分からないからこそ、気味が悪い
「戦場跡? ゴーストって死んだ人とは関係ないって本で読んだ覚えあるんだが」
「そうよ。でもゴーストが集まるってことは、集まる理由があんのよ」
そう、ゴーストは他の生命体を乗っ取るモンスターだ。
しかしながら同じ魔力生命体の悪魔と違うのは「別に生きていなくても構わない」という点である。
どういうことかといえば……たとえばの話、死体でも良いということだ。
ゾンビ、グール、スケルトン……世のアンデッドと呼ばれるモンスターたちの一部の正体がゴーストであるということは、モンスターの間では比較的常識の部類に入る。
ちなみに他のアンデッドの部類としてはネクロマンサーが魔力で操る人形としてのアンデッド、あるいは「そういうもの」として誕生する純粋なアンデッドなどが存在している。
だが、そうした事情はアンデッドではない者にとっては「どれでも同じ」であったりする。
「そうだったのか……ドドは初耳だ」
「でしょうね」
まあ、ドド……というかオークのように、その辺の事情を知らないモンスターも多いのだが。
「んー……つまり、ゴーストが集まるような『身体』が此処にあるって話だよな? しかも、その数は然程多くない。でもあぶれた奴が諦められないような魅力的な何かってことだ」
「そういう可能性はあるわね。何があるんだか……」
「ヒヒヒヒヒ!」
「ウインドショット」
「ヒイイイ!」
襲ってきたゴーストを魔法の一撃で蹴散らしながらオルフェは考える。
キコリの言ったことが正解である可能性は非常に高い。
しかし、そうであれば襲ってくるゴーストたちに関する説明がつかない。
「でも、その割にはゴーストが襲ってくるよな」
「そうなのよね……」
そしてキコリもやはり同じことを考えていた。
諦めきれないほどに魅力的な「身体」があってこの辺りにいるにしては、ゴーストが躊躇いもなく襲ってくる。
それは「この場にある魅力的な身体を乗っ取りたくて集まっている」とは正反対の行動だ。
襲ってくるゴーストたちを退け、倒し……キコリたちのその考えは、段々と強くなってくる。
「違うな。こいつら、俺たちの身体でいいと思ってるぞ?」
「ドドも同じ考えだ」
「そうね……変だわ、理屈に合わない」
一体何が起こっているのか。ゴーストが何故こんなに集まっているのか?
分からない。分からないからこそ、気味が悪い。
しかし……何かロクでもないことが起こっているような、そんな予感ばかりが強くなる。
「何かにこだわってるわけじゃない……なら、集められたのか? ネクロマンサーがやったみたいに」
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