プライドと実際の技能の問題
3日。それ自体は、短くはない。ないが……それでドドが強くなるのであれば、許容すべき時間だとキコリは考えていた。
だからこそキコリもオルフェも頷き、3人で施設の中を探すと、確かに鍜治場のようなものが存在していた。
仕組みは分からないが魔法的な仕組みが多々組み込んであるらしく、ドドが感心しきっていた。
水が出る金属管のようなものも此処にはあり、鍛冶用ではあるらしいが、これで水の問題は解決したといえた。
「これは……凄い。悪魔の技術力はドドの想像以上だ」
「こういうのを作るあたり、物質的なもんを結構大事にしてたって分かるわね」
ドドとオルフェがそう言うからには凄いのだろうとキコリにも理解できるが、どう凄いかはサッパリ分からない。しかし、ドドが望むものが出来るのだろうことだけは理解できていた。
「ドド、何か手伝うことはあるか?」
「基本的には、ない」
ならばドドが此処で作業をしている間はキコリは必要ないということだが、それならキコリもその間にやろうと思っていることはある。
「なら、俺は……地図があるか探してみるとするよ」
「あー、ならあたしも一緒に行くわ」
「ああ、ドドは此処にしばらく籠る」
すでにインゴットの吟味を始めていたドドをそのままに、キコリとオルフェは鍜治場を出て歩き始める。
この広い建物にはどうやら地下も上階もあるようで、恐らく地図もあるものと思われた。
まあ、実際にどうかは探してみないと分からないのだが……。
「やっぱり鍛冶師なんだな、ドド」
「そうね。でも、それよりも……此処の悪魔は変な連中だったみたいね」
「変って、何処がだ?」
「武具よ。悪魔はあたしたちと同じで魔法的な能力に特化した連中よ? たとえ肉体を得たところで、武具なんかに頼る必要はないのよ」
「いや、それは……場合によるんじゃないのか?」
オルフェがメタルゴーレムを倒すためにフェアリーケインが必要だったように、魔法が通じにくい敵には物理攻撃が有効だろう。そうした場合に備えたのだろうとキコリは思っていた、のだが。
「よらないわよ。剣なんか振り回すより強い魔法一発撃ったほうが話早いんだから」
「その辺よく分からないな……」
「プライドと実際の技能の問題よ。アンタだって話通じそうにないなら斧で頭割りにいくでしょ?」
「流石にしないぞ?」
「そうね。『ああ、そうだな』って言われたらどうしようかと思ったわ」
そんなことを言い合いながら、キコリたちはまず階段を下りて地下に行く。
そこには……金属製の箱が大量に積まれた、そんな場所だった。
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