もう流石に邪魔は入らないだろ
それが攻撃だと気付かないはずもない。ないが……キコリが防ぐまでもなく、兜がしっかりと飛んできた小さな鉄塊を受け止め弾いていた。
「へえ、すげえな。手加減したとはいえ銃弾を弾くのかよ、その兜」
「銃弾……そうか。それが銃か」
(知っている。確か転生者が作ろうとして失敗したものだ)
そう、キコリたちの世界では「英雄」とか「天才」と呼ばれた転生者のうちの1人が銃を作ろうとして失敗している。
確か原因は「法則が違う」とかであったらしいが……この世界ではそうではないらしい。
小さな鉄の塊を飛ばす武器。キコリが人間の頃であれば必殺だったかもしれない武器だ。レルヴァの鎧を手に入れる前までであれば、やはり対処に苦労したかもしれない。
まあ、そんなことよりも大事な話があるのだが。
「なんで攻撃した?」
「ん?」
「敵対しないって話になってただろ」
「ハハッ、何かと思えばそんなことか」
男は言いながら、キコリたちに銃口を向ける。その銃身が淡く輝いたのは、魔力を流した証だろう。
「フルバレルショット」
両手の銃から青く輝く光線が発射され、キコリとアイアースは即座に両側に跳んで避ける。
「レル! 皆!」
キコリの声に従い、鎧の背中にレルヴァの翼が生える。空を飛ぶのが苦手なキコリの代わりにレルたちが制御し、キコリは空を舞い男へと急速接近していく。
「甘ぇ、デスペラードショット!」
男の叫び声と同時に銃弾が四方八方へと発射され、しかしキコリは落ち着いてバイザーを下ろす。
まるでレルヴァの顔のようなバイザーを下ろしたキコリは銃弾を全て弾き、男へと迫る。
「こ、この! スピードショッ」
「ミョルニル」
ズドン、と。斧が命中すると同時に男を電撃が蹂躙する。そのまま男は切断されて……銃も電撃を受けて爆発して転がっていく。
「……なんでこいつら、避けるってことを知らないんだろうな。この前会ったのもそうだったよな?」
「避けた経験がなかったのでしょう。あの銃とかいう武器、人間相手なら強いでしょうしね」
「またそういうパターン、か」
まあ、確かに大きな戦いが終わって人間同士でやりあっている現在ではまさに「人間相手に強い」というのは文字通りの無双なのだろう。
そしてキコリたちも人間に見える……ということで、まあ平たく言えばカモに見えたのだろう。前回はマジックアイテムの剣に、今回は銃に非常に自信があったように見えたのもそのせいなのだろう。
結果として2人とも回避行動をとらずに死んだわけだが……この先あんな連中がまた現れるなら、中々にこの世界の未来は暗そうだ。
「さて、城に向かってみようか。もう流石に邪魔は入らないだろ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます