アンタは生き様がバーサーカー
「アレか……」
「そう、アレよ」
「話し合いの余地はない、侵入者は焼く」なスタンスのヴォルカニオンを思い出しキコリとオルフェは頷きあう。
キコリ自身はヴォルカニオンと会話できているのでそんなに恐ろしい印象はないのだが、キコリ以外から見ればヴォルカニオンは恐ろしいだろう。
理知的で共通語も解する。その上で此方を問答無用で殺しにくるというのは、どうしようもない恐怖に違いない。
「って、いや待ってくれよ。ユグトレイルのところには居たんだろ?」
「……ユグトレイルは妖精贔屓だからな。怖いけどまあ、その分の利益もあった」
「うーん……」
オルフェの村の妖精たちのほうが純真だったというか、目の前の妖精がスレているというべきか。
キコリはなんともいえない気持ちになりながら、一定の理解を示す。
確かにユグトレイルは妖精女王を気にかけていたし、その側にいれば安全ではあっただろう。
わざわざそれを捨てたというのは……もしかすると今言っていたような「怖い」が勝ったのではないか、とそんなことを思う。
「そもそも、なんで旅に出たんだ?」
「新天地を見つけるためだ。ユグトレイルは口煩かったから女王陛下も息が詰まったのだろう」
私もそうだ、と言う妖精にキコリは頭痛がしてくるが……まあ、それについては今更どうしようもない。「結果としては間違っていた」というだけで、それの是非をキコリが問えるはずもない。
「……事情は分かった。ひとまず俺はユグトレイルのようなものだとでも思ってくれ」
「無理だ」
「んんっ……オルフェ、説得よろしく」
「ぶち殺すわよ、黙ってついてきなさい」
ヒイッと声をあげる妖精にオルフェがガンをつけているが……しばらくすると説得完了したらしく「ついてくるって」とオルフェが飛んでくる。
「あー……じゃあ改めてキコリだ。よろしく」
「妖精騎士のフェイムだ。まあ、よろしく頼む」
「ああ、よろしく」
言いながらキコリが「……そういえば妖精騎士ってのは?」とオルフェに小声で聞けば「自称」と身もふたもない答えが返ってくる。
「そもそもあたしたちに国なんかないし。ごっこ以上の何かになると思う?」
「あー……」
ならなさそうだな、とキコリは苦笑する。よく言えば自由気まま、悪く言えば自分勝手。集団行動だの規則だの法律だのとは一番縁遠い。
「まあ、いいや。俺のバーサーカーも自称なとこあるしな」
「アンタは生き様がバーサーカーでしょうが」
それについては何も言い返せず、キコリは空中に指を彷徨わせ「あっ」と思いついたように声をあげる。
「他の生き残りはいないのか?」
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