愛欲の章
散りゆく花弁と愛喰い
唇と唇を、合わせ
互いに熱を、与え合う
息することも忘れ、声を奪い合い、
ただ、ただ、もつれ堕ちていく
互いの存在を喰らい合う様に貪り、与え合う
ただ、理性も建前も無くなった空間にあるのは、
この暴力的な、愛だけ
汗ばむ首筋に唇を這わせ、指を絡め合う
跳ねる肢体をどこへも逃さない様に押さえつけ
閉じ込める
腕の中の檻で暴れさせるように
愛の印を咲かせる
彼にそっと長い黒髪を垂らせば
狂おしく咲きながらも愛おしく握り口付けてくる
愛に耐え、愛を返そうとする
愛おし過ぎるが故、歯止めは効かず、
無理に歯止めをかければ愛が弾けて、
苦痛に身悶える
気持ちのやり場など、知らない
ただ貪る事しか、できない
暴力的で、抑圧的で、
制御できない感情が本能になり、
貴方にぶつけるだけしか出来ない
貴方がいなければ
こんな
無垢で
劣情で黒く染め上げることなどなかったのに
––––どうして、こうなったのかしら
でも、もうそんなことは、どうでも……
理性など捨て去り、
貴方の胸元に喰らいついて華を芽吹かせる
あぁ、なんて、なんて私たち、儚いのかしら
真っ白なフリをした桜の様
貴方は身体を狂い咲かせ、
真っ赤な薔薇の様
いつか散り逝く
お似合いの例えでしょう?
散るのは心か、
身体かは定かではないけれど
散り逝く、破滅への愛欲だとしても、
もう、
あ、今、
花弁が一つ落ちる音がしたわ
終焉が近いのかしら
でも、関係ないわ
最後の花弁が散り逝くまで
より濃く、強い、愛で絡み合うだけ
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