有言実行
有言実行、という言葉はあるが……その言葉を体現するかのようにキコリたちは襲ってくるゴーストたちを倒していく。
そうして倒していくと、やがてゴーストの「密度」のようなものが妙に高くなっている場所があることに気付く。
まるで、そこに向かってゴーストたちが集まっては飛び去って行くような、そんな不可思議な場所だ。
「うっ……なんだ、これ」
「一気に吹っ飛ばすしかないわね。キコリ、アレやりなさい」
「アレ? ああ、アレか」
「ん?」
ドドだけが分からない風だが……キコリにとっては慣れた技だ。
かつてはウォークライと呼ばれた技。
そして今は、ドラゴンロアと呼ばれる技。
咆哮に殺意を籠め、そして魔力すら籠めて放ち示す殺意の形。
だから、キコリは思い切り息を吸い込んで……ゴーストたちを殺すべく頭の中を殺意で満たしていく。
殺す。殺す。ゴーストが魔力攻撃に弱くて、この咆哮に魔力が宿るというのであれば、これは声に届く範囲のゴーストに向ける広範囲の刃。
だから、貫かれて死ねと。キコリは咆哮する。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
叫ぶ。吼える。咆哮する。
響く魔力を帯びたドラゴンロアがゴーストたちを消し去るようにして殺していく。
パン、パアン、と。風船でも弾けるような音と共にゴーストたちは消えていき……そうして、森に静寂が戻る。
範囲外であったはずのオルフェとドドまで気圧されたような凄まじいドラゴンロアは、その場にいた全てを威圧……した、はずだった。
だが、ゴーストたちが集まっていた、その先。森のその奥から、ガシャリという金属同士がぶつかるような音が聞こえてくる。
ガシャ、ガシャ……と。響く音は間違いなく金属製の武具の音。
しかし、こんな場所に何が? 冒険者をゴーストが乗っ取ったアンデッド?
分からないままに、キコリたちは武器を構え……そうして、やってきたモノがキコリたちの視界に入る。
「人間……違うな。人間っぽい何かと妖精、そしてオーク。不可思議な組み合わせだ」
「共通語……!?」
「おや、人間の言葉を知っていると見える」
それは、人間のようで決して人間ではない何かだった。
全身を覆う黒い金属鎧。マントまでつけたその姿は、まるで騎士のように見える。
しかし、本来首がある場所には何もなく……その脇にフルフェイスの兜を抱えている。
そんなものが、人であるはずがない。いや、生命体であるかすらも分からない。
「丁度いいから聞いてみよう。貴殿たちは、この辺りにいたかもしれない妖精について知っているか?」
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