デモンサンドワーム
そんな風にフレインの町を旅立ってから、すでに3日が経過した。
砂漠を進むキコリたちは、今日何度目かとなる巨大な蛇のようなモンスター、サンドワームと戦っていた。
「グワーッ!?」
「アイアースが食われた!」
「平気でしょ、腹突き破って出てくるわよ!」
「オラー!」
「もう出てきたぞ!?」
サンドワームの体内を爆散させるようにして飛び出てくるアイアースを見てドドが驚愕しているが、歴戦のドラゴンであるアイアースが、人間のような姿形とサイズをしているからといって、人間のようにアッサリと食われるはずもない。
とはいえ、だ。巨大な口を持ち砂漠と全く同じ色をしたサンドワームは砂の中から振動もなくいきなり現れるので予測しがたく、火力だけでいえば過剰なキコリたちであっても苦戦する相手だ。アイアースが食われたのも、それなりの理由があるというわけだ。勿論、それを踏まえた上で食ったところでどうなるかは今の通りだが……問題は、サンドワームが「普通のサンドワームではない」ということだ。
「こいつら……全部デモンサンドワームか!」
そう、サンドワームたちはその全てが「デモン」なのだ。先程から全く同じ大きさ……ずらりと並んだ牙の形や数まで全く同じサンドワーム。そんなものが自然の生き物であるはずもない。
だからこそ、倒したところで一切気にしないしデモンとはいえ同族の死骸ですら食う個体もいる。
「ミョルニル!」
「トライデント!」
キコリとアイアースの一撃が新たに現れたデモンサンドワームを撃破するが、ハッキリ言ってキリがない。
相手は大地の記憶から無限に再生される怪物だ、どれだけ倒しても全滅することがない。
「くそっ……オルフェ!」
「もう少し!」
「分かった!」
ドドに守られ魔法を構成していたオルフェの手元で、ついに「それ」が出来上がる。
「完成!」
その光球をオルフェは天へと掲げ、唱える。
「フェアリーケイン!」
天へと昇る光球にデモンサンドワームが触れようとして、放たれた光線に頭部を消し飛ばされる。
そう、それこそオルフェのオリジナル魔法「フェアリーケイン」。
その本質は相手に合わせた攻撃の自動選択と、オーバーキルといわれるレベルまで攻撃をやめない無慈悲さにある。
すなわち、1度発動すればオルフェが消すか詰め込まれた魔力を使い切るまでは消えはしない。
それがどれだけ恐ろしいものであるかは言うまでもないが、つまるところ自動砲台である。いまや妖精女王となったオルフェが存分に魔力を籠めたフェアリーケインはデモンサンドワームを貫いていき……それに「よし」と頷きながらオルフェが叫ぶ。
「今のうちに行くわよ!」
こちらを狙ってくるデモンサンドワームをどうにかしなければいけないなら、どうにかしてくれるモノを置けばいい。大分力技ではあるが……実際、これしかないだろうと思われた。
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