第13話菅田のギャグ
菅田さんは俺達のネタをどう思っただろうか?菅田さんがニコニコしている。
「南原君もうちょい踏み込みした方がいい。華山さんは八十点かな。中味のなさを斜め上にやったのは評価できる。でも所信表明演説ネタである必然性がない。僕が手本を見せるから見てて」
菅田さんの社会風刺ネタが聞ける。果たしてどんなものか、手本てハードルあげすぎではないか?始まった。
「3S政策とは、戦後アメリカが日本人を骨抜きにするためのセックス、スポーツ、スクリーン、の頭文字である三つのSを使った愚民化政策である。これが後百年続いたらどうなるか想像してみた」
静かな立ち上がりだ。どんなネタが来る!
「大崖選手試合中セックスしながらホームラン、七回一失点の好投、三刀流スゴイですね。いやー大崖選手スゴイ、それ以外のオキャブロリーが浮かんでこない」
「ボキャブラリーじゃねーの間違えてやんのバーカバーカうへへへへ!」
「ちょっとばっか言葉知ってるからっていい気になんなよ。国語の先生ヨォ~イジョー実況でしたん」
「大崖選手スゴイな~僕も大崖選手みたいになりたい」
「息子よ政治家になったほうがいいぞ。いまではAI搭載のスーパーコンピューターが仕切ってるから座ってるだけで金もらえる楽な仕事だぞ!」
「え~金なんてオワコンだよ、女の子にモテたほうがいいよ。大崖気持ち良さそうだもん」
「そうだな政治なんてオワコンだもんな、そんな訳のわからんものをすすめたお父さんが悪かった。ソシャゲやネット、アニメ、スポーツ、セックスさえあればいい!」
「あっ大河ドラマキムタ始まった。ゾメップ解散しちゃうのか、意外!!!」
「母さんの若い頃は歴史上の偉人とかやってたの!退屈だったわ!今ではアイドルの歴史に転換して面白くなったけど」
「過去の刀持った武士なんか今の世の中に生きる俺達になんの関係もないし面白くないからこの方針転換は正解、可愛い女の子見れるし!」
「あなた、来月小遣い半分ね」
「半分にされたらガチャ回せなくなっちゃう~、それだけは勘弁を!」
「ママ明日乱交パーティーするから地下室使っていい?」
「いいけどまだ高校生だからドラッグは電子ドラッグまでにするのよ!」
「ハ~イ!」
「次の日」
「オクチュリキメながら乱交するとやっぱり気持ちいいね」
「大麻キメセクイィ~~」
「いやー日本に生まれてよかった!ああっ出る」
「以上菅田のギャグでしたん」
「社会風刺って皮肉さがないとダメなんですね、この華山、修行しなきゃ、と思いました、敗けです」
「俺も負けた。小学生の息子かと思いきや高校生というどんでん返し!やっぱり先輩達のギャグのレベル高い!」
菅田さんは笑いながら。
「このネタは君たちへのメッセージでもある。どうせ3S政策のなかなら僕らはその一つであるスクリーンの搾取する側になる覚悟を持って欲しいということさ」
ただ面白そうと思って始めたことは、お笑いという方向で搾取し消費される道を選ぶことであった。だけど…!
「俺は笑いでみんなに笑顔になって欲しいだけで搾取なんかしたくありません!」
「私もです。笑いは攻撃的、金のために守りに入りたくありません!」
菅田さんはフッと笑いながら、
「君たちにとっての笑いをぜひ貫いてほしい、さっきの言葉はいじわるだよ!ごめんな」
だが搾取する側にならないと一銭も稼げないのは事実。
俺にとっての笑いってなんだろう…。
窓から夕焼けをながめるのだった。
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