マインキラー
「へえ、凄いな。こんなものをすぐ作れるなんて」
「たいしたことじゃないわよ。どんな魔法か隅々まで理解してるんだから、対抗魔法くらい簡単よ」
「……俺には出来ないけど」
「キコリは魔法の才能ないから」
「だよな」
魔法は才能が全ての世界だ。才能があればなんでも出来る……とまではいかないが、相当なことができる。
アサトのエアーマインがそうであり、オルフェのフェアリーケインや今回のマインキラーもそうであるということだ。
そしてキコリには破壊魔法ブレイクが精々のところだ。まあ、そのブレイクもキコリの起源に関連してのものであるわけだから、キコリ自身の才能で作った魔法は1つもないとすら言える。
なんとも悲しいまでの才能の無さだが……これに関してはキコリはもう諦めている。
才能が無ければ無いなりにやってきたのだ。それでどうにか……なったかといえば独力ではかなり怪しい部分はあるが、どうにかしてきたのだから。
とにかく、こんなところで才能の差を感じながらもキコリは進むが……すると早速、マインキラーの光が何処かへと向かっていく。
「え?」
ポヒュンッと音を立ててキコリの行く先で何かが消滅する。どうやらそこにエアーマインがあったようだが、キコリにはまったく察知できなかった。どうやら先程よりも隠ぺい度が上がったようでレルヴァでもかなり気をつけないと察知できないレベルのようだ。
「ふーん……さっきのと比べると多少だけど精度が上がってるわね。慣れたのか油断させてここでドカンといくつもりだったのか……まあ、無駄だけど」
「よく分かんないけどオルフェの魔法の方が上だったってことか?」
「そういうこと。どんな魔法か完全に内部構造を理解した上でカウンター魔法作ってるんだから、ちょっと凄いとかちょっと変えた程度じゃ通用するわけないのよ」
「へえ、凄いな」
「そうよ、あたしは凄いのよ。ちゃんと感謝なさい」
「ああ。いつも感謝してる。ありがとう」
「……」
「……」
「うっさいバーカ」
「なんでだ?」
何故オルフェにバカと言われたのかキコリにはさっぱり分からないのだが、ともかくオルフェのマインキラーの効果はバッチリだ。その後もオルフェがマインキラーを何度かかけ直しながら進んでいくが……そうしているうちに、坑道の先に昼間のように眩い空間が現れる。
「な、んだこれ……?」
どうやら位置的に「それ」を見下ろす高さに穴はあるようで、しかしそれは……とんでもない広さを持つ空間だ。
まるで王都そのものを詰め込んだかのような、そんな巨大な地下空間。
ドワーフが探し、アサトが探した古代王国と思われるものが、そこには存在していたのだ。
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