1つ予想を立ててる

「キコリ!」

「ドド?」

「目覚めたか!」


 全速力で家へと戻ったドドは、1階にいたキコリを見て全力の笑みを浮かべる。ドドの図体で家の中で走ると家具を壊しかねないのでゆっくりと動きながら、椅子に座って食事をしていたキコリの近くの椅子を引いて座る。


「……よかった。心配した」

「ごめんな。心配かけた」

「構わん。とにかく、よかった」


 そう言うと、ドドはふうと息を吐く。本当によかった。そう思っているのがこれ以上ないくらいに分かるだけに、キコリは逆に疑問に思ってしまうことがあった。


「色々聞かれる覚悟はしてたんだが……いいのか?」

「覚悟が必要なことを、ドドは友に問いただしたりはしない。言いたいと思えば言えばいい」


 なんともドドらしい発言だ、とキコリは思う。どうやら魔王事件でのことはドドの中で整理がついたようだ、とも同時に思う。それでギクシャクしていただけに、キコリとしては心配ではあったのだが……元々ドドは何一つ悪くない話だ。


「それより、此処に来る途中……ドラゴンを見かけた。それも複数だ」

「あー……それについて話をしてたんだよな」


 言われてドドは周囲を見る。テーブルを囲んでいたのはキコリとドドだけではなく、オルフェとアイアースもだ。今まで、全く目に入っていなかった。オルフェはどうでもよさそうに、そしてアイアースはカハハと笑っていた。


「す、すまない。キコリのことで頭がいっぱいだった」

「気にしてないわ」

「おう、面白かったぜ」


 実際オルフェもアイアースも気にしていない。オルフェは自分が1番という自負があったし、アイアースはドドのことをあまりどうとも思っていない。ちょっと関係が歪んでいるがいつものことだ。


「じゃあ、話をまとめよう」

「そうね」

「まず、『新しい破壊神ゼルベクト』の襲来が迫っている。それに備えて各地からドラゴンが集まってる」

「実際いつ来るかは分からねえが……シャルシャーンの態度から察するに、もう時間はあんまり残っていねえんだろう」


 キコリの言葉をアイアースが補完し、オルフェが頷く。実際、シャルシャーンが無駄に無意味に急かしたというのでもなければ、さほど時間は残されていないはずだ。

 そして、ゼルベクトが来るということは……今までの戦いなど比にならないほどの激しい戦いが始まる、ということでもある。


「問題は、ゼルベクトが何処に来るかだ」


 世界は広い。他の世界から来るゼルベクトが何処に来るかなど分かるはずもない。ない、のだが。そこでアイアースは大きく溜息をつく。


「それについてだがな。俺様は1つ予想を立ててる」

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