第27話 ちょろい幼女

 

 ◆エルちゃん視点


「うひょっおお!! 高級パンが沢山ありゅ!」


 どれも見た事ない物ばかりで興奮してしまいます! ここはまさに天国です! 片っ端から色々な食べ物を食べてみたいです!


「あれ? 108じゃない……158? 160? 128? クリームの入ったパンじゃないの?」


 この場所に来てから分からない事が沢山有り、僕は目を回しそうでした。これは何なのだ? 円と言う謎の文字が書かれた紙が至る所に貼ってあるのだ。


「こりゃ盗まれてしまいますよ? まあ、僕の知った事ではな無いか。これだけあるんだから1つくらい……」

「――――――♪」

「ヒィッっ!? ご、ごめんなさい! 僕は決して盗むつもりでは無かったのですっ! もうしません! お願いします! 許して下さい!」

「――――――♪ ――――――♪」

「ごめんなさい……天井に誰か居るのかな? でも外から見た感じは普通の一戸建てだったけど。でも、誰かが僕の事を監視していたのは間違いないな」


 僕が高級パンを手に取って邪な事を考えた時に、上の方から男性や女性の声がしてきたのです!


「ま、まさかっ!? 神様だと言うのか!? 悪い事をしようと考えてた僕への警告だと言うのか!?」


 僕は冷や汗が止まりませんでした。やはり悪さをするのは良くないのですね。僕が高級パンを片手で持ちながらあわあわしていた時にお姉さん達がやって来ました。


「お姉さんっ!? これは……その……ごめんなさいっ! 高級パンを目の前にして僕の理性が……」

「――――――。」

「ぐすんっ……あれ?」


 僕はお姉さんに素直に話そうと決めて、高級パンをお姉さんの前に出したら、僕の頭を撫でてからお姉さんは高級パンをカゴに入れました。怒られると思ったのですが、どうやら違うようです。



 ◆楓視点



「あれは……エルちゃんなにしてるのかな?」

「お姉ちゃん、何か面白そうだからもう少しエルちゃんの様子を見てみようよ〜」


 私達はジュースを選んで手に取ってから、エルちゃんの様子を見に行ったのですが、クリームパンとコーンマヨネーズパンを手に取り真剣な顔でパンに何かを語り掛けています。


「なるほどね。別に両方買ってあげるのに」

「ふふ……パンを選ぶのにあそこまで真剣に選ぶ人早々居ないよね〜エルちゃん可愛い♡」


 そして私と葵ちゃんでエルちゃんの事を暖かい目で見守っていたら、エルちゃんが急に上を見上げて驚いて固まっております。


「コンビニのBGMでは無いけど、宣伝みたいな事言ってるね」

「はう……エルちゃん可愛い♡」


 エルちゃんはあわあわとしながら、身体を震えさせております。そして、葵ちゃんに関してはもう完全に語彙力失っています。エルちゃんの慌てている様子を見て目をハートにしていますね。そして私達は、エルちゃんの近くにこっそりと近寄りました。


「エルちゃん〜♪ 慌てなくても大丈夫でちゅよ〜♪ あれは宣伝してるだけだよ〜よしよし♪」

「――――――!?」

「どちらのパンも魅力的だよね〜両方ともパン買ってあげるから、ね? だから泣かないで」


 私は持っている籠を葵ちゃんに渡してから、エルちゃんを抱っこしてあやします。エルちゃんはキョトンとしながら私を見つめています。私の持病のロリコンが……うっ……そんな穢れの無い純粋な目で見つめられたら、お姉ちゃんは発作を起こして倒れてしまいますよ?


「ディフフ……グヘヘ」

「お姉ちゃん……顔が変態不審者さんみたいだよ? 通報されても知らないよ?」

「あらあらぁ〜エルちゃんったら、お姉ちゃんの胸が好きでちゅね〜♪」

「あ、ダメだこりゃ」


 まあ、今はコンビニなのでイチャイチャするのは帰ってからにしましょう。私はエルちゃんを降ろして一緒におててを繋ぎ店内を回ります。



 ◆コンビニの店員視点



「よし、検品終わり! 少しサボるかぁ」


 俺の名前は神崎 翔吾かんざきしょうご。独身のピチピチな26歳だ。名前だけはイケメンだねと良く言われるどこにでもいるような平凡な男だ。イケメンに生まれたかったよ! ちくしょおおおおっ!!


「はぁ……モモネちゃんも活動休止しちゃったし、俺の楽しみが無くなったな。癒しが欲しいぜ」


 俺は西園寺モモネちゃんと言うVTuberを推しているのだが、その推しがまさかの活動休止。それを聞いた時は、ショックでその日の夜に枕を何回涙で濡らしたことか。あぁ……モモネちゃん。


「しかし、妹ちゃんか。絶対可愛いに決まってる。間違い無く将来を約束された美少女何だろうな〜しかもお姉さんも居るとか。何その美少女三姉妹」


 生配信が終わった後のSNSや掲示板等の盛り上がりが凄まじく、ネットを開けばモモネちゃん関連の事ばかり上がっている。「俺のあそこはヘルファイアー」と言う痛々しい名前でネットをしているが、モモネちゃんの末期なファンはレベルが高い奴等ばかりです。俺なんてまだまだ足元にも及ばない。


「しかし、この時間は客来ないな。まあ、田舎だからしょうがないか」


 するとその時扉が開いて、お客さんの来訪を告げるコンビニの音が流れた。


「あ、いらっしゃいませ! ブフォっ!?」


 何と! この深夜遅くにボブカットヘアーの巨乳美少女ちゃんが来てくれたのです! 俺は今日ラッキーなのかもしれない。あぁ……目の保養になるなぁ〜


(え? 今日は他に2人居る? お姉さんかな? あのおっとりとした大人の魅力が凄まじい爆乳美人お姉さんと……っ!?)


 おいおい、嘘だろう? 金髪に耳が長い幼女だと!? 俺は夢を見ているのか? 


(レベルの高いコスプレやなぁ。あれはコミケ行ったらやべぇ事になるぞ)


 俺はレジから美少女三姉妹を遠目でこっそりと見ていました。テレビで見る女優やアイドル何かより、あの美少女三姉妹の方が圧倒的にレベルが高いぞ? こんな辺鄙な田舎でも侮れないな。


(ブフォっ!? 幼女ちゃん、そっちは18禁コーナーだよ!?) 


 金髪の幼女ちゃんがエロ本コーナーで立ち止まり、手馴れた様な動作でエロ本を手に取ったのだ! エロ本を見る幼女って……凄まじくイケナイような、と言うかインパクトが強すぎる!


(あ、まあそうなるよね。お姉様方が慌てて幼女ちゃんからエロ本取り上げて棚に戻してる。幼女ちゃんが指を咥えて名残り惜しそうにしているの尊いな。何だか見てて微笑ましい光景だね)


 俺は美少女三姉妹をこっそりと様子を近くで見ようと思い掃除用具を持ってレジから移動しました。


(幼女ちゃん可愛いなぁ。すげー庇護欲がそそられる。今ならロリコン紳士の気持ちが痛い程分かるぞ)


 幼女ちゃんはパンコーナーで真剣な表情を浮かべながら、クリームパンとコーンマヨネーズパンを手に取り悩んでおりました。あれくらいの歳の子なら迷わず両方買ってと言うだろうに。


(あ、どうも)


 俺は遠目から見ていた2人の美少女お姉さん達と視線が合いましたので、軽く会釈しました。どうやら幼女ちゃんの様子を見て悶えておりますね。


(幼女ちゃんどうしたんだろ? 上見て怯えてる?)


 幼女ちゃんがあわあわと慌てて居た所に、お姉さんがやって来て幼女ちゃんを抱っこしてあやしております。


(深夜のコンビニでこんなてぇてぇ光景を見られるなんて……神様ありがとう!)


 俺は初めて神様に対して心の底からありがとうと思えた。たが、あの至高の尊い領域には俺みたいな凡人がおいそれとは近付けないな。と言うか幼女ちゃん羨ましい! あんな美人なお姉さんに抱っこされて、お姉さんの爆乳に顔を突っ込むとは。俺も幼女になって甘えたい……あの大きなお胸を揉み揉みしたい。



 ◆エルちゃん視点



「あれはまさかっ!? お肉っ!?」

「――――――!?」


 僕は入口近くの透明の壁の中にあるお肉に魅了されました。あれは絶対お高いやつですよ! 僕はお姉さんの手を引いてお肉が置いてある場所までやって来ました!


「んほおおおっ! 他の食べ物も美味しそう!! どれも見た事無い食べ物だ!」


 透明の壁の向こうには多種多様の食べ物が並んでおります。僕は無我夢中でお肉をじっーと見つめていたら、背後から男の人の声が聞こえます。僕はそっと背後を振り返りました。


「――――――♪」

「なっ!? 誰ですかっ!?」


 僕達に話し掛けて来た背の高い、エロそうな顔をした男の人が僕に何か伝えようとしています。


「ぼ、僕は何も盗んで無いですよ! ちょっとだけお肉を見ていただけです!」

「――――――?」

「な、何?」


 何やら男の人はお姉さんと会話をしている様です。


「むむっ!! この男の人さっきからお姉さんの胸チラチラ見てゆ! この人、間違いない! へんたいふしんしゃさんだ!」

「――――――♪」


 僕も男だったから分かる。あのいやらしい視線でお姉さんの事をあれやこれやと妄想しているに違いありません! 僕はお姉さんの貞操を守る為に前に立ち、男の人とお姉さんの間に強引に割り込みました。


「がるる……」

「――――――?」

「うわっ!? な、僕の頭を撫で撫でするな! へんたいふしんしゃさんめ!」


 僕は何故かへんたいふしんしゃさんに頭を撫でられて、完全に弄ばれています!


「僕を撫で撫でしていいのは、お姉さん達だけなのです!」

「――――――!? ――――――?」

「えい! お姉さんから離れろ! 僕の拳が火を吹いちゃうぞ!」


 僕は全身全霊の力を持って、へんたいふしんしゃさんをポカポカと殴りましたが軽くあしらわれてしまいました。


「はぁ……はぁ……伝説の杖があればイチコロなのに!」

「――――――♪」

「にゃぬっ!?」


 へんたいふしんしゃさんは、僕が先程見ていたお肉を手に取り僕に賄賂を渡して来たのです!


「うっ……卑怯なっ! そのお肉で僕が釣られると思ったら大間違いだぞ!?」

「――――――。」



 ・数分後・



「し、仕方ないな。今回はその肉に免じて許してあげます」

「――――――。」

「わぁーい♪ お肉〜お肉〜♪」


 僕の頭の中はお肉の事で最早いっぱいでした。



 ◆楓視点



「あらぁ? エルちゃんどこ行くの??」

「――――――!」


 私は興奮しているエルちゃんに連れられて、レジの近くのホットスナックのコーナーへとやって来ました。そこにはアメリカンドッグ、フランクフルト、唐揚げ、チキン、ポテト等が売っています。エルちゃんはガラス越しにあるチキンに熱い視線を向けていました。


「うふふ……エルちゃん、チキン食べたいのでちゅか?」

「――――――♪」


 するとその時でした。コンビニの店員の男性が私達に話し掛けて来たのです。


「可愛いお嬢ちゃんですね〜何かお取りしましょうか?」

「はい♪ 私の可愛い妹です♪ そうですね〜このチキンとフランクフルト頂こうかしら♪」

「ありがとうございます! ん? お嬢ちゃんどうしたのかなぁ?」


 どうやらエルちゃんが男の人に警戒心剥き出しで、がるると威嚇していますね。そんなエルちゃんも可愛いです♡


「エルちゃん、この人はここで働く店員さんだよ。怯えなくても大丈夫でちゅよ〜♪」

「――――――!?」

「お姉ちゃん! 私はもう決まったよ! ん? エルちゃんどうしたの?」


 丁度その時、商品を選び終えた葵ちゃんがレジの所にやって来ました。


「エルちゃんは人見知りな所があるのかもしれないね」

「さて、ここで立ち止まっても迷惑だからそろそろお会計済ませちゃいましょ♪ 店員さんお願いします」

「やっぱり……モモネちゃんの声……エルちゃん……何処かで……」


 コンビニの店員さんは独り言を呟いて、何か考え事をしている様です。


「あの……お会計お願いします」

「っ!? 大変失礼致しました! そちらの女性の方が何やらモモネちゃんの声に似てるなぁ〜って、すみません。こんな所に居る筈無いのは分かってるのですけど。ん〜モモネちゃんは東京住みみたいだし」


 あ、そう言う事ですか。今の話しを聞いてた葵ちゃんの顔が少し引き攣っておりました。このコンビニ店員さんはモモネちゃんのファンなのかもしれませんね。


「やだなぁ〜店員さん。こんな田舎に西園寺モモネちゃんが居るわけないですよ〜私の声良く似てるとは言われますけど、私はモモネちゃんでは無いですよ〜」

「そ、そうですよね! お時間取らせてしまいすみません」


 店員さんは急いでレジに戻りお会計をしてくれました。葵ちゃんは何事も無かったかのようにエルちゃんを抱っこして頬っぺをスリスリとしております。私も後でエルちゃんの頬っぺにスリスリしよう。


「お会計1329円となります。お嬢ちゃん、お待たせして済まないね。はい、これチキンね♪」

「――――――♪」

「あらあら。エルちゃんったらご機嫌だね〜帰ったら葵お姉ちゃんが食べさせてあげるね♪」


 私達はお金を支払ってからコンビニを後にしました。



 ◆コンビニ店員視点



「あぁ、行ってしまったか」


 でも今日は収穫が大きかったのだ! あの美しい女性とお話しが出来たのだ! あのおっとりとした大人の魅力全開のお姉さんも素晴らしかったけど、俺はボブカットヘアーのモモネちゃんに似た声の愛らしい女性の方がタイプだな。


(おっと、行かんな。俺の息子がビンビンに固くなってしまった)


 あれやこれやと妄想してしまい自分の元気な息子を制御できなくなってしまった。ボブカットヘアーの女性もかなりの巨乳美少女。俺は童貞だから女の子とは未経験だ。是非俺の童貞を奪って欲しいぜ。


「やべえ、これが恋なのか」


 俺はボブカットヘアーの女性に完全に惚れてしまった。彼氏居るのかな? もし居ないのだったら、今度アタックしてみよう。


「あ、名前聞くの忘れた」


 よし、今度さりげなくご飯にでも誘ってみようか。

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