凄まじいですな

「まあ、この辺りは稼ぎやすいということで比較的冒険者が多いのですが……」


 ジオフェルトが先頭を歩くキコリの前の地面をじっと見る。

 キコリの足も自然と止まっている。

 その理由は……盛り上がる地面にある。

 出てきた頭をキコリが迷わず斧で叩き割るが、その傷はすぐに塞がりソイルゴーレムがその姿を現していく。


「まあ、ご覧の通り頭を潰したくらいでは死にませんでして。何処かにある魔石を奪えば崩れて消えます」

「そういうことは、早めにっ!」


 キコリを踏みつけようとしてくるソイルゴーレムの一撃を躱しながらキコリは抗議するが、ジオフェルドは「ハハハ」と笑うだけだ。


「つまりこうでしょ!? ロックアロー!」


 オルフェの放った4本の岩の矢がソイルゴーレムを貫き、その身体を貫通する。

 そのロックアローの1本の先端から押し出された魔石がポロリと落ちて、ソイルゴーレムの姿が崩れていく。


「おお、お見事です。もしや魔石の位置が見えておられましたか?」

「適当。当たるまで撃てばその内ヒットするでしょ」

「まさに。オルフェ様は分かっておられますな」


 ジオフェルドがパチパチと手を叩くが……キコリは、1つの事実に気付いていた。

 つまるところ、ソイルゴーレムは魔石のエネルギーで動いているわけで。

 たったそれだけの魔力しかないのなら……「ブレイク」を使えば、一撃で倒せるのではないだろうか?

 しかしアレは禁呪だと言われているし、此処で使ったらどんな騒動に発展するか考えたくもない。

 

(……そうなると、俺がコレを倒すには……)


 再び地面から盛り上がってきたソイルゴーレムの足を、キコリは斧で思いきり叩き切る。

 ソイルゴーレムは再生力は高くても防御力は無いに等しい。

 だからキコリの斧はソイルゴーレムの足を簡単に切り裂いて、その身体が轟音をたてて倒れる。

 その背中にキコリは飛び乗ると、片っ端から足でソイルゴーレムの身体を蹴り崩す。

 子供が靴で砂場を掘って遊ぶように、凄まじい勢いでソイルゴーレムの身体が蹴り崩されて。

 程なくキラリと光る魔石が蹴り出されて、オルフェがキャッチする。


「……ふう」


 ソイルゴーレムの残骸を歩いて戻ってくるキコリにジオフェルドのみならず、周囲に居た冒険者の何人かまでもがポカンと口を開けていた。


「こんな感じで如何でしょう?」

「え、ええ。何と言いますか……凄まじいですな。まさかあんな方法で……」

「斧だとオルフェみたいには出来ないんでピッタリかと思ったんですが」

「いえ、予想外ではありましたが効率的だったと思います……新しい狩り方が生まれたかもしれませんな」


 そんなことを言うジオフェルドに、キコリは疑問符を浮かべていた。

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