夢見る熱帯魚
坂田メル
氷菓幻惑遠雷少女 第1話
『自殺したいけれどなかなか踏み出せない。そんな自分が惨めで嫌い。そんな風に思っているそこのあなた。大丈夫、私たちがあなたを助けます。詳しくはこちらをクリックしてください。』
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そもそもの元凶はあの夜、彼女に出会ってしまったことだ。
いくつか原因を挙げることは出来るが、元凶は何かと聞かれれば確実に彼女が悪い。いや、悪いと言ってはいけないかもしれない。彼女たち
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8月9日水曜日。午前2時21分。僕は目を覚ました。不意に喉の渇きを感じて欠伸をしながらキッチンへと向かう。
冷蔵庫を覗き込むがちょうど飲料物は切らしていてミネラルウォーターの1本も無い。溜め息をつく。水道水を飲むことも考えたが、最近話題のニュースである過剰消毒問題を思いだし止めた。
過剰消毒問題とは、水道水を消毒するための塩素が規定の量より多く検出されたことにより浮上した問題である。消毒に使う塩素量を設定、制御しているのはコンピューターであり、そのコンピューターにバグが生じたことで起こった事故だった。
多くの事をコンピューターが司るようになった。ただ、全てがコンピューターやAIに支配されていないのは
30年程前。地球に大きな隕石が接近した。世界の終わりが叫ばれ、誰もがもう駄目だと諦めかけたとき、突如何人かの体が発光を始めたのだ。いや、何人なんてものではない。世界人口の半数の人間に、その時メイアが備わった。何故半数なのか。それは分かっていない。
『
メイアを持たないことを意味する
メイアがノン・メイアを異能によって攻撃することは大罪になること。
こういった法律のお陰で僕らノン・メイアは安心して暮らせている。もちろんメイアを守る法律だってある。
話がずれたが人間がコンピューターに支配されていないのは分業がしっかり出来ているからだ。
メイアに任せた方が良いこと。ノン・メイアに任せた方が良いこと。コンピューターに任せた方が良いこと。そこの線引きをはっきりさせたことが良かったのだろう。
まあとにかく、今僕が求めているのは飲み物だ。水道水は嫌なのでコンビニにでも行こうか。
財布と家の鍵、それから携帯端末だけを持って家を出る。
時間にして約1分30秒。それだけで僕の運命は決まった。
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