第108話 他愛無い帰り道
◆
「あおいねーたん、かえでねーたん、おててちゅなぐの!」
「はいはい♪」
「エルちゃんは元気だね〜お姉ちゃん.......私もう疲れたよ。とほほ.......」
あれから百合えっち.......お勉強会という名の研修をした後にエルちゃん、葵ちゃん、佳奈ちゃんと私の4人で姫島家のお風呂に入りました♪ お互い肌を重ね合わせて素晴らしいコミュニケーションが取れたと思います♪
そして今は3人で手を繋ぎながら帰路に就いています。
「エルちゃん、赤信号はどうするんだったけ?」
「んみゅ! とまゆの!」
「うんうん♪ そうだよぉ〜それに横断歩道を渡る際は、右と左.......周囲の確認もちゃんとしてから手を上げてから渡るんだよ♪」
「はいなの!」
こうしていつもエルちゃんに色々教えて居ますが、エルちゃんは記憶力が良いのか物覚えが早い子です♡ こうして成長するエルちゃんを見ていると何だか感慨深いものですね♪
「あ、エルちゃんパトカーだよ♪」
「あぅ.......へんたいふちんしゃ?」
「え、エルちゃん違うよ。あれは悪い人を捕まえる警察なの」
「ふぇ? けーさちゅ?」
「うんうん♪ 良い子にしてる子は大丈夫だからね♪」
「そうそう♪ 楓お姉ちゃんは変態さんだから捕まるね♪」
「ちょっと葵ちゃん!?」
「お姉ちゃんが女性で良かったよ。これがもし男性だったら、今頃ずっと刑務所だよ」
「またまた〜私は健全だよ♡ 捕まる要素はありません〜」
「捕まる要素しかない.......」
最近葵ちゃんが言うようになって来ましたね。私はただ普通に女の子とイチャイチャ.......スキンシップを取ってるだけだと言うのに.......コミュニケーションは大切だと言う事を再度姉として教えてあげなければいけないかな? うふふ♡
「ふぇ? かえでねーたん.......つかまゆの?」
「そうだね〜楓お姉ちゃんは、息を吸うように痴漢するからね♪」
「ぐすんっ.......やっ! つかまえたら、メッなの!」
「くすくす♪ エルちゃん冗談だからね♪」
ぐふっ.......エルちゃんが純粋過ぎて浄化されちゃいそうです♡ エルちゃんは素直で冗談を真に受ける所もまた可愛いなぁ♡
「はぁ.......エルちゃんは凄く純粋なのに.......うちのお姉ちゃんはいつからこんなに穢れてしまったのか」
「葵ちゃんたら〜またまたそんな冗談を♡ 良し、一緒におてて繋ぎましょ♡」
「やだよ、エルちゃんと繋ぐのは分かるけど.......私とお姉ちゃんが手を繋ぐのは変でしょ。しかも、私達もう社会人だし」
「大丈夫、おかしくないよ〜何なら周りの人達に私達の愛を見せ付けちゃえ♡」
葵ちゃんはやはりツンデレだね♡ 素直になれないお年頃と言うやつですかね♪
「へくちっ.......」
「ちょっと冷えて来たね。エルちゃん、お姉ちゃんが抱っこして温めてあげるね♪」
「んみゅ! ぴったんこしゅるの!」
エルちゃんに抱っこ紐を付けて私の身体に固定してから、その上にモフモフの温かいコートを着れば完璧です♪
何だかお母さんになった気分ですね♪
「葵ちゃんは寒くない?」
「うん、冷えるけど厚着してるから大丈夫だよ」
「良し、葵ちゃん。お姉ちゃんとくっ付いて歩こう♡」
「ええ〜全く.......ほんとしょうがないお姉ちゃんだよ」
あらあら♡ 葵ちゃん口ではそんな事言うけど、かなり嬉しそうな表情を浮かべていますね♡
「かえでねーたん、あったかいの!」
「うふふ♡ お姉ちゃんもエルちゃん抱いてから温かくなったよ♡ 寒い時はこうしてお互いに抱き着くと良いんだよ〜♪」
帰ったら
「葵ちゃん、帰ったら炬燵出さない? 寒いし」
「おけ〜確か物置き部屋に置いてある筈」
「良し、エルちゃんのお勉強の為にも出そう! タマちゃんもきっと気に入ってくれるよ♪ エルちゃん、帰ったら炬燵出してあげるからね♡」
「こたちゅ.......おいちいもの!?」
「もう♡ エルちゃんは相変わらず食いしん坊さんでちゅね〜♡ 炬燵は食べ物じゃないよ♡」
我が家のお姫様は食いしん坊さんですね♪ エルちゃんは食べ物の事になると本当に目をキラキラと輝かせるからね♪
「かえでねーたん、あれなぁに?」
「ん? あぁ、あれは自転車と言う乗り物なの」
「かっこいいの!」
「あらあら、じゃあ今度お姉ちゃんが買ってあげるね♡」
「いつかはエルちゃんも自転車乗る日が来るもんね。車輪付きの奴を買って、タマちゃんも連れて公園に練習しに行く?」
「おお! 葵ちゃん行こ行こ♡ これは奮発してエルちゃんには最高級の子供用自転車を.......」
「買う時は私も一緒に見るから、お姉ちゃん一人だと心配だもん」
「大丈夫だよ〜♡」
そして3人で人気の無い路地を歩いているとパラパラと白い雪が降って来ました。今年の初雪ですね♪
「あわわ!? ちろいの!」
「これは雪と言ってね、寒い季節になると降る冬の名物詩。沢山降ったら積もるよ〜」
「ふぇええ.......たべれゆの?」
「うふふ♡ 雪は食べるものじゃないよぉ〜ばっちちだから食べたらメッだからね」
あら? 気付けば葵ちゃんが私の腕に手を組んでますね♪ 何だか姉妹と言うより恋人みたい♡ お姉ちゃん大好きっ子かなぁ? えへへ♡
「葵ちゃん覚えてる? 昔良くこうして手を繋いで一緒に歩いたよね」
「そうだね、だって私が手を繋いで居ないとお姉ちゃん直ぐに迷子になるもん」
「もう〜葵ちゃんは素直じゃないなぁ♡」
今も葵ちゃんは十分可愛いけど、当時は甘えん坊で引っ込み思案の人見知りでしたからね♪ 今では葵ちゃんもVTuberやって、人とのコミュニケーションも上手くなってかなり成長を感じます。
「色々あったよね〜お正月の時に鹿児島での坦々麺事件は忘れないよ」
「あぁ.......中学3年生の頃のあれね」
「ショッピングモールで迷子になったお姉ちゃんを家族と親戚の皆んなで必死になって捜してたら、ショッピングモールの中にあるラーメン屋さんで一人坦々麺食べてるし」
あはは.......そうえばそんな事もあったわね(遠い目)
「懐かしいわね〜あそこの店の坦々麺は美味しかったわ♪」
「やれやれ.......てか、色々エピソードがあり過ぎて思い返すと沢山出て来るね」
「あ、あれもあったよね♪ 葵ちゃんのおもらし.......」
「お姉ちゃん、それ以上言ったら次回からお弁当のおかずセロリとトマト詰めるよ?」
「ぐふっ.......逆日の丸弁当も辛かったけど、セロリとトマトはもっと嫌だよぉおおおお!」
葵ちゃんのご機嫌次第で私の昼食が決まってしまう。逆日の丸弁当だった日は、職場の後輩達に【あれ、楓先輩また妹さんを怒らせたのですか?】と言われる始末。ご機嫌が良い時は、おかずも豪勢だったりと私のお昼の生殺与奪の権利は全て葵ちゃんに握られています。
「くすくす.......別にお昼食堂やコンビニで済ませても良いのに〜」
「葵ちゃん、私は葵ちゃんが作ってくれた物は粗末にしないわよ。例えお弁当の中身がセロリやトマトが入ってたとしても食べるよ♡」
「ほほう〜じゃあ入れちゃうね♡」
「あ、葵ちゃんが鬼だ.......お姉ちゃんを虐めてそんなに楽しいの!?」
「うん、楽しい♪」
あ♡ 葵ちゃんがはにかむ笑顔が素敵♡ 葵ちゃん、何気無く小悪魔属性を獲得してないかしら? またエルちゃんとは違った魔性の魅力。
「すぅ.......すぅ.......えへへ♡」
「あら、何か静かだなと思えばエルちゃんお寝んねしちゃったかぁ」
「幸せそうな顔♡」
楓と葵は穏やかな表情を浮かべながら、エルちゃんの頭を優しく撫でる。
「エルちゃんも最近よく笑うようになってくれたね」
「ちゃんと愛情を持って接してるからこそだよ。エルちゃんが寂しくならないように私がみっちりとお世話するから♡」
「お姉ちゃんは重度のシスコン.......過保護だからね。お姉ちゃんの女の子好きは筋金入りだよ.......お姉ちゃん好きな男とか居ないの?」
「え、居ないよ〜まあ、告白されることは多々あったけど、私は男の人にあんまり興味が持てないの。そう言う葵ちゃんは居ないの?」
まあ、葵ちゃんの彼氏となれば私がしっかりと見極める必要があるわね。駄目な男に葵ちゃんは決して渡しません!
「居ないよ〜まあ、私はVTuberの仕事に専念したいから彼氏は要らないよ」
「うふふ♡ そっか、なら安心♡ モモネちゃんファイトぉ〜♪」
「てか、お姉ちゃんもVTuberやってみたら? お姉ちゃん良い声してるし、絶対人気出ると思う。今の仕事辞めてVTuberとかどうよ?」
「う〜ん、確かに気にはなるけど.......私そんなにトーク力自信無いよ?」
私がVTuber.......何かあんまり想像が付かないわね。
「誰だって最初はそんなもんだよ。お姉ちゃんならバブみ路線で母性を売りにすれば人気出ると思う。何なら西園寺モモネのお姉ちゃんとして試しにやってみたら?」
「ん〜考えとく。まあ、副業感覚で試しに挑戦するのもありかな」
「うんうん♪ 楓お姉ちゃんなら絶対人気出るよ! 私が保証する!」
あらあら、トップVTuberのモモネちゃんにそう言われると嬉しいわね♡
「良し、今度の休みに全て教えてあげる! キャラメイクの方は二宮マッマに依頼しよう!」
「お、おう.......そ、そうね。じゃあやってみようかしら.......」
何か葵ちゃんがめちゃくちゃやる気になってる。これはもうやるしか無さそうね。
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