エアーマイン
「ああ、分かった」
言われれば、キコリは動いたりはしない。オルフェが何かを感じた。それだけで警戒するには充分だからだ。
そしてオルフェもそんなキコリからの信頼を感じながら、先程の違和感をじっくりと確かめていく。
壁? 否。天井? 否。ならば床? これも否。ならばこの違和感は何処から来るのか?
「……あっ」
空間だ。何やら隠ぺいのような処理がされているが、それが別の違和感となってオルフェの感覚に引っかかったのだ。
そういう前提で見ると、違和感が形となってくる……空中に、何かが浮いている。
何やらトゲトゲの栗のような形をしているが、一体何なのか?
(いかにも攻撃的な見た目ね……避けてもいいけど、それでどう反応するか分からないし)
ここは調べてみるしかない。そう判断すると、オルフェはこの不可思議なものをじっと見つめていく。
……元々妖精は魔法的な素養に長けているが、妖精そのものが魔法というものの申し子といっていい。それは、妖精の持つ幾つかの特殊能力に由来する。
まずはキコリも持っている飛行補助のための軽量化能力【フェアリーマント】。
妖精の魔法力の高さの一因である、魔法の自動制御能力【フェアリースタッフ】。
同じく妖精の魔法力の高さの一因である、魔法の解析能力【フェアリーアイ】。
高い魔力を支える魔力への親和性と保有魔力を補助する【フェアリーローブ】。
そして、この中のフェアリーアイは妖精に「1度見た魔法を会得する」力を与えた。
要はどんな魔法でも、フェアリーアイの前ではその構成の全てを本人の認識していないレベルまで理解されてしまうのだ。
だからこそ、そのフェアリーアイを使いオルフェは目の前の不可思議な魔法を分析する。
「構造自体は単純ね。基本は爆発魔法。範囲と威力は……何考えてんのかしらこいつ。隠ぺいも組み込んであるのね。作るときに何か明確なイメージがあった感じだけど、異世界の何かかしらね? 一定範囲内の感知式で、要は魔法で作った罠……か。魔法名は……『エアーマイン』?」
「凄いな……レルヴァの感覚でもそこに何かあるのは分かるけど、そこまでは分からないぞ」
「フン、妖精女王をナメるんじゃないってことよ……よし、解析完了。あとは……」
オルフェが指を鳴らすと、そこに設置されていたエアーマインの魔法はパンッと音を立てて分解され消えてしまう。
「これで大丈夫。でも、似たようなものがこの先にあるかもしれないし……」
オルフェは言いながら自分の周囲に光球を幾つか発生させると、そのうちの2つほどをキコリの周囲で回転させる。
「うわっ、なんだこれ?」
「エアーマイン殺し。まあ、名付けてマインキラーってところね。今のと同じのを見つけたら、勝手に襲い掛かって解除するわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます