第126話 エルちゃん、商売をする?

 




 ◆エルちゃん視点





 僕は日課のかえでねーたんのお見送りに現在玄関に来ています。


「エルちゃん、葵ちゃん行ってくるね♡」

「んみゅ! いってらっしゃいなの!」

「お姉ちゃん気を付けてね〜ちゃんとスマホは持ったよね?」

「今度は大丈夫だよ〜こないだの様な間違いはもうしないから♪」

「スマホとエアコンのリモコン間違えるのはお姉ちゃんしか居ないよ......あの時大変だったんだからね。リモコン無いとエアコン付けれないし」

「あはは......気を付けます......」


 たまにおっちょこちょいな所もかえでねーたんの愛らしい所です♪ 朝に弱いかえでねーたんは相変わらず起こすのは大変で、今日も起こそうとしたら僕が逆にかえでねーたんの抱き枕となっちゃいました。


 かえでねーたんの腕の中が凄く暖かくて僕まで寝ちゃう所でしたよ。結局あおいねーたんに起こしてもらい何とか事なきを得ました。


「かえでねーたん! チューしゅるの!」

「エルちゃん、チュッ♡」

「んみゅ!」


 朝のチューと帰った際のキスは、挨拶するのと同じくらいに大切なのだ。家族なら何処の家庭でもやる事で、これを怠ると悪い事が起きるとかえでねーたんが前に言ってました。だからあおいねーたんにも同様に行ってきますのチューをしたり、逆に帰った際にはちゃんとチューをするのだ。


「かえでねーたん......」

「今日も頑張って早く上がるからね〜エルちゃん、良い子で待っててね♡」

「んみゅ! まってゆの!」


 やっぱりかえでねーたんがお仕事とに行くの寂しい。僕もお仕事をお手伝いをしに付いて行くと言うとかえでねーたんに頭撫で撫でされて、いつもはぐらかされてしまう。僕だってお仕事頑張れば出来るはず。


「エルちゃん、今日は私もお部屋でお仕事あるから一緒に遊んであげれないの......ごめんね」

「おちごと!? あおいねーたん! ボクもおてつだいしゅるの!」

「うふふ......エルちゃんありがとね。でも、エルちゃんにお仕事はまだ早いかな〜」

「むぅ〜ボクもできゆもん!」

「よしよし♡ お昼寝の時は一緒に添い寝してあげるから良い子で遊んで待っててね♪ それにタマちゃんのお世話もしてあげないと〜エルちゃんはタマちゃんのお姉さんだもんね♪」

「んみゅ!」


 良し、決めたぞ。あおいねーたんがお仕事してる間に僕も外に出てお仕事をする! あおいねーたんがお部屋に籠ってる間に家の前で商売をするのだ! タマちゃんにも手伝ってもらおうかな。






 ―――――――――






「ふむふむ......これと、あとこれなの!」


 《ねぇ、エル? 今から何するつもりなの?》


「しょーばいするの!」


 《え、はっ? 商売? エルが? お金の計算もろくに出来て無いのに正気なの?》


「んみゅ! おそとでやるの! これうりゅ!」


 商売の経験は無いけど、最近お金のお勉強を頑張ってしているのだ。ならば、この機会にボクもお勉強の一環として商売を頑張ってみるぞ♪ 


 もし商売が成功すれば、沢山の美味しいおかちや美味しい物を好きなだけ買えるし、かえでねーたんにプレゼントする結婚指輪やあおいねーたんのプレゼントだって買える。リスクはあるだろうけど、やってみる価値はある筈です!


 《ねぇ......エルに問題です。1+1+1=は?》


「ふぇ? 1が......んぅ? 1+1+1? ふむふむ?」


 あれ、僕の知ってるのは1+1=2なのは分かるけど、もう1つ1があるぞ? 何でプラスが2つもあるのだろう? いや待てよ? そうか、これはそういう事だったのか......1+1でまずは2と言う答えが導き出せる。そして、その足して出た2にプラス1をすればすなわち3!


「こたえは......3なの!」


 《ほほう〜流石に頭の悪いエルでも分かっちゃうか。じゃあ...... 》


 むぅ......最近タマちゃんが生意気です! すぐ僕の事をからかったり意地悪して来るんだもん!


 《じゃあ、1500ー80=の答えは?》


「え、えと......へ?」


 タマちゃん、僕の苦手な引き算を出して来るとは......しかも、大きな数字。指で数え切れない数字は、正直言って良く分からない。ここは運に任せて適当に言ってみるしかない!


「10なの!」


 《ぷぷっ......外れ〜エルのざぁ〜こ♡ ざぁーこ♡ 悪い事は言わないから、商売はやめときなさい》


「むむっ......タマちゃんのおやつも......うりゅの!」


 《ほほう〜じゃあ、今からエルがしようとしてる事、葵お姉さんに報告しようかしら? あたしこう見えて物凄く口が軽いからねぇ〜葵お姉さんに怒られて、涙目になるエルの姿が思い浮かぶわぁー》


「ぐぬぬっ......」


 《エル、高級チュール1本で内緒にしといてあげるわよ》


 タマちゃんは本当に現金な猫さんです。仕方無い、タマちゃんの協力を得る代わりにチュールを渡そうではありませんか。確かに僕1人だと不安要素はあるので、仲良し同盟【エルちゃんズ】の軍師タマちゃんが居れば心強い。


「タマちゃん、ちっかりはたらくの!」


 《ふふっ......交渉成立ね》


 さて、商売をするにあたって、商会の名前を決めないと行けない。名前は......【仲良し商会(仮)】にしよう。


 《ねぇ、今日売る物はここにあるやつ?》


「んみゅ! ひなぞろえとうふなの!」


 《品揃え豊富ね。何よ、ひなぞろえとうふって......ぷぷ》


 それはさて置き、家の前で青色のシートを引いて、その上に商品を並べる。今日は色々な物を用意してあるので、沢山売ってお金を稼ぐのだ!







 ◆金髪のヤンキー女子高生・雨宮紗夜あまみやさよ視点






「あぁ〜眠い。学校行くの面倒くさいなぁ。今日もバックレるか」


 何でこんな寒空の下、朝早く起きなくちゃ行けねーんだよ。マジでだるいわ。


「しかし、まあデカイ家だなぁ。敷地どれくらいあんだよ......」


 通学の時に通る道に超大金持ちの家の横を通るのだが、それを見る度羨ましいなと思ってしまう。あたしもこんな大豪邸に住んでみたい。きっと子供もお小遣いとか飛んでも無い金額貰ってるんやろなぁ。


「ん? あれは......」


 え、こんな道端に幼い金髪の女の子と白猫が路上の隅でブルーシート広げて何かしてる。おいおい、いくら車や人通りが少ないとは言え、ここで遊ぶのは危ないだろ。


「タマちゃん! おきゃくきたの!」

「にゃ〜ん♡」


 なっ......!? か、かか......可愛い。何だこの子。エルフのコスプレをしたロリ天使か何かか!? あたしが今読んでるお気に入りのおねロリ小説に出て来る妹ちゃんに似てる!


「いらっちゃいまちぇ!」

「はうっ......♡ お、お嬢ちゃん。こんな所で遊ぶのは危ないぞ?」

「あそびじゃないの! おちごとなの!」

「お、おう。そうなのか?」


 見てみるとダンボールに平仮名で【仲良し商会】と書いてある。何やら色々な物を並べてお店屋さんごっこをしていると言う所か。ふふっ......可愛いな。こんな寒空の下だが、思わず胸の奥がホッコリとして来たぞ。仕方無いな、お姉さんがお店屋さんごっこに少し付き合ってやろうじゃないか♪


「おねえしゃん! やすいお、やすいお! これとか!」

「にゃーん♡」

「ふふ♡ そかそか、ここは品揃え豊富だな。猫ちゃんも可愛ええな♡」


 お、これはお嬢ちゃんが書いた似顔絵かな? 1枚10円、タイトルは......平仮名で【不倫した真理子】と書いてある。突っ込み所が多々あるのだが、まずこんな幼い女の子が不倫と言う言葉を知ってる事に驚きが隠せないのやが......!?


「これね! みくるたんにでてくゆの!」

「えと、魔法少女★みくるちゃんの事かな?」

「しょーなの! こっちはみくるたん! ボクかいたの!」

「おお! お嬢ちゃんお絵描き上手いなぁ!」


 しかし、魔法少女★みくるちゃんでは無く、まほーしょじょ★みくるたんになってる。魔法少女と魔法処女ではかなり意味合いが違って来るぞ!? まあ、ここはお姉さんとしてあえて余裕の態度を持って突っ込まないで置こう。


「こっちはうめぇ棒にレンブラント鉱石?」

「んみゅ! これ、しゅごいものなの!」


 てか、うめぇ棒1つ1円って......安すぎるやろ。これじゃ利益所か大赤字じゃないか......しかも、この鉱石どう見てもそこら辺に落ちてそうな石ころやし。こっちの鉱石はお値段1000円と書いてある。中々に強気な金額やなぁ。


「......」

「うぐっ......」


 お嬢ちゃんの純粋な視線が......もう反則過ぎる! 可愛い過ぎるだろ! そんなにあたしの事を上目遣いで見つめて......商品じゃなくてお嬢ちゃんをお持ち帰りしたいぞ!


「へくち!」

「あらあら、お嬢ちゃん。お姉さんのマフラーあげるからこれ巻いてな」

「ふぇ?」

「これをこうして......首に巻いたら暖かいやろ♪」

「もこもこなの! おねえしゃん、あいあと!」


 ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛何て......てぇてぇんだよぉ♡ あたしを殺す気か!? あたしの死亡原因が、幼い子を見て即死とか笑えへんぞ!?




 ―――あぁ......正直言って、あたしにもこんな可愛い妹が欲しかった。




「これあげゆ!」

「おお、これはうめぇ棒エナジードリンク味か。お嬢ちゃんありがとな♪ 良し、お姉さんがうめぇ棒100円で買うよ♪」

「ふぇ!? いいの!?」

「他のも買ってあげるから、お姉さんにお嬢ちゃんの頭を撫で撫でさせて貰えないだろうか?」

「んみゅ!」


 はわぁ......♡ たまには朝早起きするのも悪くないな。てか、お嬢ちゃん立ってみると思ってたより小さいな。幼稚園の年少さんくらいだろうか? これは成長したら、トンデモ無い金髪の美少女になるんやろなぁ。


「タマちゃん! やったお!」

「にゃーん」

「お嬢ちゃん、良かったらお姉さんの膝の上に来ないか?」

「んぅ? しゅわる!」


 あぁ......あたし今、天使を抱いてるよ。もう思い残す事は無い......あたしのお気に入り小説に出てくるワンシーンだ♡ しかも、お嬢ちゃんからめちゃくちゃ良い匂いがするし抱き心地がめちゃくちゃ良い♡ これが究極の至高の癒しかぁ♡


「おねえしゃん! これもありゅよ!」

「え、これは......焼肉のタレ?」

「しょうなの! ちゅーこひん!」

「おお〜お嬢ちゃん、中古品何て言葉も知ってるのか。お嬢ちゃんは色々と物知りさんやな♪」

「えっへん!」


 お嬢ちゃんやめてくれぇえええ! もう全てが可愛い! 可愛さもここまで来ると殺人級やな。あかん、ニヤニヤが止まらん!


「ごほんっ......ふむふむ、しかし何故焼肉のタレ何やろか」


 開封済みの半分入ってる焼肉のタレ......しかも、こっちにはラムネらしきものが小袋に3粒入ってる。薬物を連想させるような危険な代物だ。


「お嬢ちゃん、こっちの小袋に入ってるのはラムネかな?」

「んみゅ! おいちいお!」

「そかそか、これは色々と誤解を招くからやめた方がいいよ。お嬢ちゃんはお金を沢山稼いで、何か欲しい物でもあるのかな?」

「あるお! かえでねーたんとあおいねーたんにプレゼントするの!」


 多分この子のお姉さんかな? めちゃくちゃ良い子じゃないか......お姉さん達これを聞いたら泣いて喜ぶだろうな。こんな小さな子が寒空の下でお金を稼ごうと頑張ってるんだから。


「お嬢ちゃん、何か暖かい物でも呑むか? あそこに自販機があるから、お姉さんが好きな物買うたるで!」

「わぁーい♡ あいあと!」

「よし、じゃあお姉さんに付いておいで♡」

「はいなの!」

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