単純に殺すべきだと思ってる
キコリたちは頷きあうと、ボロい橋を渡って行く。
意外にもしっかりしている橋をきしむ音を立てながらも渡り切ると、壊れた村の中に辿り着く。
意外にもこの場所には紫の草はほとんどないが……それでも怪しげな雰囲気があるのは、そこに立つ人物のせいだろう。
先程の骨のネクロマンサーと違い、骨と皮だけのような細すぎる手がローブから出ており、顔には白い無表情の仮面をつけている。
一見すれば人間のようにも見えるが、恐らく違うだろうと……そう思わせる外見だった。
手に持つ金属杖は古びてはいるが、先端についた大きな魔石が杖の持つ力を示しているかのようだ。
「ようこそ。早速本題だが、このエリアに押し入った理由を聞こうか?」
「押し入る……? 自分の縄張りだって言う気か」
「然り。何処にだって縄張りはある。それは全ての生き物に存在するルールだと思うが」
「それを言うなら、オークの縄張りを侵し蹂躙したのはそっちだろう」
キコリが言えば、ネクロマンサーは「ん?」と声をあげる。
「オーク? なるほど、君はオークの友人なのか?」
「仲間ではあるな」
「なるほど、なるほど? それで私を許せないと思っていると」
「いや、それは別に」
実際、キコリはそれほどネクロマンサーを憎いなどとは思っていない。
ぶっちゃけた話で言えばドドの村の仲間など他人だし、オークとは何度も戦っている。
ドドは話は通じるし「いい奴」なので別枠だが、キコリがオークに対し何かを思うことは今のところない。
「ドドとは目的が一致してるから一緒に来た。でも、別に仇を討ちにきたわけじゃない」
「まあ、そうだな。ドドも手伝ってくれとは頼んでいない」
キコリにドドも頷くが、オルフェはなんとも微妙な顔で。ネクロマンサーは表情は見えないながらも明らかに困惑した雰囲気を出していた。
「ちょっと待て。なら何をしに来たのだ?」
「何って……お前……お前等? の仕掛けたストーンドールに襲われたし、村を襲ってアンデッド作ってるみたいだし。あと、単純に殺すべきだと思ってる。だからまあ、手に負えなくなる前に殺しとこうかと思って」
「……は? いや、おい。それは蛮族の思考だぞ? それでいいのか?」
「いいもなにも……敵でしょ、アンタ」
キコリの言葉を引き継ぐように、オルフェはそう言い放つ。
「キコリはバカバーサーカーだから本能で判断してるけど、アタシは違うわよ。ネクロマンシーは禁断魔法の1つ、悪用しか出来ないクソみてーな魔法だもの。死を穢し土地を穢し呪いをまき散らす、行使自体が全生命体への攻撃になる……そういうモノよ。このエリアの有様も、つまりはそういうことでしょ?」
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