第10話 これってクラスチェンジ⁈
「ひぇぇ~! ちょ、ちょっと待って! お兄さんっ!」
人もまばらな駅のホームに地縛霊の絶叫がこだまする。
地縛霊、秋山
駅のホームでは
絵に描いたような巻き添えを食らってしまった
同じく地縛霊で
電車の到着を知らせるアナウンスが流れた。――二人の地縛霊が青い顔を見合わせる。
「ヤバっ! ったく! なんで抜けねえんだよ!」
「
「分かってるって! くそっ! 抜けないよ夕子、どうしよう⁈」
「どうするって、私にも分からないよ!」
「とにかく、なんか考えて!」
「
妙案が思いついたのか夕子が、
「な、なんか思いついたの⁈」
地獄に垂れ降りた一筋の糸を見つけた罪人の気持ちが今なら痛いほどよく解る。一縷の望みを託して夕子の方を向く。
「
「なに⁈ 早くっ!」
「わ、私たち――私たち、ずっと友達だよ!」
夕子は、
「・・・・・・お、お願いだから・・・・・・あたしよりも先に諦めないで」
夕子が諦めモードにあることを悟り、目の前が真っ暗になった。なんとか意識を保とうと頭を振ったが、いっそのこと気絶しておけばよかったとすぐに後悔する。
電光掲示板に『電車がまいります』の表示が点滅し始めた。――
身体が
「
すでに現実を直視できない夕子が目を硬く閉じたまま、ゆさゆさと
(あーあ。間に合わなかった。あたしの人生もあと10秒くらいかな。――あれっ? 地縛霊って死んだらどうなるんだろ? まあいいや、どうせすぐ分かることだし。夕子、危ないからあたしから離れた方がいいよ。あっ、電車来た・・・・・・。)
現実逃避してしまった
と、その時――
「怖い思いをさせてごめんなさいねぇお嬢さん。――安心して助かるわよ。その代わり、少し手伝っていただけないかしら?」
突然、どこからか女性の声が聞こえた。落ち着きのある声のトーンと孫に話しかけるような穏やかな語り口からご年配の方のようだ。
「ん? んーっ⁈」
今まさに生命の危機に瀕したこの土壇場の状況にありながらも、信じられないものを目にしてしまい思わず二度見する。
声の出所は
肩の上にフィギュア人形のような物があると思ったら、それは人形ではなく、フィギュア人形サイズの小さなおばあちゃんだった。
おばあちゃんは
「スプーンおばさんだ・・・・・・」
思わず呟いていた。その小さな姿と愛嬌あふれる雰囲気から、
「ほら、早くこっちにおいで。電車が来ちゃうわ」
おばあちゃんからの手招きにおそるおそる指先を伸ばした瞬間、
そして、スプーンおばさんを連想させたおばあちゃんが、
「可愛らしい地縛霊のお嬢さん。守護霊の世界へようこそ」
おばあさんは愛くるしい笑顔で、
「申し訳ないけど、ちょっとだけこの子を助けるのを手伝っていただけないかしら」
そう言っておばあちゃんは、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます