地下都市みたいなもの

 そうして3人はまた、地下通路を歩きだす。

 継続的に響く音は未だに続いており、止む様子は一切ない。そして……。


「また出たぞ!」

「逃げるわよ!」


 キコリたちは、何度目かの遭遇となるメタルゴーレムから逃げ回っていた。

 この場所に何体いるのか分からないが、とても真面目に相手などしてはいられない。

 いや、大地の記憶の再生とやらが此処でも起こっているのであれば……どれだけ倒してもメタルゴーレムは無限に現れるだろう。つまり消耗戦になってしまうし、そうなれば不利なのはキコリたちだ。

 だからこそ逃げて、逃げて……地下通路の途中で、キコリたちは座り込んでしまう。


「ふー……困ったな。どっちに行けば出口に行けるんだ?」

「分かんないわよ」

「ドドも分からない。まるで迷路のようだ」


 そう、この地下通路はまるで迷路のようだった。

 複雑に入り組んで、どの場所も同じような構造に見えてくる。

 しかもメタルゴーレムに追われながらだ、もうどうしようもない。


「食糧も水もある。しばらくは大丈夫だろうが、それでも困ったな」


 言いながら、キコリはオルフェに視線を向ける。


「なあ、オルフェ。こういうときに便利な魔法とかってないか?」

「あったら使ってるわよ」

「ま、それもそうか」


 頷きながら、キコリはシャルシャーンの言葉を思い出す。

 消える前にシャルシャーンが言っていたことは、確か……。


「地下都市みたいなものだって、言ってたよな」

「これの何処が都市だってのよ。迷路じゃない」

「ドドも同意する。こんな場所に人は住めない」

「うーん……」


 確かにその通りだ、とキコリは思う。そもそも、かなり地下深くだともシャルシャーンは言っていたが、何故そんな地下深くに都市のようなものを作る必要があったのか?


「都市みたいなもの、か。つまり都市ではないんだよな」

「そうなるわね」


 都市ではない。迷路のような通路で惑わされる。なら、この場所はなんだというのか?

 地下深く、地上での争いも届かないような場所。そんな場所に、都市みたいなものを……そして迷路を作る目的は。


「……避難所、か?」

「ふーん? なるほどね、それなら確かに」


 ドドは疑問符を浮かべているが、オルフェはすぐに理解したような表情になる。


「上で何かがあった場合の避難所。最低限の都市機能と『順路の分からない部外者』を弾く仕掛け。こう考えれば確かに辻褄は合うわね」

「でもそうすると新しい問題も出てくる。こんな明かりも目印もない場所で、どうやって順路を確認してたんだ?」


 たとえ地図があったところで、こんな場所を上手く進めたとは思えない。

 あのメタルゴーレムに案内して貰ったとでもいうのだろうか?


「うーん……」


 オルフェも悩むような様子を見せた後、キコリとドドを順に見る。


「メタルゴーレム、もう1体壊してみましょ。それで分かるかもしれないわ」

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