大量の魔力を得る方法

 そしてそんなキコリを、レルヴァはじっと見つめていた。

 確かにこの「キコリ」はゼルベクトの生まれ変わりなのだろうと、レルヴァはそう確信していた。

 だが同時に、ゼルベクトとは性格が違い過ぎるとも感じていた。破壊神ゼルベクトとは「確実な破壊」のためにその全性能を注ぎ込む神だ。

 そのためであれば策謀の類であっても惜しまない、邪悪な知恵に長けた神でもあった。

 しかし目の前のキコリはそれとは真逆だ。繋がって分かったが、底抜けの善性と……それ故の、底無しの渇望を併せ持っている。

 言ってみれば……誰かのためであれば世界すら壊せる。そんな存在であるとレルヴァは感じていた。

 それは、間違いなく方向性の違う破壊神としての素質と言えるだろう。そんなものが何処に向かうのか、レルヴァは強い興味を持っていた。

 しかし……キコリの瞳に浮かんでいたのは、絶望でも諦めでもなく、希望だった。


「アイアース、朗報だ。ゼルベクトには、確かに世界移動の力がある。たぶん、条件もほとんど満たしてる」

「ほとんど、ねえ。足りねえのは魔力か?」

「ああ。絶望的なくらいに魔力が足りない。向こうの世界の俺がオルフェに本気で怒られるくらいに無茶してもまだ足り無さそうなくらいだ」

「そりゃあ絶望的だな」


 元々キコリの魔力許容量は然程大きくはないが、そうなるほどの無茶となると確かに相当だ。そして、そんな魔力をこの世界で得るのは不可能に近い。何しろドラゴンのとしての力は使えないのだから。

 だからといって、此処で地道に魔力を増やすための修行なんかしている暇もない。

 ならば、どうするのか? その答えは「別の場所から魔力を持ってくる」になる。

 つまり大量の魔力を秘めたものなどを活用することになるわけだが、たとえば此処に居るレルヴァ全ての魔力を借りたとしても足りないはずだ。


「なあ、ルヴ」

「おや、私の名前ですか?」

「何か方法はないか? 世界移動のための、大量の魔力を得る方法だ」


 ルヴは言われて、考えるような様子を見せる。目の前のキコリが納得できるような、そんな方法を考えているのだ。


「2つ、ございます」


 1つは、大量の魔力を秘めたマジックアイテムから魔力を奪うこと。相当量のマジックアイテムを集めなければならないかもしれないが、安定して魔力を利用できる。

 1つは、この世界の残りのレルヴァを集めること。その全てと繋がり支配下に置くことで、疑似的に破壊神となる。そうすればレルヴァの持つ魔力も利用し、世界移動もレルヴァのサポートにより安定した状態で行える。


「どちらでも、お好きな方を選ばれるとよろしいかと思います」

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