何処までいってもバーサーカー
なんだかんだで解散……というかオルフェが解散させた後。
オルフェはキコリの説明を聞いて「ふーん」と呟いていた。
「フェアリーマントかあ……地味だけどまあ、そんなとこでしょうね」
「地味って……他に何があるんだ?」
「んー? そうねえ」
オルフェが思い出すように説明してくれたものは……確かに、凄いもの揃いだった。
妖精の魔法力の高さの一因である、魔法の自動制御能力【フェアリースタッフ】。
同じく妖精の魔法力の高さの一因である、魔法の解析能力【フェアリーアイ】。
そして高い魔力を支える魔力への親和性と保有魔力を補助する【フェアリーローブ】。
どれも妖精が魔法を高いレベルで運用する上で生まれながらに持っている能力を再現したものであり、あるいはキコリが得ていたかもしれない能力だ。
キコリがどれか1つでも得ていれば、戦力がかなり上昇したのは間違いないようにすら思えたし……それらと比べれば確かにフェアリーマントは地味だろう。
「ま、でもあたしはアンタならソレだと思ってたわよ?」
「……? どうしてだ?」
「どうしてって。アンタ、何処までいってもバーサーカーじゃないの。フェアリースタッフもフェアリーアイも必要だとは思えないし。唯一役に立ちそうなのはフェアリーローブだけど、アンタが無茶した時に役立つとも思えないわ。なら、残るは一択じゃない」
確かにそうだとキコリも思う。
魔法の自動制御も解析も、キコリの攻撃力を上げるわけではない。
魔力そのものに関しても同じだ。
キコリは「チャージ」して真正面から力尽くでぶん殴る事しか出来ない。
そこに細かい技は不要であり……そういう意味ではフェアリーマントはキコリにこれ以上なく合う能力だろう。
「……いや待てよ。ならなんで地味とか言ったんだ? 俺に合ってるんだろ?」
「地味なのは間違いないじゃない」
まあ、確かにそうなのかもしれない。
キコリも他の能力を並べて聞いてみると地味だと確かに思ってしまったが。
「でも、地味を積み重ねて無茶もやって派手になるのがアンタでしょ? 祝福してんのよ」
「派手になった結果、オルフェに苦労もかけてるけどな」
「分かってんじゃない。それで無茶もやめれば尚良いんだけど?」
「たぶん無理だ。だからそこはごめんな」
「アンタって奴は……ほーんと、あたしが居ないとダメね?」
話しているうちに上機嫌になってきたオルフェにキコリはクスリと笑う。
「そうだな。それは本気でそう思う」
「フフン! もっと感謝しなさいよ!」
嘘でもお世辞でも、なんでもない。
本気でキコリはそうだと思っている。だからこそ、この時間が楽しくて。
あっちこっちから此方を覗いていた妖精たちをオルフェが追い回す姿を……とても、穏やかな気持ちで眺めていた。
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