第112話 タマちゃんには敵わない
◆エルちゃん視点
「う、うんめぇ!」
「センタッキーのチキン食うの何年振りだろう!」
「お兄ちゃん.......美味しいね!」
「あんらぁ〜貴方達、急いで食べなくても料理は逃げないわよん♡ まだまだ沢山あるから食べてちょーだい!」
海人、達也、紗奈の3人は余程お腹が空いて居たのか一心不乱にお肉に喰らいついていた。
「よち! ボクもたべゆ!」
「エルちゃんも沢山食べて大きくなるんだよぉ♡」
「んみゅ! キララさん、あいあと!」
ぐふふ.......僕も沢山食べるぞぉ! まずはこの骨付き肉を食べるのだ!
「エルちゃん、手羽先の食べ方分かるかな?」
「んぅ? てばちゃき?」
「エルちゃんが今食べようとしてるのが手羽先だよ♪ じゃあ、私の真似をしながら食べてみて♪」
僕はかえでねーたんの食べ方をじっーと見ていましたが、手羽先にもどうやら食べ方があるみたい。僕はそのまま食らいつこうと思ってましたけど、それだと綺麗に身を食べるのが難しいのです。
「ボクもやりゅ!」
「うんうん♪ ここをこうして.......こうするの♪」
「ぐぬぬっ.......!? かえでねーたん、むずかちいの」
「あらあら、手にタレが沢山付いちゃったわね。お姉ちゃんが食べやすくしてあげるね♡」
今日もかえでねーたんは良い匂いがします。僕の座る場所はいつもかえでねーたんのお膝の上です。僕の背中には、かえでねーたんの大きなお胸が当たっており、まるで極上の背もたれみたいだ。
「エルちゃん、はい、あーんして♡」
「むむ!? そのてには、のらないの!」
「くすくす.......バレちゃった?」
僕には分かります。かえでねーたんのこのヤンデレぽい表情をしている時は、僕に悪戯を仕掛けようと企んでいる時の表情です! かえでねーたんは絶世の美少女なので、そんなお顔をされたら、僕の性癖が変な方向へと歪んでしまいそうですよ! お姉さんが美人過ぎると言うのも中々に大変だ.......
「またお姉ちゃんのいつものあれが始まったよ.......私もエルちゃんに食べさせよ♪」
「ディフフ♡ 何気無い姉妹のイチャイチャよ♡」
んみゅ.......やっぱりあおいねーたんもかえでねーたんの妹.......かえでねーたんはいつもこんな感じですが、あおいねーたんの場合はスイッチが入ると、かえでねーたんより意地悪が過激になる事があります。
「エルちゃん、ポテト食べる?」
「たべゆ!」
「はい、あ〜ん♪」
「あ〜ん.......ん!? かえでねーたんのいじわゆ!」
「あ、食べちゃった♡」
ほら、言ってるそばからこれだもん! 僕を弄ぶのがそんなに楽しいのですか!? あ、そうだ。確かかえでねーたんは、ケチャップが苦手.......僕がケチャップを沢山付けてかえでねーたんに食べさせてあげよう。うむ、好き嫌いは良くありませんからね♪
「かえでねーたん! あ〜んちて!」
「うっ.......エルちゃん、ケチャップ付きはちょっと.......」
「ふぇ? いらないの?」
どうだ! 僕の渾身の上目遣いだ! いつも僕を弄んでいるお返しです! さあ、かえでねーたん.......ケチャップ付きのポテトを食べるのだ!
「あーんするの!」
「しょうが無いなぁ〜じゃあ頂こうかな♪ はむ♡」
「んみゃ!? それちがうの! それは、ボクのてばしゃきなの!」
かえでねーたんに僕が食べようとしてた手羽先を食べられてしまいました。
「エルちゃん、大丈夫♪ ほら、ここにお肉残ってるよ〜」
「むうっ.......」
「はいあ〜ん♡」
かえでねーたんが口を付けた手羽先を食べる.......かえでねーたんとの間接キス.......いや待てよ? 翌々考えて見たら、ボクは毎日のようにお姉さん達にチュッチュされているし.......もう間接キスを気にする必要あるのかな?
でも、何故か間接キスの方が胸がドキドキするんだよね。もしかしたらキスにもシュチュエーションと言うのが大切なのかもしれません。かえでねーたんのプルンッとした大人の色香を醸し出す妖艶な唇がエッチだ。
「お魚釣れるかなぁ〜♪」
「むむっ.......!」
ふふっ.......僕はそんなにチョロくはありませんよ? かえでねーたんの好きにはさせません!
「あれれ〜釣れないなぁ。じゃあ、こっちの骨無しのチキンはどうかな?」
「はむっ!」
「あ、食いしん坊さんが釣れた♡ むぎゅ♡」
はむはむ.......むむ! このお肉柔らかくて美味しい! なんと言うけしからんお肉なのだ。これならいくらでも食べれちゃいそうだよ!
「あぁん♡ 食べさせ合いっ子をアタシもヤりたいわぁん♡ 海人くん、達也くん.......あらあらぁ? 何処へ逃げようと言うのかしらァ?」
「あ、あの.......ちょっと急にお腹が.......」
「じ、自分も.......」
「あらやだぁ♡ 緊張してるのかしら♡ これからゲイバー、夜の世界で働くのであれば、おゲイと戯れるのもまさに登竜門よん♡ アタシが男の悦びを教えて.......あ♡げ♡る♡」
「「ギャアアアアアア」」
「大丈夫、最初は怖くてもきっと直ぐになれるわよん♡」
お、おう.......海人くんや達也くん.......強く生きてくれとしか言えない。あぁ、男じゃなくて女に転生して良かったと心の底から思えるよ。もし、男だったら.......今頃キララさんに.......考えるだけでゾッとしますね。
「海人くん、達也くん、紗奈ちゃんがこれから働く予定の店の名前はね、歌舞伎町にある【ゲイバー・トラウマ 】と言う名前のお店よん♡ て言うか.......もうアタシ我慢出来ないわぁん! 海人くん、達也くん! まずは.......アタシと〇〇〇〇〇〇〇〇〇♡」
「紗奈! 助けてくれぇ!」
「お兄ちゃん.......頑張って!」
仕方無い.......ここは僕が助け舟を出そうではありませんか。キララさんにポテトを食べさせてあげよう♡
「きららしゃん! あ〜んするの!」
「あらまぁ♡ アタシにポテト食べさせてくれるのぉ?」
キララさんのお口にポテトを持って行ったら、キララさんが嬉しそうな顔で食べてくれました。これで海人くんや達也くんの犠牲は免れた筈です。
「良し! 海斗くん、達也くん、紗奈ちゃん、ご飯食べたら早速お店の方に行くわよん〜お家の手配も今準備してるからね♡」
「キララさん、楓さん、葵さん、エルちゃん.......本当にありがとうございます」
「はい、辛気臭そうなお顔はやめてちょーだい! 明日から沢山働いて貰うから覚悟してちょーだいね♡」
「「「はい!」」」
取り敢えず3人の生活はキララさんに任せて置けば安泰そうですね。いつも思うのですが、早乙女キララさんとは何者何だろう? 普通の一般人とは到底思えませんし.......謎だ。
「アタシが貴方達を立派な夜の蝶に育て上げて見せるわん♡ 今回の件でおしり愛になったのも何かのご縁だし♡」
「はい! 今後とも宜しくお願い致します!」
そして、この後も皆でご飯を食べて色々なお話しをした後にキララさんは3人を引き連れて行ってしまいました。あの3人も僕同様に幸せになって欲しいものですね♪
―――その日の夜―――
「タマちゃん、おとなしくちてて!」
《ちょっとエル! お腹は触らないでと言ったでしょ!》
「だって、もふもふだもん!」
《それは理由になってない!》
最近タマちゃんが反抗期で困っています。しかし、タマちゃん達が不審者を撃退しようと動いてくれた事には感謝しなければなりませんね。
結果的に紗奈さん達は良い子でしたけど。もしこれが、とてつもない変態不審者だったらと思うと.......かえでねーたんやあおいねーたんは、すれ違い様に誰もが振り返る様な美少女だ。男性の人に襲われる可能性が非常に高いです。
《エル、たまたま今回は悪い人では無かったから良かったけど、今後はどうするの? いくら仲良し同盟と言っても私達だけではどうにもならないわよ》
「んみゅ.......」
《また違う輩が侵入してくる可能性を十分に考慮して、対策を練る必要があると思うの》
タマちゃんの言う通りですね。僕が今後もかえでねーたん達の護衛としてなるべく傍に居るようにしよう。いざとなった時も考えて、伝説のステッキも常に持っていよう。早くボクも強くなれるように毎日修行する時間も設けるか.......
「エルちゃ〜ん♪ お姉ちゃんとそろそろお寝んねしよっか♪」
「んみゅ!」
あぁ、もう寝る時間か。1日の時間が経つのが本当に早く感じます。
《エル、私もそろそろ寝るわね。ちゃんと毛布を被って、お腹を冷やさないように寝るのよ?》
「んみゅ!」
《ちゃんとトイレも済ましときなさいよ? またお漏らしして、お姉さん達に笑われるよ?》
「うぐっ.......」
タマちゃんは僕のお母さんか!? 流石にボクもお漏らしはそろそろ卒業.......の予定なのだ!
《こないだのエルは傑作だったわよ♪ 深夜に1人でおトイレも行けなくて、お姉さんに抱かれながらエルが涙目を浮かべて.......楓お姉さん笑ってたね♪ エルは怖がりで寂しがり屋の甘えん坊さんだもんね〜1人で寝れるようになるのはいつになるのかなぁ〜?》
「むむ! たまちゃん、あちたのおやつなしね! ちゅーるは、おあずけなの!」
《はぁ!? それは反則よ! そんな生意気な事言って良いのかしら? 仲良し同盟のみんなにおねしょの件バラすわよ?》
「うっ.......ごめんなちゃい.......」
《うむ、素直で宜しい。私もそんな鬼では無いわよ♪ そんな本気にしないで》
いつもタマちゃんには口では負けてしまいます。タマちゃんは絶対に敵には回しては行けない恐ろしい猫さんだ。
《ほら、楓お姉さんが待ってるわよ。早く行きなさい》
「んみゅ! タマちゃんおやしゅみなの!」
《はい、おやすみ〜》
僕はタマちゃんにおやすみと言ってから、急いでお姉さん達の元へと向かいました。
「エルちゃんとタマちゃんは仲良しだね〜今日も沢山遊んだの?」
「んみゅ!」
「そかそか♪ お姉ちゃんとぴったんこしてお寝んねしましょうね〜」
「はいなの!」
だけど、僕はこのままで大丈夫なのだろうか.......見た目は押さない幼女ですが、精神年齢は13歳。ボクもそろそろ1人で寝るようにした方が良いのではなかろうか?
「んみゅ.......」
「ん? エルちゃんどうしたの?」
「やっぱり、ひとりでねりゅ!」
「え!? 突然どうしたの? 何か悩み事があるのかしら? お熱ある? それとも何か悪い物食べちゃった? もしかして.......お姉ちゃんの事嫌いになっちゃった?」
「ちがうの! かえでねーたん、だいしゅき!」
1人で寝ると言っただけで、かえでねーたんがここまで動揺して取り乱すとは.......かえでねーたんの反応が可愛いなと思ってしまいましたが、ここまで驚くとは想定外でした。
「ん? どうしたのお姉ちゃん? この世の終わりみたいな顔をして」
お風呂から上がって寝室へとやって来た葵は、楓の慌てる様子を見てどうしたのかと尋ねる。
「葵ちゃん! 大変なのよ! エルちゃんが.......エルちゃんが1人で寝るって.......!!」
「お姉ちゃんは一旦冷静になろうね。エルちゃんも大きくなれば、そのうち1人で寝たりもするよ」
「やだやだ! エルちゃん抱いて寝ないと私が眠れないの!」
「うわっ.......お姉ちゃんの方が重症だね.......まあ、気持ちは分かるけど」
わぷっ.......!? かえでねーたんのお胸が.......抱きしめてくれるのは嬉しいけど、常に僕は窒息死と言う名の死と隣り合わせです。
「エルちゃん、遠慮しなくて良いんだよ? 私や葵ちゃんの事をママだと思って甘えても良いんだからね?」
「それにしても、また突然どうしたの? 寂しがり屋さんで甘えん坊なあのエルちゃんが.......夜1人でトイレも行けない怖がりさんなのに1人で寝て大丈夫?」
「うっ.......だ、だいじょーぶなの」
「本当かなぁ?」
僕だってそろそろ卒業しないと行けないのだ。お漏らしに関しても今のままだと.......
「エルちゃん、本当に無理してない?」
「ちてないの!」
「本当かなぁ? お化け出るかもしれないよ?」
「お、おばけ.......」
「そうそう♪ ほら、こんな感じのやつ」
「んみゃああああああああああぁぁぁあ!?」
楓がクスクスと笑いながら、エルちゃんにスマホでとある画像を見せた。画像は楓の後輩の舞香が家に泊まりに来た時に3人で、一緒に見たホラー映画に出て来る化け物の画像でエルちゃんにとってはトラウマ級の画像である。
「かえでねーたん、きやい! あおいねーたんとねんねしゅるもん!」
「うふふ♡ あれれ? エルちゃん1人で寝るんじゃなかったのぉ〜?」
「ぐすんっ.......かえでねーたんのいじわゆ!」
あの怖い映画に出て来た化け物が僕にはトラウマです。あれを思い出すだけで、夜1人でトイレに行けないんだもん!
「意地悪なお姉ちゃんでごめんね♡ エルちゃん、ほらおいで♡」
「..............」
「よちよち♡ 今日もお姉ちゃんと一緒にお寝んねしましょうね〜♡」
僕は完全に心が折れました。でも、本当はお姉さん達と抱き合って寝るのか大好きなので、もう自分の本心に素直になろう。1人で寝るのはまたいつか.......
「かえでねーたん、あおいねーたん.......」
「そんな泣かなくても良いのに♪」
「お姉ちゃんが意地悪するからだよ、エルちゃん〜こんな意地悪なお姉ちゃんより私の方が良いよね♪」
結局いつも通りにベットで川の字になって寝る事になりました。
「エルちゃん、お姉ちゃんの腕枕だよ〜ほら、おいで♡」
「んみゅ!」
「じゃあ私もしようかな。ダブル腕枕だね♪」
かえでねーたんとあおいねーたんに腕枕をしてもらいながら、僕はお姉さん達と抱き合いながら横になりました。僕の足はお姉さん達の太腿にしっかりと挟まれて、僕の左右のほっぺたにはかえでねーたんとあおいねーたんの巨大なお胸でサンドイッチされた様な状態です。
「ぐふふ.......うへへ♡」
「お姉ちゃん.......女性としてその顔はどうかと思うよ?」
「じゃるり.......だって、エルちゃんが可愛すぎてどうしようも無いもん! それに葵ちゃんも人の事言えないよ?」
はぁ.......かえでねーたんもあおいねーたんも似た者同士です。
「エルちゃんおやすみのチューがまだだよ♪」
エルちゃんの夜はまだまだ続くのであった。
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