光の中へ

俺は、どうすればよかったのだろうか


君を夜の檻で囲って

永遠という棺に閉じ込めて仕舞えばよかったのだろうか


この醜い血を捨てて、

君と生きれたらどんなによかったことか



天に背き、

血を啜り、

命を齧り、

滴る快楽けらくに酔い、

永遠とわを生きる


そんな怪物にしてしまうくらいなら、


君は綺麗なままで生を終えてほしいと願った


俺は、それを陰ながら見守れるのならば

それで良かった


歳を重ね、皺の増えた君が、

幸せだったと安らかに眠りにつく


そんな日を迎えられるなら、

それで良かった



なのに、

天寿をまっとうすることもできず、

運命に弄ばれ、

君が散るのだったら


首筋に牙を突き立て、

俺とお揃いにして仕舞えば、良かった


君の最後の瞬間が忘れられない


あの日から、

時だけではなく、心も止まったようだ


君のいないこの世は、

あり得ない程、味気がない


どんな享楽でさえ、

色褪せて見える


どんな素晴らしい音色ですら、

雑音ノイズに聞こえる



君のいる所に行きたい


もう、

飽いてしまったこの世界にいる理由も無くなった


どうせ、死にながら生きている身だ

時を止めた身体など、捨ててしまおう


そして、

天国そこから君を連れ出して、

今度は永遠に、共にいよう


もう、独りにはさせない


君が飽きたというまで、共にいよう



この朝陽ひかりを浴びて、

君のいる光へ


待っていて


今、迎えに行く







–––––

愛情深い吸血鬼ヴァンパイアの恋の歌

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