第2話

 コンビニの前で座り込む男性と髪を2つにくくった少女。男性の方はぐったりしていて少女は困っている様だった。

「あの……大丈夫ですか?」

 なんだって僕はこの時彼女に声をかけてしまったのか。普段通りコミュ障を拗らせていれば良かったのに。

 振り向いたツインテールガールは少しの間僕を見つめるとにっこり花のような笑顔を浮かべた。

「ちょうど良かったです!貴方がソータさんですね、早速ですけどこの人を運んでくれます?」

 …………ん?彼女は一体全体何を言っているのだろうか。僕とこの子は初対面だと思うんだけど。というかどうして僕の名前を?もしかして僕は今まで出会った人を簡単に忘れるほど他人に興味が無いような人間だったのか?

「ソータさん?何ボーッとしてるんです、早くお仕事してください」

「あ、はいすみません」

 仕事にをつける人に初めてあったな、なんてどうでも良い事を考えながら男性を持ち上げる。

 僕より年上に見える彼は本当にぐったりしていて重かった。心臓も動いていなくてまるで死体みたいだな……。

「え…………?」

 ?よくみたら息もしていなくて。それってつまり。

「あ、え、この人死んで…………っ」

 震える声で隣に佇む少女に尋ねる。少女は心底不思議そうな表情と声色でこう答えた。

「当たり前じゃないですか。

 理解できない。何で、どうして人を殺めてそんなに美しい微笑みを浮かべていられるのか。そんなことより僕が抱えているのは死体で。

「あらら、困ります~大切なお客様なんですから落とすのは止めてくださいね」

 ぞっとした。死体を慣れた手付きで触る彼女にも、死体だと気づかずに触っていた数秒前の自分にも。

「君、何してるの……?こんな、人、ころして……っ!」

 僕が震える声で告げた言葉に彼女の目の色が変わる。

「何を仰っているのですか?私がしているのはマザーの指示で行う人を救うお仕事です!」

 さっきまでにこにこしていたのが嘘であったかのように激怒する少女。僕は突然の罵声に頭が真っ白になる。ああどうしようどうしようどうしよう!!

「はーい、一旦ストーップ」

 突如降ってきた声に少女はハッとして目を輝かす。

「お兄ちゃん!」

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