第109話 仲良し同盟【エルちゃんズ】VS不埒な泥棒①
◆白猫のタマちゃん視点
「あ、またエルったら.......ソファの上に脱いだ靴下そのままにして.......しかも、食べたお菓子のゴミもそのまま。また葵お姉さんに叱られるよ?」
私は白猫のタマ。ここ一ノ瀬家でお世話になってるしがない飼い猫です。私は普通の猫と少し違って人間の文字や言葉が理解出来る。お姉さん達が居ない時は、本を読んで人間の知識をある程度覚えたりと色々勉強をしている所です。
でも、流石にお姉さん達と意思疎通を測ることは出来ないけどね.......意思疎通が出来るのはエルだけ。
「本当にあの子は世話の掛かる子ね.......」
何故だかあの子.......エルの事は放っては置けないのよね。見てると危なっかしいしアホだし。素直で純粋なのは良いけど、あの子、将来詐欺とかに絶対引っかかりそうなタイプよね。美味しいご飯に釣られてホイホイと知らない人に付いて行きそうだし。
「あ、さいやくね。雨降って来た.......庭に洗濯物干してあるじゃん」
葵お姉さん、洗濯物取り込むの忘れてるね。出来る事は少ないけれどやれる事はしよう。お姉さん達には日頃お世話になってるからね♪
「小鳥のピーちゃんと野良猫達に手伝って貰おう♪」
タマちゃんは窓から外に出て洗濯物が干してある場所へと向かった。
「すぅ..............にゃ〜おおおおおぉぉぉぉ!!!」
タマちゃんが大きな声で鳴くと茂みの方から10匹の野良猫達がやって来る。
「姉御、お呼びでしょうか?」
「タマお姉様!」
「タマの姉貴!」
「うん、雨降って来たから洗濯物を取り込むの手伝って」
「了解です! 私達にお任せくださいませ!」
さて、後はピーちゃんの力が必要ね。小鳥達に物干し竿に干してある洗濯物を地面に落として貰わないと洗濯物を屋根の下へと移動は出来ない。
色々と思案していると丁度良いタイミングで小鳥のピーちゃんが一ノ瀬家の庭へと帰って来ました。
「うわ〜突然の雨には本当に参っちゃうなぁ.......羽根がびしょ濡れだよ」
「あ、ピーちゃん! 丁度良い所に来たわね」
「お? どうしたのタマちゃん?」
「洗濯物を取り込みたいから、小鳥達を呼んで物干し竿に掛けられてる衣服を地面に落としてくれない?」
「やれやれ、タマちゃんは鳥使いがホント荒いよぉ〜待ってて、仲間を呼んでくるから」
「うん、ありがと!」
さて、洗濯物を床に落とすと流石に汚れちゃうから下に敷物を敷かないと.......あ、そうえば物置倉庫にブルーシートが確かあったわね。
「カゴメ、例の物置倉庫からブルーシート持って来て」
「了解です!」
カゴメと呼ばれた黒猫は、仲間の野良猫達を集めて走って倉庫まで向かう。
「良し、エル達が帰って来る前に終わらせるよ」
ここの家はデカすぎるからね。お姉さん達では掃除もままならないでしょう。だから私が毎日家の中を散歩がてら歩いて汚れが無いかチェックしているの。私はこう見えて綺麗好きなのよ♪
「まあ、出来ることは限られてるけどね.......」
はぁ.......猫の身体はつくづく不便に感じちゃう。叶うなら猫耳メイド姿でも良いから人間に変身したい.......そうすればもっと家事や掃除洗濯等全てこなせると言うのになぁ。そうすれば、外でもエルの面倒も見れるのに.......
「まあ、そんなこと考えても仕方無いわよね」
さてと♪ 切り替えて早く洗濯物を取り込もう♪
「タマ殿! 大変だ! 緊急事態が発生した!」
「ん? どうしたのゴキオ?」
早速洗濯物を取り込もうと作業を開始しようとしたその時でした。ゴキブリのゴキオがタダならぬ様子でやって来たのです。
「怪しげな男達が、裏口から侵入して来たのです!」
「何ですって!? 人数は.......!?」
「黒づくめの怪しげな男2人と女1人です!」
マジかぁ.......なんと言うことか。泥棒? でも、エル達が居ないのは逆に不幸中の中の幸いかしらね。前は下着泥棒のカズオとマサオというド変態に遅れを取ってしまっているけど今回はそうは行かないわよ! 次はしくじりはしない! ここは仲良し同盟【エルちゃんズ】の総力を上げて追い返して見せるわよ!
「ゴキオ、仲間を呼びなさい! 大至急よ!」
「御意!」
あれから仲良し同盟の【エルちゃんズ】、名前はふざけてるけど、種族の垣根を越えて続々と新しいメンバーが増えているのだ。
「あれ? タマちゃん騒々しいね。どうしたの?」
「ピーちゃん緊急事態よ! 一ノ瀬家に不審者が侵入したわ!」
「え!? あわわ.......!? 分かったよ! カラスのサスケ君も呼んで来るね!」
「ええ! 頼んだわよ!」
さて、時は一刻を争うわね。恐らく金目の物かお姉さん達の下着を盗みに来た変態に違い無い。私の目が黒い内は決して侵入者に好き勝手はさせないわ!
「お姉さん達やエル.......こんな私の事を家族として迎えてくれた。私の唯一無二の家族を悲しませる事は、この私が断じて許さない!」
「姉御!」
「カゴメ! 話しは聞いていたわね? 皆を集めて頂戴!」
「了解です!」
さあ、侵入者達に地獄を見せてやるわ! 覚悟なさい!
☆一ノ瀬家の庭・ビオトープ周辺
「皆集まってくれてありがとう」
現在一ノ瀬家の庭には、野良猫10匹、小鳥やカラス合わせて20羽、ゴキブリ20匹とムカデ10匹に何故日本に居るのか分からないけど、タランチュラの【エリザベス♀(エル命名)】と向かいの家の飼い犬、ゴールデンレトリバーの【アレックス】、モグラのヘイゾーが集まってくれた。
「タマの姉貴、不埒者は何処のどいつだい? アタイが蹴散らしてくれる!」
「良く来てくれたわね。ジョパンナ」
ヤンキー口調の♀の大きなムカデ、名前はジョパンナ(エル命名)がタマちゃんに話し掛ける。
「敵は怪しい黒づくめの男達2名と女1名。みんなには私の作戦に協力して欲しいの! まずは先鋒にゴキオ部隊をぶつけて、敵を撹乱したのちジョパンナには敵陣へと突っ込んで欲しい。まずは家の中から庭へ追い出すのよ!」
「御意、では参るぞ!」
「タマの姉貴任せろ! あたいらムカデは、身体の構造上後ろへ後退はできぬ。ただ前へ前へと突き進むだけだぜ! お前ら気合い入れろよ! アタイに続け!!」
さてと、モグラのヘイゾーには庭に簡易的にだけど落とし穴を複数掘ってもらおうかしらね。
「ヘイゾー、裏口の出入口付近に大至急落とし穴を掘って欲しいの」
「Hey! 凄いのを掘ってやるZE!」
「頼んだわよ! ピーちゃん達は敵が庭に姿を現したら、う〇こでも浴びせてあげなさい!」
「おっけ〜今日のボク下痢気味だから、えぐいのプレゼント出来るよ!」
「良し、下品だけど追い返すのが目的よ。カラス達には嘴で突っついて貰いましょうか♪」
全員で力を合わせればきっと撃退出来る筈! 不審者達に圧倒的なトラウマをその身に刻んでやるわ!
「オッーホホホ! タマ様、ご機嫌麗しゅう♪」
「エリザベス、貴方には蜘蛛達を率いて敵の顔に糸を吐いて欲しい」
「容易い事ですの♪ アタクシの眷属達を出しましょう♪」 「ありがとう。では検討を祈るわ」
皆この一ノ瀬家の面々には、多大な恩を受けた者ばかり。お姉さん達やエルは無自覚かもしれないが、みんな命を救われた者ばかりなのだ。この家とお姉さん達やエルを大切に思っている連中ばかりなのです。
「アレックスと猫達は、私と一緒に来て頂戴!」
「あいよ! 俺に任せとけ!」
「お姉様♡」
「どこまでもお供します! 姉御!」
さあ、私達の戦争を始めるわよ!
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