第47話 みくるちゃんウエハース♡シークレットレアを狙え!

 


 ◆かえで視点



「はい♪ エルちゃんお疲れ様でした♪」

「うにゅ……」

「あら、疲れちゃった? でも、お勉強は大事だから継続して、お姉ちゃんと頑張って一緒に覚えていこうね〜」


 エルちゃんは満身創痍と言った感じですね。私の身体に持たれながら、ぐてっとしております。大変だけど、エルちゃんの為ですからね♪ 私達が立派なレディに育て上げて見せますよ! 今日はエルちゃんが、私と葵ちゃんのお名前を完全に覚えてくれたので一歩前進です♪ 私はエルちゃんから、と鈴の音が鳴るような可愛らしい声で呼ばれた時は、もう天に召されるかと思いましたよ♡ 葵ちゃんもエルちゃんにデレデレでした。葵ちゃんはエルちゃんにおねーたんと呼ばれた事が、相当嬉しかったのか今日の晩御飯は鍋にしよう!と言い一人で買い物に行ってしまいました。


「うふふ……」


 こうしてエルちゃんのサラサラな髪の毛を優しく撫でるのもお姉ちゃんの特権です♪ 葵ちゃんが自分から、買い出しに行ってくると言ってくれて助かっています。私もお鍋は楽しみです♪ エルちゃんの喜ぶ顔が楽しみですね♡


「うふふ……あ、やばい。想像してたら涎出てきちゃった」

「――――――?」

「あらあら♡ ありがとうエルちゃん♪」


 私とした事が……乙女として恥ずかしい行為をしてしまいましたね。エルちゃんはそんな私に呆れたのか、机の上にあるティッシュで私の口をふきふきと拭いてくれました♪


「……!?」

「エルちゃん? ティッシュが気になるの?」


 エルちゃんは小さなおててで、ティッシュを一枚取って私の口をふきふきと拭いた後に、再びティッシュを見て驚いた顔をしておりました。


「――――――!」

「あらあら、エルちゃん駄目だよ〜ティッシュそんなに取ったら」

「――――――!?」


 エルちゃんが一枚ティッシュを取っては、また一枚ティッシュを取って驚いております。これは幼い子がティッシュを沢山取り出して、キャッキャと喜びながら良く遊ぶやつでしょうか? あぁ、お片付けが大変です。エルちゃんの長いお耳がピクピクと動いていて愛らしいですね♡ エルちゃんの喜んでる表情を見てたら、好きにやらせてあげたくもなりますね♪




 ◆エルちゃん視点




「――――――♡」

「んにゅ? お姉さん涎出てますよ!」


 お姉さんも食いしん坊さんなんだな〜もうお外も暗くなって来たから、そろそろご飯なのかな? 僕は机の上に置いてある白い薄い布を一枚取って、お姉さんのお口を優しくふきふきと拭きました。


「あれ!? 白い布一枚取ったのにまた出て来たぞ!?」

「――――――?」

「も、もしやこれも魔道具なのか!? この箱の中どうなってるんだ!?」


 僕はもう一度、白い薄い布を取り出しました。案の定布は再び元に戻っています。これは無限に出てくるのでしょうか? そもそもこれは布なのだろうか? 何の素材で出来てるのかな?


「あっ! そうだ!」


 僕は閃いてしまいました。この白い布が無限に出てくる箱を使って、何か商売が出来るのでは無いかと。この白い布を売れば、美味しいご飯や高級パンが沢山買えるのでわ!? でも、言葉が分からないから無理か……通貨もよく分からない……お勉強……うっ。頭が痛い……


 何かを成そうと思うと色々と前途多難です。僕これから先、生きて行けるのかな? ここは何処の国なのだろうか……僕は自分の国の言葉しか分からない……


「うむ……まあ、焦ってもしょうがないか」

「――――――♪」

「んみゃっ!?」


 お姉さんが僕の頬っぺたをムニムニと触って満面の笑みを浮かべていたのです。何でお姉さんはそんなに笑顔なのでしょうか? 何か僕、お姉さんのおもちゃみたいになってませんか? いや、これはスキンシップ……挨拶みたいなものなのかな? なら、僕もお返ししなくちゃね!


「僕もかえでねーたんのお顔にぷにぷに〜」

「――――――♡」

「わぷっ……!?」


 こ、これは……俗に言うお姫様抱っこでは!? むしろ僕がお姉さんをお姫様抱っこしてあげたいです! でも、僕の今の身体では無理ですね……こんな小さな身体では。これでは男として威厳も何もありません。大きくなったらお姉さんをお姫様抱っこしてやるのです!


「うぅ……これじゃ赤ちゃんみたいだよ……」

「――――――♪」

「お姉さん、流石に恥ずかしいので降ろして下さい!」

「――――――♡」

「ちがーうっ! 頭なでなでしてくれるのは嬉しいですけども!」


 お姉さんが僕を離してくれそうにありません。僕は中身は男なのです! 今日と言う今日はお姉さん達に僕の格好良い所……出来る所を見せてやるのです! そうしたらお姉さんが僕に惚れるかもしれません! 将来僕がお姉さんの夫になるのです! 身体は女の子ですが、愛さえあればきっと乗り越えられる筈です!


「――――――♪」

「あ、あおいねーたん!」

「――――――♡」


 もう一人のボブカットヘアーの愛らしいお姉さんが大量の荷物を抱えて帰って来ました。今日は何か凄いご飯を作るのでしょうか?


「――――――♡」 

「ふぇ? あぁ! おかちだ!」

「――――――♪」

「わーい♪ あおいねーたんありあと!」


 あおいねーたんへおかちをくれたお礼を言ったら、お姉さん達が急に騒ぎ始めました。かえでねーたん、あおいねーたんと言っただけで何でこんなにもテンションが高いのか僕には良く分かりませんでした。




 ◆あおい視点




 今日も沢山買い物しちゃったな〜うふふ♡


「エルちゃんが私の事をちゃんと名前で、あおいねーたんと呼んでくれるようになったかぁ〜」


 ニヤニヤが止まりません! 今日のお勉強の成果は、私やお姉ちゃんのお名前を言える様になった事かな。この調子で少しずつエルちゃんに色々と教えて行きたいな♪


「ふぅ〜よし、帰宅!」


 私は荷物を抱えながら玄関を開けて家に入りました。


「お姉ちゃん、エルちゃん、ただいまぁ♪」


 靴を脱いでリビングへと向かいます。私はリビングの机の上に、買い物で買って来た物を置きました。それとスーパーのお菓子コーナーにエルちゃんが喜びそうな物が売ってたので、それも沢山買いました♪


「葵ちゃんおかえり〜ありがとね♪」

「――――――!」

「気にしないで! 私から言い出した事だし! エルちゃんは本当にお姉ちゃんが大好きだよね〜」


 エルちゃんも相変わらずの甘えん坊さんだね♪ お姉ちゃんに抱っこされて、スリスリと甘えています。エルちゃんと一緒に居ると語彙力失って、最早可愛いと尊いしか出て来ません。エルちゃんは居るだけで、幸せを呼ぶ愛らしい天使ちゃんです♡


「エルちゃんにお土産だよ〜魔法少女★みくるちゃんのウエハース!」

「――――――!?」 

「はい、どうぞ♡」


 エルちゃんが楓お姉ちゃんに抱かれながら、キャッキャと喜んでおります。エルちゃんは感情が素直で分かりやすいですね♪ 可愛い過ぎて、天に召されてしまうかもしれません。お姉ちゃんが、我が家にAEDを設置するとか意味不明な事を口走って居ましたけど、その理由が分かりました。


「あらあら、今食べちゃうの?」

「ぐぬぬ……!」

「エルちゃん、このお菓子はここのギザギザを掴んで縦に開けるんだよ〜ほら、簡単に空いたよ!」


 どうやら魔法少女★みくるちゃんのウエハースは全部で12種類あるみたいですね。その中にシークレットが混じっているようです。私は1つでは無く、エルちゃんの為に1BOX買って来たのでほとんど揃う可能性があります。シークレットが何なのか気になりますね♪


「んにゅ?」

「これはウエハースって言うお菓子で、こっちがみくるちゃんのカードだよ♪ 何が出たかな?」

「――――――!」

「えっと、No.8【壊れてしまった真理子】……マジか。真理子出るんだ」


 みくるちゃんでは無かったですね。それでもエルちゃんは目をキラキラと輝かせながらお菓子を食べて……おお!?


「エルちゃん!? そっちは食べ物じゃないの! 食べるのはこっちのウエハースだよ♪」

「あぅ……」

「はい、あーん♡」


 エルちゃんが少し困惑したような表情を浮かべましたが、私が差し出したウエハースを小さなお口でパクりと食べてくれました。エルちゃんは目を大きく見開いてから自分の手でウエハースを持って、パクパクと美味しそうに食べ始めました。


「エルちゃん♪ 喉詰まらせないようにゆっくり食べてね♡」

「お姉ちゃんの胸の上にエルちゃんの食べてるウエハースがボロボロ崩れてるよ?」

「あらあら、このお菓子食べるとポロポロ落ちちゃうよね〜」


 エルちゃんはウエハースを食べ終わった後に私の方をじっーと見ています。しかも、指を咥えながら……あざとすぎる! では次の袋を開けて見ましょうか♪ みくるちゃんが出ると良いなぁ〜♪


「葵ちゃん……箱で買ってきたのね。でも、一度に全部食べたら駄目だからね? 晩御飯前だからエルちゃんには、後一つね」

「うんうん♪ 私も一つ食べよ〜」


 さて、次は真理子以外だね! 私がシークレット出しちゃうもん♪


「えい! さて、何が出るかなぁ♪ え……No.8【壊れてしまった真理子】」

「葵ちゃんまた真理子出たの? じゃあお姉ちゃんも1つ貰っちゃおうかなぁ」


 お姉ちゃんがウエハースを1つ開けて中身を確認して、驚いたような表情をしておりました。一体何が出たのかな?


「お姉ちゃん、何出たの〜?」

「えっとね、No.10【足の小指をドアにぶつけた田中】」

「誰!? 敵なのか味方なのか最早よく分からないね……」


 とりあえずエルちゃんにウエハースを渡して、私はもうひとつ開けて見る事にしました。次こそはみくるちゃんを当てたいと思います!


「……No.8【壊れてしまった真理子】」

「葵ちゃん真理子好きだね〜♪」

「なわけ! 確率おかしくない!? しかもイラストのクオリティが無駄に高い……何か見てて切ないよ」


 何か腑に落ちないなぁ。よし、もう一つ開けてみよう。もういっその事、みくるちゃん出るまで開けてみようかしら。


「後ろ側なら流石に真理子出ないよね?」

「――――――♪」

「エルちゃん、葵お姉ちゃんがみくるちゃん当ててくれるって♪」


 次はみくるちゃんが出ると私は確信致しました。もう真理子の出番は終わったのよ!


「お! この輝きは!?」

「もしかしてみくるちゃんじゃない?」

「真理子や田中より輝いてるから多分そうかも!」


 私はウエハースをそっと退かして、カードの枠をゆっくりと見て行きます。この煌びやかな輝きは、恐らくメインキャラクターだと思います! シークレットレアの可能性がありますね。


「お姉ちゃん、エルちゃん行くよ?」

「うんうん♪」

「――――――♪」


 私は一気にウエハースを退かしました。そして、煌びやかに輝くカードは――――――


「No.1【定時には必ず帰る! 嫌いな言葉は休日出勤・魔法少女★みくるちゃん】」

「ん〜魔法少女って、案外ブラックなのかな?」


 恐らくこれがシークレットレア? なのかな、カードは全部エルちゃんにプレゼントです♪


「あいっ!」

「ん? エルちゃんも開けたいの?」


 残りは次のお楽しみに取って置きましょう。さて、そろそろお鍋の準備をしましょう!


「――――――!!」

「エルちゃんどうしたの?」


 何故かエルちゃんがやる気に満ち溢れています。ちゃっかりガッツポーズを私達に披露して、何かをアピールしています。私達をその可愛いさで悶え殺しにしたいのかな?


「もしかしてお手伝いしたいの?」

「んみゅ」

「あらあら、じゃあ今日は3人でご飯の準備しよっか♪」


 エルちゃんに何をお手伝いさせようか悩みますね。

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