可能性はあるんですか

「足りないのは分かるんですが、優先順位が難しくて」

「なるほど」


 素直に言うキコリにアリアは頷いて「では説明しましょう」と笑う。


「パーティの役割は大きく分ければ4つ。前衛、後衛、ヒーラー、サポーターです」


 前衛は様々な武器を扱う戦士。キコリのバーサーカーも此処に分類される。

 前に立っての攻撃、防御……細かく分ければいくらでも分けられるが、まあそういうものだ。

 後衛はアーチャーや魔法使いなどがこれに分類される。

 ヒーラーは神官……つまりクーンだ。薬師なども分類されるが、主に神官と考えて問題ない。

 そしてサポーターは「それ以外」だ。荷物運びのポーターや罠設置・解除のトラップスミスなども此処に含む。


「つまり……後衛かサポーターが必要ってことですか?」

「ザックリ言えばそうですね。欲を言えばサポーターとしての技能もある程度備えたハンターが入ってくれるといいんですけど……そういう人ってベテランだから人気なんですよね」


 追跡術に状況判断力の速さに環境や地形の把握能力、簡易な罠の設置に解除、マッピング能力に高い弓の技術、ある程度の調理技術に素材などの処理技術……パーティにいるだけで相当変わると言われるが、それは当然そこに至るまでの鍛錬の集大成であり、著名なパーティに入るのが普通だ。


「まあ、キコリもまだ初心者なわけですから……アーチャーに仲間になって貰って、いずれハンターと呼ばれる域に成長して貰うのも手ですけどねっ」

「そっか。そういう手もあるんですね」

「その域に成長した時点で引き抜かれることもありますけどね……」

「うっ」

「まあ、その辺りはフィーリング頼りでもいいんですよキコリ。定番が正解とは限りませんから」


 まあ、キコリもバーサーカーなのだ。

 自分自身が定番から外れているのに他に定番を求めるというのも確かにおかしな話だとキコリは思う。

 そもそも、本当に必要なのはハンターなのだろうか?

 もっと、守りに入るのではなく……攻めの心が必要なのではないだろうか?

 考えて、キコリはアリアをチラッと見る。


「ん?」

「アリアさんの魔力異常が治るなら、アリアさんを是非って言いたいんですけど」

「なるほど、そういうのも1つの正解かもですね。もっとも、そう簡単に治るものでは」

「可能性はあるんですか!?」

「へ!? あるかないかで言えばありますけど……当時の私が諦めたレベルですからね?」

 とにかく、とアリアは話を戻す。

「私はともかく、攻撃力を更に強化するっていうのもアリな話だと思いますよ。色々と考えてみてください」

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