A Girl Looking For The Night 第1話
暗い。
空気と空気の間を縫うように闇が立ち込める。黒より黒い、
ああほら。夜が、始まる。
▽
▽
「馨ちゃん」
私を呼ぶ声に手元の端末から目線を上げる。
「
「ごめんね、ちょっといろいろあって」
私は首を振って歩き出す。後ろから左右がひょこひょこついてくるけれど、なにしろこいつは180近くあるからついてこられる身としては少しだけ怖い。
時刻は23時37分。高校生は補導される時間帯だけど、左右は背のお陰で普通に成人済みに見えるし、私は私で化粧をしているので大人っぽく見えているはずだから問題無い。髪型や服装も友人に見せるのとは全然違うからこの格好で私だと分かるのは多分友人の中では一人だけだろう。
「今日はどこ行く?」
「そうねぇ……。西側とか行ってみましょうか」
そのまま私は西へ歩を進める。
左右とはインターネットで知り合った。昔はネットで知り合った人に会ってはいけない、なんて言われていたらしいけど今そんなことを言えば、時代錯誤も
ログパスの普及により個人の特定が簡単になった。匿名でインターネットを使用することも出来なくなる。その代わり、個人情報は今までの比でない程に厳重に守られるようになった。コンピューターだけでなくAI
個人情報が流出したという事件が起きたことも無い。それをした人間も同じように個人情報を
そういうわけでネットの危険性はほぼ無いと言っても過言ではない。だから私は今左右と行動を共にしている。
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