化物純愛歌

君を、奪ってしまいたい

君を、永遠に愛していたい

君を、僕の中に収めたい


快楽けらくの海に沈めて、

逃げられないように閉じ込めて、


呼吸さえも支配して、

喰らい付いて、


全てを僕のものにできたなら



なのに、僕には奪えるだけの力がない

なのに、僕には永久とこしえを生き抜ける身体がない

なのに、僕には君を喰らい尽くす、淫らな牙がない


あぁ、吸血鬼だったらどんなに良かったことか


君を魅了して、

君から全てを奪い、

全てのことから君を奪えたら



快楽けらくのマントを纏い、

君を優しく包んで、

紅く滴る果実をかじるように

甘い首筋に、牙を突き立てて

身も心も、吸い尽くせたら



神よ、

心だけが醜くひずむのなら、

いっそ身体も、醜悪なバケモノで

産まれ堕ちていたかった


こんなにも堕ちているのに、

堕ちきれない僕は、

人でしょうか


ただ愛に生きているだけで狂った僕は、

出来損ないでしょうか


バケモノにもなれない僕は

これからどうやって君を愛せばいいのだろう


––––誰か、愛し方を教えてくれないか

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