なれの果て

 それからフェイムを加えたキコリたちは、「温泉の廃村」を拠点に、広葉樹の森に繋がる転移門を虱潰しに探すことにした。

 幸いにも温泉の廃村はその性質から拠点にするには良く、モンスターもデモンも出てこなかったからだ。

 まず、元来た場所は除外するので残りは3か所。1か所は温泉の廃村なので除外。

 残り2か所のうち……1か所は高い山々のある荒れ地。これも除外。

 そして残りの1か所に向かうキコリたちは、ゴーストの数がまた増えていることに気付いていた。


「ヒヒヒヒヒ!」

「ヒイイイヒヒヒヒヒ!」


 襲ってくるゴーストたちをキコリの斧とドドのメイスが霧散させ、オルフェとフェイムの魔法が消し去っていく。


「なんて数のゴーストだ……! どうしてこんな」

「ん? 俺たちが来た時はこうだったぞ」


 キコリが言えばフェイムは「恐ろしい……!」と声をあげる。

 本当に恐ろしそうに顔を青くしているが、キコリはそれに疑問符を浮かべてしまう。

 そうなると、あのゴースト。やはりフェイムたちが「襲撃を受けた後」に来たことになる。

 大分蹴散らしたはずだが……それが増えているのは、もしやゴーストの中にデモンが混ざっているからではないだろうか?

 まあ、どのみち区別はつかないのでゴーストはゴーストなのだが。

 そしてゴーストが此処に集まった理由は……やはり。


「あー……やっぱりか」

「う、うわああああああああああああああ!」


 妖精ゾンビ。そうとしか言いようのないモノが飛んでくるのを見てキコリは嫌そうに目を細め、フェイムが絶叫をあげる。当然だが、知り合いなのだろう。


「ファイアショット」

「ボェアッ」


 オルフェの放った炎の弾を妖精ゾンビは同じように火の魔法で迎撃しようとして……威力の圧倒的差の前にかき消され、驚きの表情のまま焼失する。


「そういうことね。可能性を考えるのと実際見るのとじゃ不快度が段違いだわ」

「だろうな。でも『やっぱりそうだ』っていうなら、もっと不快なモノがあるんじゃないか?」

「可能性はあるわね」


 というか、ほぼ確実だろうな……とキコリは思う。

 そうであれば、此処にあれほどゴーストが居た理由も説明がついてしまうのだから。


(……どうしたもんかな。実際会ったらどうすればいい? デュラハンに……ギエンに任せた方がいいのか?)


 幸いにもその手段はある。だがギエンに、妖精女王の危機に際して出てきたような相手に「なれの果て」を見せていいものかどうか。それとも、そうであるからこそ結末は任せるべきなのか。その辺りを考えても……キコリに判断が出来るはずもない

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