グレートドレイク

「こんにちは、ドレイク。俺たちに何らかの用事……ということでいいんだよな?」

「そうだ。にせものどれいく、どらごんはたおしている。かんしゃもうしあげる」


 巨大ドレイクはそう言うと、キコリをじっと見つめる。此方の返事を待っているのだろうか……キコリは試しに返事を投げかけてみることにする。


「分かった、聞かせてくれ。どんな用事なんだ?」

「りゆうをしりたい。なぜ、にせものどれいくをたおす?」

「アレはデモンという。モンスターを駆逐してなり替わりかねない、危険なモノだ」

「すまない。でもん、に相当することば、どれいくにない。どのようなものか」

「大地の記憶から再生されると聞いている。たぶん全生命の敵だ」

「りかいした」


 ドレイクはキコリの言葉を反芻するようにギュルギュルと鳴き始め……やがて、先程よりも鮮明な口調になる。


「デモン。全生命の敵。理解した。そしてこの言葉も理解した。恐らく、ドレイクの言葉との置き換えも出来た」

「……凄いことを言われた気がするんだが、つまり2種類の言葉を喋れるようになったってことか」

「正しい。改めてご挨拶申し上げる。グレートドレイク。偉大なるドラゴンに」

「まだちょっと怪しいな……いや、凄いのは変わらないんだが」

「努力する」


 キコリからしてみればドレイクの言葉は一切理解できないのだが、それはキコリの努力が足りないのかキコリの頭が悪いのか。両方な気がしてなんとも空しい気持ちになるキコリだが、ひとまず目標であった対話は出来ているのだ。


「とにかく、俺たちがデモンドレイクを倒す理由は理解して貰えたと思う」

「理解した」

「そこで、提案がある。モンスター同士が集まっている町があるんだ。そこに移住してみないか?」

「移住。モンスターを守るためか」

「ああ、理解が早くて助かる。お願いできるか?」

「……了解した」


 グレートドレイクは頷くと、全方位へと響き渡るような咆哮をあげる。それは威圧ではなく、何かを呼び掛けているような……そんな咆哮だ。

 それが響き渡った、その後……地面を揺らし轟音を響かせ、四方八方から大小様々なドレイクたちが走ってくる。

 それがグレートドレイクとキコリたちを囲む位置で止まれば、グレートドレイクは恐らくはドレイクの言葉であろう言語、キコリたちには吼えているようにしか聞こえないもので会話を始める。それがやがて収まり、グレートドレイクがひときわ大きな咆哮をあげれば、他のドレイクたちもそれに追随するように吼え始めた。


「話は終わった。ドラゴン。ドレイクの一族はドラゴンの導きに従おう」

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