応援してますよ
そして、その夜。
今後日を跨いでの冒険が増えることも含め、キコリはアリアに新しい仲間について話していた。
「なるほど錬金術師ですか……良いかもしれませんね」
「そうなんですか?」
「ええ。錬金術師は薬草知識などに長けていますし、ちゃんとした錬金術師なら知識を活かしたサバイバル術も持っています。長期の探索においては、かなり頼りになると思いますよ」
「なるほど……」
確かにあの後の薬草探しでも、エイルは誰よりも速く薬草を見つけていた。
植生がどうのと言っていたので、そういう知識があるのは確実だ。
それはキコリにもクーンにも欠けているものだし、重要なものでもあるだろう。
「そのエイル君でしたっけ? 私も会ってみたいですね」
「え?」
「ん?」
アリアが勘違いしていることに気付きキコリは声をあげるが、勘違いしていたままの方が良い事にすぐに気付く。
「キコリ、今何か」
「いえ。そうですね、今度紹介します」
「もしかしてエイル君じゃなくてエイルちゃんだったりします?」
立ち上がりキコリの後ろに回ってくるアリアにキコリは「……まあ、はい」と答える。
此処でごまかすことは出来るが、バレた後が怖い。
いや、何も悪い事はしていないはずなのだが、すでに圧が何か怖い。
「そっかー。女の子ですかー」
「……」
「可愛い子ですか?」
「一般的感覚で言うなら、まあ」
超怖い。
というか自分は何故こんな圧に晒されているのか。
しかし、それを真正面から理不尽と言う度胸はキコリにはない。
無言の時間の後、アリアはキコリにニコッと笑う。
「なーんてね! 冒険者に男も女もありませんし、そういうことだってありますよね」
「え? あ、はい。その通りだと思います」
「話を聞く限りだと有能だと思いますけど。錬金術師は道具頼りなとこありますから、通常の前衛や後衛の概念で考えたらダメですよ?」
「はい。見た感じそうだろうなって思いました。たぶん、火力として期待したらすぐにネタ切れになりますよね?」
「持ち運びにも材料費にも限度がありますからね。扱いとしてはサポーター寄りで考えておくといいですよ」
確かに、そう考える方がいいのだろうとキコリは思う。
結局のところ攻撃役はキコリ1人ということになるが……それではどうしようもない時、あるいはクーンの魔力が尽きて回復が必要な時に手助けしてもらうようなイメージが正しいのだろう。
「ありがとうございます。なんだかイメージが出来てきた気がします」
「そうですか? なら良かったです」
「早速明日から少し遠出して頑張ってきます」
「ええ、応援してますよキコリ」
頑張ろうと、そんな素直な心でキコリはアリアに笑って。
アリアもそれに笑顔で返すのだった。
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