鎧も武器も間に合ってるので
リビングアイテム。
生きている道具。
まあ、色々呼ばれはするがモンスターである。
たとえばリビングアーマー、リビングソードなどの各種の武器系モンスター。
銅貨に銀貨、金貨などのリビングコイン。
宝石などはその内側に魔石が生じているという、意味不明なリビングジュエル。
まあ、色々と「リビングアイテム」には種類があるわけだが……そうなった時点で元のアイテムとしての価値は損なっているので、正直儲かる相手ではない。
「それでも探索する価値があるとすれば、場合によっては『性能の高い残骸』が手に入るからですね」
「さっきのマジックアイテムの話ですか?」
「そういうことです」
生きている町の中を歩きながらキコリたちは話していたが、周囲にはリビングストーンやリビングスコップ、あるいは各種の農具や家具などに追われたり戦ったりしている獣人の冒険者の姿がある。
プランターに追われている犬獣人の冒険者が鼻先に一発くらって昏倒しているが、プランターには傷1つついてはいない。
「御覧の通り、モンスター化することで通常のものより性能が上がっている場合がありますので。武器や防具などを『上手く』倒せれば性能の良い武具が手に入る可能性があるわけですね」
「……なんかソイルゴーレムっぽいのもいるけど」
「アレはリビングソイルと呼ばれていますな。生きている土の集合体ですので、倒すのが非常に手間です」
ジオフェルドの答えにオルフェは「うわあ」と声をあげる。
なんかとんでもないモンスターがいるようだが、盛況なせいかキコリ達は襲われずに町中を歩けていた。
「まあ、ひとまずこの周囲はこのような感じですね。此処とは逆方向は砂漠になっていますが、昼は此処より暑く夜は凍えるほどになるという、とんでもない環境です。あまり近づかない方がよろしいでしょう」
「なるほど……」
「魔石の回収依頼もありますから、何処かで狩りをする必要がありますが……此処でやりますか?」
「うーん。それでもいいんですが」
言いながら、キコリは飛んできた小さなプランターを斧で叩き割る。
転げ落ちた魔石をオルフェがキャッチするが、然程大きい魔石というわけでもない。
そして、此処の人気具合を考えると……。
「ひとまず今日はソイルゴーレムを狩ろうと思います」
「おや、キコリ様ならリビングウェポンであろうと狩れそうな気もしますが」
「鎧も武器も間に合ってるので……」
「なるほど、確かに」
キコリの装備を見て納得したようにジオフェルドは頷いて。
そうしてキコリたちはソイルゴーレム平原でソイルゴーレムを片っ端から狩っていく。
それは、ジオフェルドが完全に観戦に回っていたというのに……それでもなお、持ってきた荷物袋が満杯になる程度の魔石という戦果となって示された。
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