君の相棒、頭も勘も良いね

 オルフェとドドの身体は地面に倒れるように落ち……寝息をたてていた。

 キコリはまずオルフェに駆け寄りその寝息を確かめて、ふうと安心した息を吐く。


「ドドも……大丈夫だな。おい、2人とも起きてくれ」


 オルフェを持ち上げ、ドドも揺らす。そうするとまずはオルフェが目を覚まし、バッと飛び上がり周囲を見回す。


「な、何⁉ 何処なの此処⁉ え、確かえっと……」

「オルフェ、落ち着いて。此処にアレはいない」

「キコリ⁉ ……ん? キコリ、よね?」


 オルフェは疑問符を浮かべるとキコリをペタペタと触り「うん、キコリだわ」と頷く。

 しかし、どうにも納得していないような顔で「んー……」と唸っている。


「……あたしの記憶は死にかけたところまでなんだけど……何かあった?」

「まあ、あったかな」

「あと、そこのそいつ……『何』なの?」

「おや」


 言われてシャルシャーンが驚いたような声をあげる。


「ボクは普通の人のつもりなんだんだけどなあ」

「冗談やめてよ。何も感じなさすぎて怖いわよ」

「あはは、なるほど? まあ、ボクのことはシャルって呼んでよ」

「え、ごめん。今の会話で何が分かったのか分からない」

「あんまり普通過ぎると普通じゃないって話よ」


 言いながらオルフェは「その名前で今の状況ってことはアレでしょ……? なんか状況が読めてきたわよ」と呟いていて。


「君の相棒、頭も勘も良いね。君とは大違いだ」

「凄く頼りにしてる」

「おお、恥ずかしげもなく……ま、いいけど」


 そうしていると「うう……」と声が響きドドが起き上がる。


「一体何が……いや、夢か?」

「見ろよ、こっちは君にそっくりだぞ」


 自分はそこまでじゃないと思いつつもハッキリ否定できなかったのでキコリが黙っていると、ドドがキコリたちに気付き「むっ」と声をあげる。


「キコリ、とオルフェか。1人増えている……人間か?」

「シャルだよー。縁あってちょっと同行するからよろしくね」

「よく分からんが、もう話はついているのだろう。よろしく頼む」


 頷くドドにシャルはニコニコと微笑み「さて」と手を叩く。


「簡潔に説明しよう。君たちを助けたのはボクだ。もうキコリとは話がついてるけど、君たちの言うネクロマンサー……今は偽ドラゴンになった『トルケイシャ』をぶち殺しに行く。反対意見はあるかい?」

「……まあ、ないわ」

「ないな」

「大変よろしい! ちょっとダンジョンが君たちの知るものから変わってるけど、その辺りは実際に体験してほしい。では出発だ!」

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