが言ってくれるけど、成長したらボーイフレンドや彼氏を家に連れて来ちゃうのかな.......ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

「楓先輩落ち着いて下さい! もしもの話しですよ!」

「そ、そうよね.......娘を持つ親の気持ちが今なら凄く分かるような気がするわ」


 エルちゃんの事を考えるとつい取り乱してしまう。へんなダメ男に引っかかるのを防ぐ為にいっその事本当に私が結婚すれば.......女の子同士でも愛さえあればカバー出来る!


「楓先輩?」

「あぁ.......大丈夫よ。葵ちゃんもエルちゃんもいつかは結婚するのは分かってるけど、何だか複雑な気持ちなの.......」

「あらあら、楓先輩は異性で好きな人とか居ないのですか?」

「うん、居ないよ〜私は男性と結婚したいとは今の所思って無いよ。私は可愛い女の子が大好きだからね♪ それに私はエルちゃんと葵ちゃんの3人で暮らす今が1番幸せよ♡」

「ふ〜ん、なるほど。では今は好きな人居ないのですね(チラッ)」

「う、うん.......何か舞香さんの圧が強い!?」

「そんな事ありませんよ〜」


 最近気の所為か舞香さんが積極的な気がします。気付けば私の肩と舞香さんの肩が当たるくらいの位置に舞香さんが居ます。私の家にお泊まりに来てから舞香さんは少し変わったのかもしれません。一皮剥けたと言うのでしょうか?


「あれ? 舞香さん匂い変えた?」

「分かりますか!? そうなのですよ!」


 この匂いはシトラスの良い匂いですね。昨日シトラスの匂いが好きとは舞香さんに言ったけど、まさか本当に付けて来るとは.......控えめに言ってしゅき♡ もしかして、舞香さんは私に気があるのかしら? 最近心做しか舞香さんの肌や髪の艶もめっちゃ良いし色気も出て来てるような気がします。


「楓先輩とお揃いですよ」

「そうだね♪」


(いやいや、流石にそれは無いわよね。女性同士だし.......舞香さんは私と違って男性の方が好きな筈。ただ先輩として好意を多少なりとも抱いてくれてるだけだよね。最近変に考え過ぎる癖がある様な気がするわね。自意識過剰になるのは良くない良くない。気を付けよう)


「あ、この飾ってあるエルちゃんと葵さんの寝顔写真めっちゃ可愛いですね♡」

「うふふ♡ そうなの! これは葵ちゃんとエルちゃんが一緒にお昼寝してる時にこっそり撮った一枚なの! どんなに仕事が大変で辛くてもこの写真を見ると不思議と元気が出るの♪」

「楓先輩は良いお姉さんですよね。エルちゃんや葵さんが羨ましいですよ」

「そんな事無いよ〜あ、そうだったわ。確認しなければ行けない」

「確認ですか?」


 平日は家を空ける事になりますからね。我が家の可愛い妹達の安全を守るのもお姉ちゃんの務め。エルちゃんや葵ちゃんの動向を遠くからでも定期的に探る為に靴の中にこっそりとGPSを仕込んでいるからね♡ 休憩やお昼休みの時にちょくちょく確認しているの♪


 私の端末を見ればエルちゃんと葵ちゃんの動きがこれで手に取る様に分かるのです♡ エルちゃんがお家に居れば大丈夫だと思うけど、またエルちゃんがお外に勝手に行かないか心配だったので、私なりに浅はかですが対策を考えたのです。葵ちゃんも最近仕事で忙しいだろうし、エルちゃんの事をずっとは見て居られない筈。


「エルちゃんや葵ちゃんの靴の中にこっそりとGPS仕込んであるんだ♪ これで離れていても少しだけ安心よ」

「えっ.......GPS?」

「うんうん♪ これだけでもまだまだ足りないわね。我が家の防犯対策も不十分だし。最近窓ガラスを防弾ガラスに変え強化鉄格子付きの二重窓にして、家の扉もマシンガンやミサイル打たれても大丈夫な頑丈の強度を誇る最新型にした所よ。空き巣に入れないようにセキュリティ対策も色々と施したし.......後は家の外壁や庭の方にもまだまだ対策したいわね」

「正気の沙汰じゃない.......楓先輩やり過ぎですよ」


 本当はまだまだ防犯の面でも不安な要素は沢山あるけど、やり過ぎると葵ちゃんに怒られちゃうからさじ加減と言うのも大切。葵ちゃんの靴にGPSをこっそりと仕込んでいるのもバレたら怒られそうだし。まあ怒る葵ちゃんも可愛いから良いんだけどね♡ どちらにしろお得♡ うふふ♡


「少しでも不安な要素を潰して置きたいからね〜えっ.......」

「楓先輩どうしたのです?」

「な、何で.......エルちゃんがお外に!? 葵ちゃんは自分の部屋に居る.......ま、まさか!?」


 私は急いで葵ちゃんに連絡をしてエルちゃんの様子を確認しました。場合に寄っては早急に有給を取って早退しないと行けないわ! 






 ―――数分後―――






「ううっ.......良かった。ありがとう、見ず知らずの女子高生さん」

「うふふ.......エルちゃんがお外でお店屋さんごっこをして遊んでいたのですね。微笑ましいです。たまたま通りすがりの女子高生の方に保護されたようで良かった」

「うん、これがガチの変態不審者だったら危ない所だったわ.......エルちゃんもお外で遊びたいお年頃なのは分かるけど、やっぱりまだ1人でお出掛けするのは時期早々だと思うの」


 葵ちゃんから聞いた話しでは、エルちゃんとタマちゃんがお外でお店屋さんごっこをして遊んで居た所、通りすがりの心優しい女子高生の雨宮紗夜さんと言う方にここで遊ぶのは危ないからとエルちゃんの事を見てくれていたそうです。


「少しの間、紗夜さんと言う方がエルちゃんの面倒を見て下さるそうよ.......女子高生さんなら間違いが起こる事は無いでしょう。きっと大丈夫ね。帰ったらしっかりとお礼しなければ.......いや、やっぱり心配だわ! 舞香さん、午後の会議は全て欠席でお願いするわ!」

「楓先輩落ち着いて下さい! 確かに見ず知らずの女子高生さんに大切なエルちゃんを任せるのも不安かもしれませんが、午後からの会議は大事な取り引き先もお見えになるのですよ? 統括の楓先輩が欠席は駄目ですよ!」

「ううっ.......エルちゃんがその女子高生さんに懐いたらどうしよう。万が一にもエルちゃんが【かえでねーたんよりこっちのお姉さんが良いの!】とか言い始めたら.......ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛! もう無理! そんなの私には耐えられないわ! エルちゃんの中で私が一番じゃなきゃダメよ! エルちゃんは将来大きくなったら私と結婚するの!」

「楓先輩! 冷静に!」


 まだ男性がエルちゃんの面倒を見る訳では無いからマシだけど、家族では無い他の女性にエルちゃんを独占されるのは何だか悔しい! 何故か私の中で今猛烈に醜い嫉妬心が産まれようとしているわ。


「だってエルちゃんの可愛さで今まで何人性癖を狂わされた事か.......その女子高生さんもエルちゃんの可愛いさに狂わされて今頃あんな事やこんな事を!」

「楓先輩、すみません!」

「ま、舞香さん!?」


 舞香は色々と取り乱してる楓を床に押し倒して強引に唇を奪った。


「ぷはぁ.......楓先輩、落ち着きましたか?」

「へっ.......舞香さん」

「楓先輩、大丈夫です。部屋の鍵は閉めてありますし.......お昼休みはここに誰も来ませんよ。楓先輩を落ち着かせるには、強引ですがこれしか無いと思って」

「うん、落ち着いたよ。舞香さんありがとう。私も少し冷静に.......んん!?」

「楓先輩がイケナイのですよ? エルちゃんや葵さんが大好きなのは分かりますが、他の女性にも手を出していますよね。こないだ里香と休憩室でキスをしている所を見てしまいました。私の初めてを楓先輩に捧げたのに他の女性とキスをするのは許せません!」


 え、舞香さんそんな事を考えてたの? た、確かに成り行きで里香さんと少しキスをしてしまったのは事実ですが.......あぁ、舞香さんの唇が柔らかい。私の口の中に舞香さんの舌がねっとりと私の舌と絡み合っていやらしい音を立てている。


「楓先輩のお家にお泊まりして以来、あの日の夜の感触が忘れられないのです! 今日はほんの少しだけですが、楓先輩を独占出来る.......わたし半年間ずっと我慢してたのです。少しだけ.......ほんの少しだけなので! 大丈夫、すぐ終わりますから」

「あっ♡」


 て、抵抗出来ない。舞香さんに押し倒されて胸を揉まれながら舞香さんが私の唇を.......舞香さん、前より格段にテクニックが上がっている!? 


「楓先輩の太腿.......エッチで良いですね」

「!?」

「はぁ.......はぁ.......」


 舞香は息を荒げながら右手で楓の太腿を指先でそっとなぞる。左手の指先で楓の口の中に指を入れて顔をそっと近付けた。


「楓先輩のそのうっとりとした表情が堪らないです! 私.......今、楓先輩を独占してる。うふふ♡ 里香や美奈子には絶対に渡さないんだから」

「は、はひ.......♡」

「楓先輩は私の.......」


 あ、頭の中が真っ白になりそう.......あの舞香さんがこうも変わるとは思いもしませんでした! まさか、あの真面目な舞香さんが女の子を悦ばせるテクニックも身に付けているのも想定外です!


「楓先輩、心から愛しています♡ エルちゃんには申し訳無いけど、楓先輩と結婚するのは私です」

「舞香さん落ち着いて! それと私達女性同士よ!?」

「以前、楓先輩言ったじゃないですか.......愛さえあればカバー出来るって♡ それに.......私の初めては楓先輩に奪われました。あの日の夜に耳元で私の事大好きだよと言ってくれたではありませんか!」


 うっ.......確かにその場の雰囲気とノリで言ったかもしれない。まさか、舞香さんあの言葉を本気に捉えて.......


「楓先輩、リラックスして下さい。エルちゃんなら大丈夫ですよ。まずは冷静になって、身体を楽にして下さい」

「あ、あぁ.......♡」

「私、楓先輩の家にお泊まりして以降どうしたらもっと気持ち良くなれるか色々と試したのです。【SMプレイの基本上級編】と言う本を見て少し学びました♪」

「え!? あ、あの本は参考にしたら駄目.......あん♡」

「そんな事言って、楓先輩濡れてるではありませんか。白い下着がこんな事になってますよ?」

「ええ!? いつの間に脱がせたの!?」


 いつの間に私パンツ脱がされたの!? あれ? 今日私タイツ履いてる筈よね? 舞香さん.......恐るべし!


「楓先輩、少し大人しくしてくださいね♡」

「そ、それは.......まさか!?」

「優しく縛りますからね。安心して下さい」

「んん!?」


 舞香さんの目が怖い! メガネが曇ってるし息を荒げながら私のブラも何の躊躇いも無く脱がして.......なんと言う恐ろしい子!


「本当はこんな事しては駄目なのは分かっています。ですが、ベッドでイチャイチャするのも良いですが、職場でイチャイチャするその背徳感も堪りません!」

「舞香さん落ち着いて!」

「私は落ち着いていますよ。楓先輩、一緒に気持ち良くなりましょう」

「ああああ♡」


 楓は後輩の舞香のテクニックの前に為す術も無く絶頂してしまうのであった。

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