その後の話っていうか
キコリが目覚めた時……そこはどうやら、イルヘイルの神殿であるようだった。
「ん、ようやく目ぇ覚めたみたいね」
「……オルフェ。ええっと、今回は何日寝てた?」
「1日。あたしに感謝なさいよ」
フン、と鼻を鳴らすオルフェに、キコリは寝たまま笑う。
「ああ、ありがとう。感謝してる」
キコリが言いながら身体を起こすと、オルフェはその顔の前に飛んでくる。
「な、なんだ?」
「今回はあたしもやれって言ったから煩く言わないけど。もうちょい無茶しない生き方出来ないの?」
「……好き好んでそう生きてるつもりはないんだよなあ……」
「好き好んでやってんだったら、とっくに見捨ててるわよ」
「ハハ……」
チッ、と舌打ちをするオルフェにキコリは苦笑いするしかないが……そんなキコリをオルフェは手でパシパシと叩いてくる。
「笑いごとじゃないわよー? マジで言ってんのよー? あたしと会ってから何回死にかけたか覚えてるー?」
「その最初の1回はオルフェたちのせいだった気がする」
「記憶にないわね」
キッパリと言い放つオルフェは顔を背けていて。そんなオルフェに、キコリはまた笑い出す。
そんなキコリを見て、オルフェも笑って。やがて笑いが収まった頃に、キコリは一番知りたかったことを聞く。
「それで……あの後、どうなったんだ?」
「どうもこうも。あたしがアンタをヒールして頑張って引っ張って、その辺にいる連中に運ばせたのよ」
「ありがとう。でも、その後の話っていうか」
「ああ、それ? なんかあの後、結構な数の死人が出たらしいわよ」
「は!? なんで……」
「死体を纏ったリビングメイルだって。たぶんアレじゃない? 家に来た連中」
「え、いや。でも」
ソイルレギオンは滅びたはずだ。それなのに何故とキコリは混乱する。
まさかキコリたちが戦っている間に暴れさせていたのだろうか?
そう考えるが……どうにも違うようだった。
「時間的に考えると、あのソイルレギオンとかいうのが滅びた後ね」
「なら……」
「普通に考えれば、リビングメイルが制御を外れたんでしょうね。で、暴れ出した……と」
「……」
確か高性能なリビングメイルだったはずだ。
それでも倒したというのは……この町の冒険者の底力というものなのだろうか?
「そうか……なんていうか、無事に倒せてよかったな」
「そーね。ま、あたしはどうでもいいけど」
ロックゴーレムに関する事件も、これで解決したはずだ。
ギザラム防衛伯にどう説明したものかという問題は残っているが……一連の事件が無事に解決となりそうなことを、キコリは静かに喜んでいた。
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