あたしに考えがあるわ
メタルゴーレム。その分類をキコリは知らない。本に載っていたのはアイアンゴーレムまでだからだ。
アイアンゴーレム自体は内部まで鉄の詰まった超重量の金属の塊だ。
物理的な攻撃でこれを突破するのは非常に困難であり、対処方法としては高威力の魔法で行動不能な状態にまで破壊するしかない。
しかしメタルゴーレム……ということは、この法則に当てはまらない可能性もある。
「まずは一当て……!」
関節部を狙い、キコリは斧を叩きつける。
ガギンッと響く音と手に伝わる感触は、メタルゴーレムに斧が弾かれたことによるものだ。
「硬いっ……!」
今の一撃で充分に分かった。このメタルゴーレムも、中まで全て詰まった金属塊だ。
これを斧の一撃で断つことは、正直無理に近い。だが、それならばそれでやりようはある。
メタルゴーレムの緩慢な……しかし重さを充分に乗せた一撃をキコリは回避する。
壁を揺らす一撃はその威力をあたらずとも感じさせ、しかしこの程度では簡単に当たりはしない。
「ミョルニル!」
斧に電撃を纏わせ放つ一撃は、当たればその電撃を内部へと流し込む。
倒せるか倒せないかをさておいても、それだけは変わらない。その、はずなのに。
キコリの斧から流れ込むはずの電撃はメタルゴーレムの表面を流れ、そのまま拡散されてしまう。
驚愕に目を見開くキコリをメタルゴーレムの蹴りが吹き飛ばし、オルフェがロックランスの魔法を更なる追撃を防ぐべく放つ。
しかし、ロックランスはメタルゴーレムの表面で傷1つつけることなく砕け散る。
「キコリ、平気か」
「あ、ああ。ありがとうドド」
「あいつ、魔法を弾くタイプなのね……面倒だわ」
歩いてくるメタルゴーレム相手にキコリは斧を握り立ち上がるが……その横を大盾を構えたドドが走っていく。
「お、おい!」
「時間稼ぎはドドに任せろ! ドドは頭が悪い、こいつを倒す手立ては浮かばん!」
叫ぶドドにメタルゴーレムの拳が振るわれ、しかしドドは「フン!」と気合を入れて大盾で防ぎ耐えきる。
「重い、強い。だが耐えられる!」
「す、凄いな……」
オークの力が強いことはキコリも知っていた。味方としてみれば、これほどまでに頼りになる者もいないだろう。だがそれとて限界はある。
だからキコリは考える。斧は通じない、魔法も通じない。ならどうする。
奥の手……切り札はある。だが、ここでそれを切っていいものかどうか。
だが、それ以外には。
「キコリ」
「オルフェ……?」
「あいつが耐えられてるなら、あたしに考えがあるわ。ここは任せときなさい」
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