第120話 VTuber、宇佐美めぐる①
◆宇佐美めぐる(
「はぅ......楓お姉様がVTuberに......ふふ♡」
まさか、あの楓お姉様が配信をやるとは思って無かったわ。何の前触れも無く、ひょっこりと現れたので本当に驚いたわよ。たまたま新人さんの動画の名前が、西園寺と言う苗字だったから気になって見て見たら......新人何てレベルじゃない。楓お姉様なら大御所と言ってもあたしは過言では無いと思う。
「そろそろ一ノ瀬家に遊びに行っても良いかな」
最近忙しくて、かれこれもう2年くらい一ノ瀬家に遊びに行ってないわね。久しぶりに葵を冷やかしにでも行こうかしら。それに楓お姉様に会って頭を撫でて貰いたいし♪
「はぁ......正直、葵が羨ましい」
葵とは中学の頃から同じ学校の同級生。まあ、あたしの永遠のライバルでもあるわね。学生時代の頃は、葵はその恵まれた容姿も相成って、それは凄まじい程に沢山の男子からモテて居たわ。
思えば葵にずっと嫉妬をしていたのかもしれない。あたしも確かにモテては居たけど、俗に言うロリコン連中からの告白が本当に多かった......あたしの幼児体型はかなりのコンプレックスだ。
葵にもおっぱいや身長でかなりマウントを取られた事を今でも忘れてないわ! 修学旅行の時にお風呂で、自分のおっぱいをあたしに見せ付けてドヤ顔だった葵の顔は今でも鮮明に覚えています!
「葵にはいつかギャフンと言わせてやるんだから! んきゃあっ......!?」
痛ったいなぁ......もう! 椅子がひっくり返って、後頭部を床に思いっ切りぶつけちゃったわ。これもそれも全部葵のせいよ! あのおっぱいお化け!
「葵には負けてられないわ! まずはチャンネル登録数を抜かせてやる!」
チャンネル登録数は、あたしが現在72万人で葵......モモネが983万人......ぐふっ。正直勝てる気がしない......前言撤回!
「はぁ......あたしの成長期はいつ来るのかな。」
あたしだって葵みたいなボンッキュッボンになりたいわ! 有象無象の男共何て、どうせ胸がデカイ人の方が良いのでしょ! あぁ、こんな事を考えるのはやめよう。あたしが幼稚みたいじゃない......
「何か虚しくなって来た......」
葵の事はさて置き......学生時代の頃に初めて葵の家にお邪魔した時の頃だね。あたしはその時に初めて楓お姉様と出会ったのです。当時は楓お姉様もまだ学生で高校生だったわね。
―――宇佐美めぐる(明日奈)・学生時代―――
「ねぇ、明日奈」
「ん? どした葵?」
「今度の土曜日に私の家に遊びに来ない?」
「え、良いの?」
あの葵があたしを家に誘うなんて......これは明日台風、いいえ......大地震が来るかもしれないわ。まあ、あたしを誘うなんて分かってるじゃない♪ まあ、何だかんだ葵とは仲良しだし♪
「うん♪ じゃあ、今度の土曜日に遊びにおいでよ。まあ、家にはお姉ちゃんとお母さんが居るけど」
「うん! 行く!」
やったー! 葵の家に行くのは初めてだから楽しみ♪ 今思えば、あたし葵以外のお友達少ないから、誰かの家に遊びに行くのは初めてかも......け、決してボッチとかそう言うじゃないからね! あたしは孤独をたしなむ系美少女なのよ!
――――――あくる日の土曜日――――――
「うっ......くんくん。来る前にお風呂に入ったから匂わないわよね? この服変かな? 一応最近流行りのスカートを購入したけど......あぁ、美容院にも行って来れば良かった」
いざ当日になると謎の緊張感に襲われてしまいました。一応お茶菓子も持参して、服装もこの日の為に新しいのを購入しました。
「良し、再度身だしなみチェックしよ」
手鏡を覗き込むとそこには、肩まで切り揃えられた美しい黒髪と童顔で目がパッチリとした美少女が映し出されていた。まあ、この美少女は何を隠そうアタシ♪ 顔には自信があるんだから♪
「ぐふふ......身だしなみチェック良し! 今日はママにお友達の家に遊びに行って来るとやっと言えたわ!」
あたしが友達の家に遊びに行って来ると行ったら、ママが大号泣して、【ついにウチの娘にお友達が......】とか大袈裟な事を言って、あたしにお小遣い2千円をくれたのだ。
「ママったら......あたしにだってお友達は居るわよ♪」
これでアタシをボッチとはもう言わせないわ! あたしにだって、ちゃんと葵と言うお友達が居るんだから!
「ごほんっ。葵の家、そろそろだと思うんだけどなぁ。一ノ瀬家......」
スマホの地図で現在地を確認しながら歩いて居るけど、近くに葵の家らしき物が見つからない。一軒家とは聞いて居るけど、さっきから塀が続いてるだけ。
「あれ? 地図の場所合ってるわよね?」
しばらく歩いて居ると何やら立派な門構えの御屋敷正面へと辿り着きました。
「え、うそ......は? おおん!? 葵の家ここなの???」
余りの驚きに思わず唖然としてしまった。この馬鹿みたいに大きな豪邸が葵の家だと言うの? テレビで見た事のあるような大豪邸じゃん!
「場所はここで合ってる......表札にも一ノ瀬と書いてある。まじ?」
葵......もしかして、何処かの財閥のご令嬢さんなの? 普段学校では普通の庶民と言う雰囲気だったけど......実は大金持ちと言うやつか! 何でもっと早く言わないのよ! 葵の馬鹿! どうしよう......980円で買ったお茶菓子持って来ちゃったよ! まさかお金持ちだなんて思わなかったわよ! これ絶対お口に合わないわよね......
「うわっ......この柱大理石で出来てるの?」
ひぇぇ......や、やばい。緊張して来た......ごほんっ。ここは冷静にならなくちゃ。あたしがテンパってる所を葵に見られたりでもしたら、一生の恥よ!
――――――20分後――――――
ううっ......どうしよう。インターホンを押す勇気が出ない。あたしみたいな貧乏人が気軽に来て良い場所では無いわよね......
明日奈が狼狽えながら、一ノ瀬家の門の前で忙しなく動いて居ると葵のお母さんの
「あらあら? うちに用ですか?」
「はわわ!? あ! あ、あたし......わたくし!」
やばい、めちゃくちゃテンパってしまった。この美人なお人は、もしかして葵のお母様なのかしら?
「あ、あおい......あおい様…あおいちゃんのお友達の明日奈と言います!」
「うふふ......緊張しなくても大丈夫ですよ♪ なるほど、うちの娘がいつもお世話になっております♪ 私は葵の母の
「は、はひ!」
初対面で失礼かもしれないけど、この葵のお母様......胸がとてつもなくデカイ! 巨乳何てレベルじゃないわ! 葵の胸のデカさは遺伝だったのか......羨ましい。アタシ何て男子と変わらないような胸の大きさ......俗に言う絶壁よ。
「お、お邪魔します〜」
「ゆっくりして行って下さいね♪」
そして、リビングへと案内をされるとソファの上で寛いでいる葵が居ました。スマホを弄りながらポテチを食べている。
「あ、明日奈いらっしゃい〜こっち座って♪」
「葵......これつまらない物だけど、お土産よ!」
「あ! これって、私の好きなお茶菓子だよ〜明日奈ありがとう♡」
「ふん! ど、どう致ちまちて......あう」
「ん? 明日奈どうしたの? 緊張してる?」
「緊張何てしてないわ! こ、これは......そう! 武者震いよ!」
「武者震い?」
あぁ......アタシったら、何言ってんだろ。いつもの調子で喋れば良いのに何故か緊張する。
「明日奈って面白いね〜今日の服は新しいやつかな? 凄く似合ってるよ♪ 可愛い♪」
「あ、ありがとう......べ、別にそんな事言われたって嬉しく無いんだからね!」
あぁ......悔しいけどめっちゃくちゃ嬉しい! 貯めたお小遣い使って買った甲斐があったわ♪ 葵の笑顔が眩しい......美少女が笑う姿は絵になるわね。何だか胸がドキドキして来たわ。
「明日奈は良いよね〜私もそう言うピチピチの服着てみたいけど、最近胸の発育が良くてそう言うの着るとキツイんだよね〜」
「なっ......!?」
こ、こいつ!? あたしに喧嘩売ってるのかしら!? 来て早々あたしの
「ふん! アタシはまだまだ成長期なの! それに胸何て飾りよ!
「明日奈落ち着いて......よしよし♪ 飴ちゃんいる?」
「ちょっと! 子供扱いしないでよ! 私と葵は同い年でしょうが!」
「え、頭撫で撫で嫌かな?」
「もう少し撫でても良いわよ......」
悔しいけど、葵に頭撫でて貰うの気持ち良い。葵とあたしは身長差が、かなりあるので傍から見たらお姉さんが妹の頭を撫でているように見えるかもしれない。
「うふふ♡ 明日奈さん、うちの娘が良く貴方のお話しをしてましたよ♪」
「ちょっとママ! 余計な事言わないでよ!」
「お〜こわこわ。明日奈さん、お茶菓子ありがとうございます♪ お茶とケーキも用意したので、良かったら一緒に食べて下さい♪」
「あ、ありがとうございます!」
しかし、葵のお母様美人でスタイル良いわね。何処かのモデルさんか何かと言われても信じてしまうレベルだわ。このお母様にして、この子(葵)ありと言う感じね。
「うちの娘がねぇ〜日頃掃除とかしないくせに明日奈さんが来るからとか言って、昨日の夜から物凄く丁寧に掃除や片付けを〜」
「もう! ママはあっち行っててよ! ほら、今日は出掛けんじゃなかったの?」
「はいはい♪ では明日奈さん、ごゆっくり〜♪」
そう言うと葵のお母様はリビングから出て行ってしまいました。
「ねえ、葵って......何処かの財閥の令嬢なの?」
「なわけ。確かに家は大きいけど、明日奈と同じ普通の一般庶民だよ♪」
「普通......一般庶民?」
一般庶民の定義が良く分かりませんね。まあ、それは気にしても仕方がありません。今日はせっかく葵の家に遊びに来たんだし♪
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